一つ前のエントリーの続報。asahi.comでは次のように報じられていた。
選挙報道「公正に」 自民、テレビ各社に要望文書
2014年11月28日05時31分
自民党が在京のテレビキー局各社に対し、衆院選の報道にあたって、「公平中立、公正の確保」を求める文書を送っていたことがわかった。街頭インタビューなどでも一方的な意見に偏ることのないよう求めるなど、4項目の具体例を挙げている。識者からは報道の萎縮を懸念する声も上がっている。
文書は萩生田光一・筆頭副幹事長と、福井照・報道局長の連名で20日付。過去の例として、「あるテレビ局が政権交代実現を画策して偏向報道を行い、それを事実として認めて誇り、大きな社会問題となった事例も現実にあった」と指摘。そのうえで、出演者の発言回数や時間などは公平を期す▽ゲスト出演者などの選定についても公平中立、公正を期す▽テーマについて特定政党出演者への意見の集中などがないようにする▽街頭インタビュー、資料映像などでも一方的な意見に偏らない――などを「お願い」する内容だ。
在京民放5局は27日、朝日新聞の取材に対し、自民党からこの文書を受け取ったことを明らかにした。そのうえで、これまでも選挙の際には自民党だけでなく複数の党から公正中立を求める文書が来たこともあるなどとして、「これまで同様、公正中立な報道に努める」(TBS)などとコメントした。NHKは「文書が来ているかどうかを含めてお答えしない」とした。
テレビ東京の高橋雄一社長は27日の定例会見で、「こうした要請はこれまでの選挙でもいろんな党から来ている」と話し、「構えたり、萎縮したりすることはないか」との問いに、「全然ないですよ」と答えた。一方でキー局の報道幹部は「これまでとの比較は難しいが、過去の『偏向報道』を持ち出すなど圧力も感じる」と話した。
安倍晋三首相は18日、TBSの「ニュース23」に出演した際、景気回復の実感がないという趣旨の街頭インタビューを見て、番組の編成について「皆さん(街の声を)選んでおられると思いますよ」などと発言している。
放送法では「放送の不偏不党、真実及び自律を保障することによって、放送による表現の自由を確保すること」などと定めている。放送免許を総務相から与えられている放送局は、公正中立な報道が義務づけられている。
自民党は27日、朝日新聞の取材に対し、「わが党が、報道の自由を尊重するという点は何ら変わりありません。なお、報道各社におかれては、当然ながら公正な報道を行っていただけるものと理解しております」とコメントした。
一方、野党第1党の民主党は取材に対し「与党時も野党時も、このような内容の文書を発出した記録はありません」と回答した。
■具体的な介入は圧力
〈田島泰彦・上智大教授(メディア法)の話〉今回の文書は中身に問題がある。一般的に公平な報道をお願いするものではない。出演者の発言回数やテーマについて特定の意見が集中しないように求めるなど、かなり具体的に介入した文書であり、報道が萎縮するような圧力になっている。
もちろん、報道がある政党に対して肩入れをすることはあってはならない。しかし、公平公正というのは問題を足して2で割るという話ではなく、権力を持っている政権の問題を指摘し、時間をかけて課題を議論することは報道としては健全だ。
また、今回の文書を問題視していない放送局の感覚もおかしい。公平中立な報道はメディア自身が主体的に自らで考えるべきことだ。
そして、このニュースが話題に上った直後にこのような事例がすぐさま出て来るとは驚いた!
テレ朝:「朝生」で評論家の荻上チキ氏出演中止
毎日新聞 2014年11月28日 23時00分(最終更新 11月29日 06時04分)
◇衆院選討論 局側の意向、「中立、公平性の担保」理由に
テレビ朝日系の討論番組「朝まで生テレビ!」(29日未明放送)で、出演する予定だった評論家の荻上(おぎうえ)チキさんら政治家以外のパネリストが、局側の意向で出演を取りやめていたことが28日、わかった。各党の議員と文化人らで衆院選について討論する予定だったが、「中立、公平性の担保」を理由に、荻上さんらが出演を断られたという。
荻上さんによると、21日に出演を依頼されたが、27日になってテレビ朝日の番組スタッフから電話があり、各党議員と荻上さんらゲスト数人という出演者の構成について「ゲストの質問が特定の党に偏る可能性などがある」との理由で、議員のみの出演に変えると伝えられた。番組スタッフからは「局の方針と(人選した)番組制作側の方針が一致しなかった」と説明されたという。ほかに、タレントの小島慶子さんの出演も取りやめになった。
荻上さんはテレビ朝日の判断について「残念だ。他のゲストが最近のネット上の話題などを質問することで、司会者1人の番組とは違った視点が生まれるメリットもあったはず。議員だけを招けば公平になるとは思わない」と苦言を呈した。
衆院選を巡っては、自民党がゲスト出演者の選定など、選挙期間中の報道の公平性を求める文書を解散前日の20日付でNHKと在京民放局に渡している。【黒川晋史】
これは
自民党の文書を意識して委縮が起こったと見るのが妥当だろう。荻上チキ氏は、ラジオ番組
「荻上チキSession22」で、これまでのところ公明党、民主党、維新の党、社民党の代表らを日替わりでゲストに招いて各党の政策などについて議論していた。その中で
公明党の回などには、荻上氏自身がかなり鋭い質問を投げかけていたことも関係があるのではないかと勘繰りたくなる。(もちろん、番組では民主党や維新の党、社民党などにも多少の温度差はあったが厳しい質問や意見が出ていた。)
ニュースなどを見ても、
戦時中の大本営発表のような薄気味の悪い報道ばかりが続いている日々にうんざりする。
衆院選で過半数は与党が確保し、来年春の統一地方選が終わったら、
今回の解散の消費税や経済政策などとは無関係の「安全保障」の名の下の防衛がらみの政策ばかりが勝手に変えられていくことは目に見えている。その点をこの選挙ではっきりさせた上で戦わない。
姑息な手段をとる安倍政権と安倍晋三を総裁として動いている自民党に対して強い憤りを感じる。このような汚い人間たちを許すことはできない。

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