生活保護世帯最多 法改正へ
2月6日 5時10分
厳しい雇用情勢が続くなか、去年11月に生活保護を受けた世帯は、これまでで最も多い142万世帯に上ったことが分かりました。厚生労働省は、受給者の自立を支援して増加に歯止めをかけようと、来年度中に生活保護法の改正を目指すことにしています。
厚生労働省によりますと、去年11月に生活保護を受けた世帯は、前の月より8839世帯増えて、全国で142万6659世帯とこれまでで最も多くなりました。増えた世帯の内訳は、「高齢者」が2254世帯、「母子家庭」が1106世帯、「障害者」が1246世帯で、最も多かったのは、仕事を失った人を含めた「その他の世帯」で2803世帯となっています。これに伴って、生活保護を受けている人数も、前の月より1万2945人増加して197万7153人と、200万人に迫る勢いで、最も少なかった平成7年と比べると2倍以上に増えています。厚生労働省は、失業を理由に生活保護を受けている人の自立支援を強化するなど、増加に歯止めをかける対策を検討して、来年度中に生活保護法の改正を目指すことにしています。
NHKニュースより。
確かに今の生活保護法では昨今のような急激な申請者の増加には対応できないため、法改正は必要であると思われる。
ただ、私見では生活保護で最も問題なのは
最低生活費の基準が高すぎるということである。ここにどの程度切り込めるかがポイントとなる。
就労自立を強化するだけでは問題は解決できないだろう。
もちろん、私は再分配を強化すべきであるというのが基本的な考えであるから、福祉を切り捨てろと言っている訳ではない。生活保護は他の制度で救えない残余の部分をカバーする制度だから、
生活保護以前のセーフティネットを張りなおす必要があるという考えである。だから、この法改正でも就労による自立を強化するというのならば、生活保護法ではなく、
別の法律によって失業対策を強化しつつ、経済給付と就労支援をセットにした制度を創設し、そのために財源が必要となる分、(これまでそれを担ってきた)生活保護の基準を引き下げるのが妥当であると考える。
(これに伴い就労自立が困難な人々の生活水準も下がるが、そもそもこれまでの基準が高すぎたのだからやむを得ないというのが私見。ただ、それぞれの類型ごとに制度は分立すべきだというのがもともとの私の考えだから、基準低下を補填するような形で類型ごとの制度を創設ないし現行制度を強化してこの問題には対応すべきである。現在の厚労省にそこまでは期待できないが、原則論としてはこのように言わざるを得ない。)
なお、生活保護が「入りにくく、出にくい」制度になっていると言われるが、水際作戦的な運用がなされたり、捕捉率が諸外国よりやたらと低かったり、一度受給すると容易に自立できなかったりするのは(この点については数年以内にで自立できる事例も実はそこそこ多いが)、生活保護の基準が異様に高いことが大きな原因であろう。他の外国の公的扶助と比較しても日本の基準額は高いとされているから、
逆説的だが、これを諸外国並みに低くすることで使いやすい制度にすることが必要である。
余談だが、
生活保護で最も改正が必要なのは医療扶助であろう。これを現行の生活保護制度から切り離すこと(そして、通常の社会保険制度と組み合わせること)は是非とも必要である。

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