「また最高税率については、今後、消費税を含めた税体系全体の見直しが行われる場合にはその水準の当否について改めて検討する必要があろうが、個人住民税とあわせて50%という現在の水準は、個人の勤労意欲・事業意欲の点から見て基本的に妥当なものと考えられる。実効税率の水準を引き上げる場合には、現在の最低税率のブラケットの幅を狭めていくことが必要となろう。」
以上は、政府税調の報告書(「
個人所得課税に関する論点整理」平成17年6月21日)からの引用である。
現在の水準が「妥当なもの」と考えられる根拠は一体何なのか?少なくとも報告書には全く示されていない。
政府の機関の書くものは、政府が「こうしたいという意向」を「事実」にすり替えて書いているものばかりであるが、これもその一例であろう。
なお、先日書いたとおり、この文章からも
政府税調はやはり累進性を高めるつもりはないらしいことがわかる。ここでは実効税率を引き上げる場合には、ブラケットの幅を狭めていくことが必要と書かれている。このことの意味は、要するに、
増税するとしても累進性をあまり高めないということであると読むべきだと思われる。同じ額だけ増税すると仮定すると、ブラケットの幅を狭めることによって、増税額全体に占める中低所得層からの増税額の割合が増えるからである。

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