2008/6/24

何処までも続く牧場とコブ牛と境界線・・。
ブラジル中部の高原地帯の典型的な風景だ。
一体どれほどの鉄線と杭を使うのだろうか、この景色が何時間も続く。
この境界に使われる杭、「100年水に浸かっても腐らない木」と呼ばれる木が使われる。
南米は狭い日本とはスケールも自然の豊穣さも何もかもケタ違いだ。
その南米の自然ですら機械を使う人間の前では脆い。
人間は必要以上の領土を欲する生き物だ。欲望は果てしない。
この想像もつかない大きさの牧場にも持ち主がいる。
日本人なども僅かなマイホームを手に入れるために一生を費やす。
俺のまわりにもいっぱいいる。
けど、何故か腑に落ちない。
これが、どうしても理解できない。
まあ、俺が変わり者だということで終わらしておこう。
俺は俺の基準で生きればいいだけのことだ。
また押しつけがましくなるところだった。
それより、ある事件があった。
車で辺境の町サンミゲル・ド・アラグアイアのバス停まで送ってもらい長距離バスを待っていると、俺は酔っぱらいに軽く絡まれた。
それぐらい南米旅の長い俺は何ともないのだが、この三人の娘達は過敏に反応した。
雌の親鳥が外敵を追い払うが如く、猛烈に追い払い、俺のことを心配するのであった。
俺のことを想ってくれていることは非常に嬉しいのだが、何か微妙にこっ恥ずかしい。
まったく、俺は女心がわかりません・・。
そうこうしているうちに、長距離バスがやって来た。
やはり、友達がいるとこの長時間のバスもあっという間だ。
色んな話をした。それぞれの身の上話や日本の事、ブラジルの事・・。
いつも一人だから何か楽しい。釣りがない旅だっていいじゃん。
この余裕がいつも俺を最後にモンスターに惹き合わせてくれるのだ。
俺は「釣りあげる」という単純な行為ではなく、その国の、その大自然の頂点に「逢い」に行ってるのだ。
その裾野の文化や風習や自然を見ずして頭の部分だけ喰っても旨くもなんともない。
だから、関係ないこといっぱいするのだ。
それでいいのだ。
大都会ゴイアニアの隣街アナポリスに着くと、女の娘の一人のパイ(お父さん)が車で迎えに来ていた。
「えっ?話が違うよ。ヒッピー旅じゃないの?」
もう、どうでもいいや、とりあえず流されてみよう。
家に帰る道中ゴミが道端にたくさん捨ててある所があった。
そして、また巨大な動物の死骸が・・。

お父さんが俺に気を解すために言ったのかどうかはわからないが、
「馬もテレビを見ているよ。」
というブラックジョークには、なぜか笑うことが出来なかった・・。
投稿者:TERU