2008/10/22

950:雪虫  

 雪虫はふらふらと降りてくる。降りてきたかと思うと、すいっと上がる。上がったかと思うと、風に流されるように横に揺れている。気温が下がり、そろそろ雪が降るかもと思わせる季節に、雪虫は降りてくるのである。

 その降りてくる、実際には飛んでいるのであるが、傍目にはふらふら降りてくるように見えるさまは、まさに初雪が遠慮がちに舞い降りてくるように見える。

 手に優しく包むようにとってみると、白い綿毛がお腹の辺りに生えた小さな小さな虫である。飛んでいる時は羽根を広げて羽ばたいている。しかし、羽根よりもその綿毛が目立ち白いものがふわふわ降りてくるようにしか見えない。

 その雪虫がかなりの数、降りてきた。もちろん東京の話ではない。山梨である。富士レイクサイドカントリークラブでの話である。ここは標高が高い。もうこの季節になれば朝方は結構冷える。その冷ややかな空気の中、薄っすらとさした陽の光に照らされて、雪虫は白く羽ばたく。

 キャディーさんが「あ〜雪虫だ。」と感慨深げにつぶやいた。ここではこの雪虫が降りてくると、秋が深まりいよいよ冬が近づいていることを感じるようである。私は初めて見る。「初雪だ・・・」とキャディさんがつぶやいていたなら、信じてしまうように雪に似ている。

 はかなげな虫である。手にとった雪虫をしばらく観察していると、また羽ばたいて宙に浮いた。そして風に流されて、遊覧飛行の旅に出た。

 その雪虫の行方を眺めていると、雪を頂いた富士山がそびえている。間近に見るとやはり雄大である。小さくはかない雪虫と雄大な富士山のコントラストが自然の多様さを感じさせてくれる。

 先日の富士桜カントリークラブのグリーンにも驚いたが、今日の富士レイクサイドのグリーンも凄まじかった。高速なうえに富士山を背にしたときの順目の凄まじさは、まさにガラスの上をすべるようですらある。

 このグリーンでは、薄氷を踏むような心理状況のパットを余儀なくされる。唯一雪虫だけが磨り減った心を慰めてくれるかのようであった。




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