2021/12/3

5755:14年前  

 「初めて訪れたのは何年前のことであったのであろうか・・・確か、私がオーディオを趣味とするようになった2006年の翌年であったはずであるから、2007年のはず・・・ということはもう14年も前のことか・・・」

 そんなことを思いながら、私のBMW 523iの調子が悪いので出動を願ったチューバホーンさんのお宅のフォルクスワーゲン シャランのATセレクターを「R」に入れて、バックで最寄りのコインパーキングの車室にシャランをゆっくりと収めた。

 そしてチューバホーンさんと連れ立って、UNICORNさんがお住いの瀟洒なマンションに向かった。コインパーキングから歩いて1,2分でそのマンションに到着した。

 エレベーターに乗り込んで、階数を示す数字が記されたボタンを押した。エレベーターはゆっくりと昇っていった。

 エレベーターを降りるとすぐに玄関である。このマンションは1フロア1室という贅沢な造りとなっている。玄関を入ってすぐの位置にUNICORNさんのリスニングルームがある。

 リスニングルームの風景は14年前に初めて訪れた時とほとんど変わっていない。その時と比べて変わったと言えば、レコードプレーヤーぐらいであろうか・・・14年前に撮った写真と今日撮った写真を比べるとしたら、新聞で時折見かける「間違い探し」をすることになるであろう。

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 German Physiks UNICORNのキャビネットも14年前と変わらずに輝かしく、そして美しかった。ラックやスピーカーの上に置かれたランプなどのアンティークな置物も14年前とほとんど変わっていないはずである。

 German Physiks UNICORNを駆動するアンプはプリアンプがMarantz Model7で、パワーアンプが是枝重治氏設計・製造になるKT88のシングルアンプである。レコードプレーヤーはLINN LP12。アームとカートリッジはオルトフォンである。

 個性的な布陣であるが、この部屋においては全てのパーツが収まるべくして収まっている、あるいは存在すべき場所に存在しているという感が強く、視覚的な違和感が皆無である。

 居心地の良いこの部屋で、LINN LP12のターンテーブルに乗ったのは、クラシックのレコードが12枚、そしてジャズのレコードが3枚であった。私はクラシックオンリー、チューバホーンさんもクラシックメインであるので、クラシックの比率が多かった。

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 最初にかかったのはオーディオラボ・レーベルのレコードで、ラモーとスカルラッティのピアノ曲。ピアノは宮沢明子。続いてフランスのシャルラン・レーベルのレコードでベートーベンのピアノソナタが流れた。ピアノはエリック・ハイドシェック。

 この2枚のレコード、録音手法が極めて対照的であった。オーディオ的な音とホールトーンとしての音、という具合で聴いていてその変化の具合が実に興味深かった。

 その後はメジャーレーベルのレコードが続いた。DECCA、EMI、PHILIPS・・・それぞれの曲も録音も素晴らしいレコードが続いた。

 録音年代は様々であったが、レコードの時代には濃厚にあったレーベルごとの音の特徴が、UNICORNから発せられる音からは如実に感じ取ることができた。

 UNICORNさんのオーディオシステムはその熟成度合いがさらに進んで、オーディオ機器が持つ個性を無理に押し付けるのではなく、ソースの持つ特徴や美点をスポイルすることなく、見事に音に変換しているようであった。

 明るい木目が美しいこのUNICORNは、DDDユニット1発という潔い構成により音の統一性をしっかりと保ち、その本来の性格である「正確無比な変換装置」というい機能をしっかりと果たしていた。

 OFF会の終盤には、3枚のJAZZのレコードがかかった。いずれもボーカルものであった。Dinah Shore 「Dinah Sings Previn Plays」、Monica Zetterlund「Waltz For Debby」、そしてJohnny Hartman 「I Just Dropped By To Say Hello」の3枚が次々にLP12のターンテーンテーブルに乗せられた。

 そのいずれもが演奏された時代の息吹を濃厚に感じさせてくれた。さらにアメリカ録音は明確にアメリカの音がし、スウェーデン録音はやはりヨーロッパの香りが漂っていた。そしてそれぞれのボーカリストの魅力が細大漏らさずに音に表れていた。

 高度なバランスで調整されたオーディオシステムにおいては、レコードの音溝に込められた音楽性・芸術性がストレートに表れてくるので、レコードを次々に聴きたくなってくる。

 「つるべ落とし」と評されるように、この時期の夕刻は急速に暮れなずんでいく。自然な明かりがすっと減じていく時間帯、この部屋で味わった数々のレコードは、実に魅力的であった。 




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