2021/8/1

5631:検証  

 まず、COPLAND CDA288のトレイに収まったのは、白井光子のメゾ・ソプラノによるブラームスの歌曲集である。ピアノ伴奏はハルトムート・ヘル。1987年の録音である。

 そのなかから「野の寂しさ」、「サッフォー頌歌」、「娘の歌」の3曲をリモコンを操作して聴いた。

 神経を集中して耳を傾けて3曲を聴いたが、その音の質感は音楽を聴くのにそれほど研ぎ澄まされた精神状態で耳を傾ける必要性はないのではと思わせてくれるような柔らかなものであった。

 穏やかで優しい質感である。オーディオ的に優れているかと問われれば、「それほどでもないかな・・・」という答えが口をついて出てきそうであるが、ほっとするような質感はリラックスして音楽を聴く分には最適なのかもしれない。

 二つのスピーカーのセンター位置に座って、腕を組んでじっくりと聴き入るというよりも、リクライニングチェアに深く腰掛けて、センター位置ではないポジションでコーヒーか紅茶を飲みながら耳をそれとなく傾けるという聴き方がふさわしい感じであった。

 もう一枚のCDをCOPLANDの美しいCDプレーヤーにセットした。私は個人的にはトップローディング方式のCDプレーヤが好きで、トレイ方式のCDプレーヤーにはそれほど心惹かれないところがあるが、「トレイ方式も良いかも・・・」とCDA288を眺めながら思ってしまった。

 選択したCDは、マーラーの交響曲第4番。その第4楽章を聴いた。演奏はピエール・ブーレーズ指揮クリーヴランド管弦楽団である。ソプラノはユリアーネ・バンゼ。1998年の録音である。

 CDA288は、マーラーの交響曲であっても第5番ではなく第4番が似合う。その選曲の意図は大川さんにも伝わったようで「確かにこういうの合いますね・・・」と感想を漏らされた。

 30分ほどの時間、COPLAND CD288を一体型CDプレーヤーとして聴いた。「では試しに、同じ2枚のCDをORPFEUSUのDACを経由して聴いてみますか・・・」という話となり、次のステージに進むことになった。

 CDA288にはデジタル出力端子がある。そこからデジタル信号をORPHEUS ONE SEに送り込み、アナログ変換する。

 CDA288はCDトランスポートとして機能することになる。先ほどを同じくブラームス、マーラーの順番に聴いた。

 ORPHEUSが加わるとそのオーディオ的な能力はさすがにぐんとアップする。「そうだよね・・・やっぱりこうなるよね・・・」大川さんはその質感が大幅にアップしたことに、妙に納得したようであった。

 オーディオマニア的な視点では、やはり差があると認めざる得ないが、CDA288のみで聴く分には、ある意味不足感は感じなのではないかとも思えた。

 さらに検証は第3ステージに進むことになった。CDトランスポートとしてのCDA288の実力をORACLE CD2000と聴き比べて検証することにしたのである。

 せっかくセットしたCDA288を一旦ラックから降ろし、本来その場所の主であるORACLE CD2000を戻してケーブル類をセットした。

 そしてまだ先ほどの音の記録が鮮度良く残っているマーラーの交響曲第4番の第4楽章を聴いた。CD2000はトップローディング方式である。アナログに近い感覚でCDをセットした。

 8畳ほどの広さのリスニングルームに広がった音を子細に比べてみると、やはりその質感には大きさ差があった。CD2000の方がカチッとした構成力がある。輪郭がくっきりしていて澱みない感じである。

 「まあ、価格差があるからね・・・」と、その両者の差を認めながら大川さんは話された。「見た目的な差と、音の質感の差って結構似ていますよね・・・」と私はこの両者の外観から受ける差と、音の質感の差が近いことを伝えた。

 ORACLE CD2000はアルミとアクリルが絶妙に組み合わされた孤高の存在感を有するCDトランスポートである。電源部は別躯体となっている。

 CDA288は、一見オーソドックスな外観を有しているが、絶妙なバランス感覚でデザインされていて、北欧らしい優雅さに溢れている。

 それぞれの外観から受ける印象と、その奏でる音から受ける印象は、不思議なほどに一致していた。




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