2021/6/9

5578:ゴール  

 10kmを通過して目標タイムに1分ほど遅れていた。残りは14kmである。「1時間27分から28分ほどで走り切れるか・・・」と思った直後であった。

 左の腰から背筋にかけてしびれるような痛みが出始めた。激しいものではないが、筋肉が疲労に耐えかねている感じであった。

 これは、昨日の試走の時にも感じた。筋肉の柔軟性が失われて固まったような感覚があり、高い負荷をかけることができない。

 サイコンに表示されるパワーの数字が落ち始めてしまった。その数字を見て、自分を鼓舞するが、体からの反応は芳しくなかった。

 10kmから15kmの5kmのペースは大きく落ち込んでしまった。「15km」と記された看板を通り過ぎた際に、サイコンのラップボタンを押した。

 この区間のラップタイムは20分17秒であった。目標よりも2分ほど遅れた。「まずいな・・・ペースを上げたいけど・・・体がいうことをきかない・・・」気持ちばかりが焦っていた。

 続く15kmから20kmの5kmも、その前の5km同様厳しいものであった。ペースが上がらないので、どうしてもうつむきがちな姿勢が続いた。

 脚の回りは悪かったが、「どうにか気持ちを切らさずにいよう・・・昨年はこの辺りで心の糸が切れてしまったからな・・・」と思った。

 昨年は終盤で気持ちが完全に萎えてしまった。防寒着などの入ったリュックを背負っていたこともその大きな原因となったのかもしれない。

 今年はリュックを背負っていない。「どうにか最低限1時間30分は切りたい・・・」そう思いながら、苦しい行程をこなしていった。

 ようやく「20km」と表示された看板を通過した。サイコンのラップボタンを押した。15kmから20kmの5kmのラップタイムは20分6秒であった。やはりペースは遅いままである。

 スタートから20kmまでのトータルタイムは1時間18分30秒であった。1時間30分を切るためには、残り4qを11分30秒以内で走り切る必要があった。

 残り4kmには平坦区間もある。体重の重い私にとっては、スピードに乗りやすいエリアである。「最後まであきらめずに走ろう・・・」と思い、しばらく続く上りを走った。

 奥庭駐車場を通り過ぎると斜度が緩む。この転換点を通り過ぎると一種の解放感をいつも感じる。重力の呪縛が弱くなり、やがて道は平坦になる。

 平坦エリアではフロントギアをアウターに換えて、ガシガシとクランクを回していった。スピードが上がっていく。耳には激しい風切り音が響き始める。

 雪崩や落石などから道路を守る「洞門」と呼ばれる防護用トンネルを一つ抜けた。ハイペースを維持しながら走っていくと、行く手にもう一つの「洞門」が見えてきた。

 その先にはゴールがある。「洞門」を潜り抜けて、再度斜度が上がる最後の道へ向かった。1時間30分までの残り時間はわずかである。

 斜度が上がった道をダンシングで上り続けた。フィニッシュラインが見えてきたので、ラストスパート・・・前のめりになりながらゴールラインを越えた。

 その瞬間、サイコンのストップボタンを押した。サイコンに表示されたタイムは「1:29:49」であった。



2021/6/13  1:16

投稿者:tao

ハンコックさん

ヒルクライムレースは体にも心にもハードなレースです。
それだけに、ゴールした瞬間の解放感といったものが堪りません。
「また来年もチャレンジしよう・・・」という気になってしまうのです。

2021/6/9  12:14

投稿者:ハンコック

凄いです!
ゴールの瞬間が目に浮かび、感動しました。


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