2021/1/23

5439:洗浄後  

 しばし待っていると、FMさんがコーヒーカップを二つ小さな木製のお盆にのせて持ってきてくれた。イタリアンローストの濃いめの味わいのコーヒーを飲みながら、しばし雑談をした。

 話題はやはりレコードである。「メロディアのレコードは、ここ4.5年嵌まってます・・・何というか純粋というか、飾り気がないというか・・・すっぴんなんですよね・・・それが良いですね・・・」とFMさんは話されていた。

 珈琲を飲み終えて、先程VPI HW-17を使って洗浄したレコードを聴いてみることになった。レコード乾燥台に置かれていた10インチのレコードが再びORACLE DELPHI5のターンテーブルにセットされた。

 FMさんのレコードプレーヤーはDELPHI5であるが、通常のモデルとは違い、ベース部分のアクリルがブラックアクリルである。

 DELPHIの30周年アニバーサリーモデルである。通常のモデルとの違いは、ベース部分がブラックアクリルになることと、装着されるアームがSMEのシリーズ5になることであった。

 シリーズ5の先端にはZYXのOMEGAがセットされている。その針先がゆっくりとIlza Graubinaのレコードの表面に降りていった。

 さて、洗浄後の音の印象はかなり変わった。古い時代のレコード特有の濃いめのサーフェスノイズがなくなることはないが、ピアノの音の質感は明らかに鮮度が上がった。

 「はやり効果がありますね・・・洗浄前はくぐもった感じがありましたが、それが随分とすっきりとしました・・・」バッハの「半音階的幻想曲とフーガ」を最後まで聴き終わった。
 
 「残念ながら、HW-17はもう正式には輸入されていないようです。本国でもカタログ落ちしたのかどうかは不明ですが、HW-16.5の方はまだ販売されているようです・・・定価が128,000円ですから、まずまずリーズナブルだと思いますよ・・・」

 「この美容用洗顔機は、数千円で購入できます・・・レコード洗浄液はいろんなものが出ていますが、私は最近HANNLのものを使ってます。500mlで4,000円ぐらいです。」

 FMさんの話を聞きながら、「15万円ほどの予算でレコードクリーニングセットが揃うか・・・」と頭の中の電卓を叩いていた。

 「じゃあ、今度は同じメロディアのレコードですけど、雰囲気のガラッと違うピアニストをかけてみましょう・・・ちょうど同じ曲の入ったレコードがありますから・・・」

 「スターリンに愛されたピアニストとしての逸話が有名な、Mariya Yudinaです。鋼鉄の女という感じですかね・・・」

 そういうと、整然と整理されたレコード棚から、一枚のレコードを慎重に取り出した。先ほどと同じく粗悪な紙製の共通ジャケットに入れられた10インチのレコードであった。




※投稿されたコメントは管理人の承認後反映されます。

コメントを書く


名前
メールアドレス
コメント本文(1000文字まで)
URL




teacup.ブログ “AutoPage”
AutoPage最新お知らせ