2020/9/24

5313:逃げ  

 残りは3周となった。1周だけチームメンバーとともに協力して周回タイムを狙ったが、残念ながら9分台のタイムは出なかった。

 その時脚を結構使ったので、「ゴール前スプリントはパスして、凱旋門前スプリントに的を絞ってチャレンジしよう・・・」と決めた。

 「まとめる」機能が働いているので、皆がゴール前スプリントでもがいている時に、クランクを軽めに回していても、前を行くメンバーと距離が大きく離れることはない。

 ゴール前スプリントを終えて皆が脚を緩める頃合いから、パワーを増していき先頭へ出ようとした。

 ゴール前スプリントと凱旋門前スプリントとはそれほど離れていない。早めに準備するにこしたことはないのである。

 どうやら、凱旋門前スプリントに的を絞っていたメンバーがもう一人いた。先頭ポジションを狙って2台のロードバイクは並走するように走った。

 スマホの画面に表示されるワット数も上がっていった。250ワットほどの出力でポジション争いをしながらしばらく走っていくと、計測開始ラインが見えてきた。

 計測開始ラインは道路上に光る断線として表示されている。それを確認して一気に「もがき状態」に入った。

 回せるだけクランクをハイペースで回した。2台のロードバイクは熾烈なスプリント合戦を繰り広げゴールを示すアーチの下を潜り抜けていった。

 アーチを潜り抜けて脚を止めた。しばし惰性で走りながら乱れた呼吸を落ちつかせた。ほんの一瞬であるが最大パワーは600ワットほど出る。

 ツール・ド・フランスのゴール前のスプリントではどのくらいのワット数が出ているのであろうか・・・きっと1,000ワットは裕に超える位のパワーが出ているのであろう。

 今年のツール・ド・フランスの締めくくりとなるシャンゼリゼ通りのゴール前スプリントを征したのは、サム・ベネットであった。マイヨヴェールを着用しての勝利は相当に嬉しかったようで、ゴール後に何度も喜びの雄たけびを上げていたのが印象的であった。

 凱旋門前に達した頃には呼吸も少し戻りつつあった。残りは2周である。「次の周回もゴール前スプリントはパスして凱旋門前スプリントで勝負しよう・・・」と思いながら、凱旋門の周りをくるっと回っていった。

 ゴール前スプリントは流してやり過ごし、再びポジション取りのために出力を上げていった。コースは直線である。スピードを上げていき、計測開始ラインを目指した。

 そして緑色の断線ラインを確認してから一気にもがいた。そしてゴールであるアーチの下を潜り抜けていった。

 いよいよ最後の1周となった。「ゴール目スプリントの手前でもしかしたらMEET UPのゴールになるかもしれませんが、凱旋門まで走ってから終了しましょう・・・」とリーダーから指示があった。

 「次はゴール前スプリントにチャレンジするか・・・」と思いながら走っていき、ルーブル前のアンダーパスを潜っていった。

 するとMEET UPの際に設定した距離がきたようで半透明のゴールラインが見えた。ここから先は「まとめる」機能がなくなる。

 さらにMEET UPが終了しため、スマホ画面の右側に表示される近くを走るライダーの名前から同じMEET UPに所属していることを示すグリーンの表示がなくなった。

 この瞬間逃げを打ったメンバーがいたのであるが、私は気付かなかった。「まとめる」機能がないと、逃げに対する反応が遅れるとあっという間に差が開いてしまう。

 気付いた時には時すでに遅しであった。ゴール前スプリントと凱旋門前スプリントは、争う対象となるライバルがはるか前にいってしまっている状態での走行となってしまった。

 なんだかんだで、今日のバーチャルチームライドは終了した。凱旋門の近くで止まった。スマホの画面上のアバターは「カチャッ・・・」と音をさせて、左足のクリートをペダルから取り外した。




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