2020/9/20

5309:勝者と敗者  

 3週間前にニースからスタートした「ツール・ド・フランス」はいよいよ最終盤を迎えた。総合争いは、本命と目されていたベルナルがリタイアし、スロべニアの二人のアスリートの争いとなっていた。

 先輩格であるログリッチが第19ステージを終えたところで、ポガチャルに対して1分近いタイム差をつけてマイヨ・ジョーヌを守っていて、「ログリッチで決まりかな・・・」と思っていた。

 総合争いが実質的に決する第20ステージは、36.2kmを走るタイムトライアルである。戦う相手はライバルではなく、ストップウォッチである。

 通常のレースにおけるチームでの駆け引きはなく、ただただ自分自身の限界にチャレンジするタイムトライアルは時として大きなタイム差を生じさせることがある。

 このタイムトライアルによって、過去にも表彰台の顔ぶれが入れ替わってたり、2011年はマイヨ・ジョーヌの交代劇もあった。

 今年のタイムトライアルコースにおいて特徴的なのは、コースの終盤に「ラ・プランシュ・デ・ベルフィーユ」が待ち受けていることである。「ラ・プランシュ・デ・ベルフィーユ」は、厳しいところでは20%の斜度を持つ「激坂」である。

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 今回のタイムトライアルコースは3つのパートに分けられる。第1部はスタートから14.5kmの第1回計測地点まで・・・道は平坦で選手たちは高速で駆け抜けていく。

 第2部は第1計測地点から30.3kmの第2計測地点まで・・・緩やかな上り基調で下りも入る。下りは急峻なカーブが点在し、落車しないように注意しながら走ることになる。

 第3部は、「ラ・プランシュ・デ・ベルフィーユ」の全長5.9kmの本格的な上りである。この手前まではTTバイクで走り、上りに入る前により軽量な登坂バイクに乗り変える作戦を取る選手も多いはずである。

 平均勾配は8.5%である。フィニッシュ直前は20%の斜度の激坂が待ち構える。「これは厳しい・・・」最後の最後まで気を抜けない難コースである。

 タイムトライアルは総合の順位が低い順にスタートする。多くの選手が厳しいコースに苦労するなか、第30番出走のカヴァニャが57分54秒という好タイムを出した。これがターゲットタイムとなった。

 ログリッチのチームメイトであるファンアールトは28秒カヴァニャを上回り、さらにデュムランがファンアールトのタイムを10秒更新した。その後ポートがデュムランに並ぶ57分16秒でフィニッシュした。

 そして、いよいよ総合2位のポガチャルと57秒差で総合首位のログリッチが、順次スタートしていった。

 第1計測地の平坦区間ではポガチャルがログリッチを上回った。その後もポガチャルは驚異的なスピードで走り続け、なんと55分55秒でフィニッシュした。

 その結果、ポガチャルはポートとデュムランがマークしたタイムを1分21秒上回りステージ優勝を果たした。

 後半伸びてくるかと期待されたログリッチであったが、「ラ・プランシュ・デ・ベルフィーユ」でも精彩を欠き、2分近くポガチャルから遅れてゴールした。

 この結果、総合首位は入れ替わった。まさに劇的な展開となったのである。スロベニアの二人の明暗はこれ以上ないくらいにはっきりと分かれた。

 チームスタッフと抱き合い喜ぶポガチャルと、ゴール後道に座り込んで虚ろな表情のログリッチ・・・勝者と敗者との対照的な姿が心に刻み込まれる映像であった。




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