2020/8/9

5267:PCM1732U  

 LINN IKEMIは1999年の製品である。その当時の「王道」ともいえるバーブラウンPCM1732UをDACチップとして採用している。

 現代の最新のDACチップではない。「PCM的」とも言えるその時代の音である。現代ハイエンド機の高精細・高解像度とは一線を画する音の質感であった。

 その第一印象は「普通かな・・・特に耳を強引に引き付ける高性能さは感じられないけど・・・」というものであった。

 その音の質感は、その見た目とも整合するものである。もしもこの当時の日本製のCDプレーヤーで定価が60万円なら、そのサイズはIKEMIの4倍近いものになっているはずである。

 英国製のオーディオ機器はコンパクトなものが多い。LINN、MERIDIAN、QUADなどをの製品を思い浮かべると、そのほとんどの製品が小さめでさりげない容姿である。
 
 見るからに「どうだ・・・!」といった威圧感がないのである。しかし、よくよく見ると実に質感が高かったり、そのデザインセンスがハイレベルであったりする。そして、長く使い続けたいと思わせる製品である。

 グレン・グールドの演奏によるゴールドベルグ変奏曲を全曲聴いた。「ゴールドベルグ変奏曲」のバッハ自身による表題は「2段鍵盤付きクラヴィチェンバロのためのアリアと種々の変奏」である。

 今では「名曲」として知られるこの曲であるが、20世紀初頭までは演奏されることは稀であった。

 グレン・グールドがレコード会社に反対されながらもデビュー盤にこの曲を選択したのは1956年のことであった。このレコードの世界的な大ヒットが、この曲の人気を一気に高めたのであった。

 アリアと30の変奏曲から構成されるこの曲を通しで聴いて、「普通だけど、上質な普通だな・・・」と思った。

 「長い時間聴いていてもこれなら聴き疲れすることはないだろう・・・」と思えた。オーディオ的というよりも音楽的に優れたCDプレーヤーである。

 「ハイレゾ」がもてはやされる現代においては、すでに「時代遅れ」の烙印を押されるCDらしい音ともいえる。

 「PCMの音も悪いものではないな・・・」と思いながら、「これはこれで良いですね。落ち着いた気持ちで音楽を聴けますね・・・」とグールドさんとその印象について話し合った。

 その後、2枚のCDを聴かせていただいた。聴いたのはルノー・カピュソンのヴァイオリンによるコルンゴルトのヴァイオリン協奏曲、マルタ・アルゲリッチのピアノによるモーツァルトのピアノ協奏曲第20番であった。

 そのいずれも全楽章を聴いた。いずれも聴き疲れしない耳当たりの良さを感じた。肩に力が籠らない感じであるので、肩も凝らない。

 「なんだか・・・これで全く不足感がないな・・・」と思えた。我が家のちょっと大げさなデジタル機器構成について反省させられた。




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