2020/7/16

5243:アーチ  

 バーチャルチームライドも終盤を迎えた。最後の8kmほどは平坦コースであった。残り距離が少なるに従って巡行スピードが上がっていった。

 「もしかしてコースのラストで、EPIC KOMの時のようなスパート合戦が巻き起こるのであろうか・・・」と思いながら、その早い展開に付いていった。

 そして、残り距離が1kmを切ったあたりから、最後はスパート合戦になる気配が濃厚になった。呼吸音はターボがかかったように甲高くなった。

 どんどんスピードと負荷が上がっていった。そしてスマホの画面には、EPIC KOMのゴール地点に現れたのと同じような半円のアーチの姿が見えてきた。

 ヒートアップした脳は正常な判断力が鈍ってしまったのか、そのアーチが今日のコースのゴールだと皆が思い込んだ。そして、そのアーチに向かって皆が一団となって突進していった。

 実は選択したコースのゴールはこのアーチではなかった。選択したコースのゴールラインは、いかにもバーチャル的な半透明の光るラインが設定されていたが、だれもそれに気づくことなく、そのアーチをゴールだとと思い込んでスパートし、アーチの下を潜ると、脚を止めた。

 「終わった・・・」

 「最後ももがきましたね・・・」

 「きつい・・・」

 といった言葉がZOOMを通して飛び交った。すると、あるメンバーがZwiftの画面に表示されている残り距離を見て「あれ、まだ200メートルありますよ・・・」と冷静な声で告げた。

 「あ、そうか・・・」KOM計測ポイントのゴールはアーチであることが多いが、選択したコースのゴールはそうではないことに今更ながら気づいた。

 しかし、もう頑張る気にはなれず「私は流します・・・」と告げて、残り200メートルをゆっくりとこなした。

 そして、本来のゴールである半透明の光で描かれたゴールラインを通りすぎた。このゴールラインは「BIGGER LOOP」をコースとして選択したものだけの画面に表示されているのであろう。他のコースを選択しているアバターには見えないゴールラインである。

 今日のコースを走り終えた。余力があるメンバーは、そのままWATOPIAに残りしばらく走り続けるかもしれないが、EPIC KOMの終盤のスパート合戦と、コース最終盤でのスパート合戦で、すっかりと疲労した私はクランクを回すのを止めた。

 アバターはやがて停止し左足をペダルから外して地面につけた。クリートをペダルから外す際には「カチッ!」と音がする。

 クーラーも扇風機も稼働していたが汗びっしょりであった。「シャワーで汗を流してきます・・・お疲れさまでした・・・来週もよろしくお願いします・・・」とZOOMでチームメンバーに告げて、何度目かになるバーチャルチームライドを終えた。




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