2020/5/31

5194:CD3 SIGMA  

 Marantz CD34の不具合は、時折音飛びするようになったことと、CDによっては最初から読みこまないものも出てきたということであった。

 「おそらく、ピックアップの不具合で、交換する必要がありそうなんだが・・・」とPaoさんは言葉を漏らしていた。

 Marantz CD34は1985年2月に発売された。その当時はフィリップスの子会社だった日本マランツが投入した「戦略モデル」で、高級機を上回る内容を持ちながら、59,800円という価格で販売されたため大ヒットした。

 当時のCDプレーヤーの中では音質も素晴らしく、今でも「名機」として語られることが多い。そのCD34の内部パーツなどをアンプ製作で有名な工藤氏が徹底的にモディファイしたのが、Paoさんのお宅のCD34である。

 早速聴かせていただいた。曲はベルリーズの幻想交響曲であった。リモコンで選曲されたのは第4楽章であった。

 第4楽章には「断頭台への行進」という少々おどろおどろしい標題が与えられている。アヘンを吸引し意識朦朧となった主人公は夢の中で愛していた彼女を殺して、死刑を宣告される。そして死刑執行の時が来て、断頭台へ引かれていく。その状況を第4楽章は表している。

 断頭台への行列は行進曲にあわせて前進し、その行進曲は暗く荒々しく、そして厳かでもある。迫力がある音楽は途切れることなく順調に進んでいったが、この楽章の後半、盛り上がった瞬間に音飛びが生じた。

 何かが滑ったかのように異音が一瞬出て音楽が途切れ、瞬間移動した。そして、移動後の場所で何事もなかったかのようにまた音楽が流れた。
 
 その瞬間、私とPaoさんは顔を見合わせた。「これか・・・ピックアップの寿命が来ているようだな・・・」と思った。

 さらにその楽章の終盤でも音飛びが発生した。症状は同じであった。ひゅんと滑って転んだが、すぐに立ち上がって何もなったかのようにすたすたと歩いていく感じであった。

 第4楽章が終わった。「これはピックアップの交換で直るんじゃないですか・・・」「まあ、そうなんだけど・・・修理業者はいるからね・・・でも、工藤さんじゃないとレベルが落ちるような気がしてね・・・」とPaoさんの表情は暗めであった。

 「それはそうと、そこに置いてあるCDプレーヤーはもしかしたら次なる候補ですか・・・?」と私はこの部屋に入った時から気になっていた疑問をPaoさんにぶつけてみた。

 「ああ、これね・・・オーディオ仲間の一人から借りているんだ・・・メーカーはYBA・・・知ってる・・・?」

 「YBA・・・?いえ知らないです・・・」

 「YBAはフランスのオーディオメーカーでね・・・一般的な知名度はとても低い・・・でも日本にも正式に輸入されているんだ・・・輸入代理店がアポロインターナショナルというところで・・・これは少し古い機種、製品名はCD3 SIGMA。」

 「フランスのメーカですか・・・そう言われるとフランス製らしいデザインですね・・・正直よくわかないというか・・・センスが良いのか悪いのか・・・でもなんだか気になる存在ですね・・・トップローディングであることは良いですね・・・CD34はピックアップ交換が必要なようですし、こちらを聴いてみたいですね・・・」

 と私が続けると「今日はCD34とこのCD3 SIGMAをじっくり聴き比べをしようと思っていたんだけど。CD34の調子がかなり悪そうだから、もうYBAに換えてみるか・・・電源は丸二日ほどONにしたままだから、もう本調子なはず・・・」とPaoさんは応えた。




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