2020/2/18

5091:牧歌的  

 全く予期していなかったが、ことの流れで急遽VOLVO V60を少しの時間運転させてもらえることとなった。

 まあ、嫌いではないのでいそいそと運転席に乗り込んだ。運転席から見るV60のインテリアはナビの画面はじめいろんなものが縦長の造形になっていて、どことなくのんびりとした印象である。

 私はどちらかいうとオーソドックスな横長基調のインテリアのほうが落ち着くが、これは好みの問題であろう。質感はまずまず上質にまとめられている。

 エンジンをスタートさせて、駐車場からゆっく入りと出た。交差点まで行き、そこを左折して青梅街道を走った。

 街中での走行であるのでスピードはそれほど出せないが、そういった低速域でも緻密につくり込まれたボディーのしっかり感が感じられる。

 乗り心地はしなやかで良好なものである。ドイツ勢のプレミアム御三家のステーションワゴンと比べてもけっして見劣りのする乗り味ではない。

 エンジンは2.OLの直列4気筒エンジンで、特別にスポーティーなものではない。車全体からもとんがった緊張感を感じることは一切ない。

 ステアリングは、素直で意のままに操る感覚を得ることができる。たっぷりめのシートは体に優しい包み込むようなフィット感がある。

 「VOLVOもずいぶん良くなりましたね・・・とても快適で、ラグジュアリーな雰囲気は気持ちいいですね・・・」私はV60の感想を独り言のように述べながら運転していた。

 VOLVOに対しては正直愚鈍さのようなものを従来は感じていた。動物に例えると「サイ」というイメージを持っていた。850あたりの造形がそういった印象を私の脳に植え付けたのかもしれない。

 現在のVOLVOはそういったもっさりとした感じはなく、ボディーにはしっかりとした芯があり、滑らかなステアリングと素直で安心感のある車の挙動に、「やるな・・・」と少し感じ入った。

 気になる点といえば、これはVOLVOだけにかぎらず、最新のモデルに共通して言えることであるが、軽快さという点に重点が置かれていて、腰のどっしりと据わった重厚さといったようなものがやや希薄になったように感じられる点であろうか・・・

 走った時間は30分ほどであった。戻ってきて、狭い駐車場にV60を元通りに停めた。「確かに良い車ですね・・・VOLVOは明らかに大きく脱皮しました・・・523iが10万キロを超えたら、次の車の候補にV60も上げたいですね・・・」私は小暮さんにそう話した。

 「確かに、850とは全く別の車になったと言ってもいいかもしれないけど、でもVOLVOファンとしては850の残り香のようなものをやはりV60に感じるんだよね・・・ドイツ車にはない・・・なんというか・・・牧歌的なものがVOLVOには残っている・・・そんな感じかな・・・」

 小暮さんはにこやかであった。車を降りて、またあのビルの階段を4階まで登った。小暮さんが入り口のドアの施錠を解いて金属製のドアを開いた。

 白熱灯の照明をつけると、部屋の奥には全く見慣れないスピーカーが垣間見えた。ぱっと見、どのメーカーのなんというスピーカーかは判然としなかった。




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