2020/2/17

5090:V60  

 見慣れた感のあるその白いビルの1階には喫茶店「Mimizuku」がある。この喫茶店には週に2,3回来る。時代から取り残されたような古い喫茶店である。

 今日は「オーディオショップ・グレン」に立ち寄った後で「Mimizuku」で夕食を食べようかと考えていた。

 ビルの右脇にある階段に向かい、登り始めた。2階には、「光通商」という名前の会社が入っている。なんだか怪しいものでも輸入していそうな会社名である。

 3階は空いているようで、表札などの類いは何もなく、人気が全くない。階段の登り口にある集合ボストにも3階のものには何の記載もなかった。

 ようやく4階に着いた。息が切れた。このビルは5階建てである。この上の階には法律事務所が入っているようである。集合ポストには、「加藤法律事務所」との記載があった。

 呼吸を整えてから、淡いグレーの色合いの扉をノックした。「ゴン、ゴン、ゴン」と鈍い響きがあって、耳を澄ました。いつもであれば、扉越しに「どうぞ、空いているよ・・・」との小暮さんの返答がある。

 しかし、今日は違った。扉が開いて小暮さんが外に出てきた。「ちょっと見せたいものがあってね・・・外、外、駐車場・・・」と言って、階段を下り始めた。

 私はその後に付いていって、さっき登って来たばかりの階段を降りていった。階段を降りきって、ビルの後方にある駐車場に向かった。

 それほど広くない駐車場には3台の車を停められるスペースがあった。そのうちの1台は、真新しいVOLVOのステーションワゴンであった。

 「買ったんですか・・・?」そのステーションワゴンはVOLVO V60であった。色はグレー。

 「V60にされたんですね、新車ですか?」「これは中古車・・・といっても新車みたいなものだけど・・・ディーラーの試乗車を安く譲ってもらった・・・」「最近のVOLVOは、デザインが随分モダンになりましたね・・・」そんな会話が二人の間で交わされた。

 小暮さんは長い間、VOLVO 850を愛用されていた。相次ぐトラブルに背中を押される形で、最新型のVOLVO V60に買い換えられたようである。

 V60はDセグメントに属するステーションワゴンである。伸びやかな肢体は、一つ上のセグメントかと思ってしまうほど立派である。

 「ちょっと乗ってみる・・・?」との小暮さんの問いかけに「もちろん・・・」とにこやかに返答した。




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