2019/12/7

5018:黒箱  

 ishiiさんが14年間使われているLINN ESPEKの周りを取り囲むように日東紡音響の音響調整器具であるアンク2とシルバンが2個づつ置かれていた。

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 先週、横浜のMさんのリスニングルームでもアンク2とシルバンは数多く目にした。かなり高価な音響調整器具であるが、ベテランのオーディオマニアの方が自分のリスニングルームに積極的に取り入れているということは、その改善効果は相当なものなのであろう。

 穏やかな表情のESPEKの足元にはハーモニックスのインシュレーターが置かれていた。ハーモニックスの製品はどちらかというと海外でのほうが有名である。

 ハーモニックスのインシュレーターも高価なものである。スパイク受けとベースを組み合わせているので、両者の相乗効果も得られているようであった。

 ishiiさんは、「アンプを変えるよりも効果がありました・・・」と日東紡音響の音響調整器具とハーモニックスのインシュレーターについて話されていた。そう考えるとどちらもコストパフォーマンスが高いと言えるのかもしれない。

 ishiiさんのリスニングルームにお邪魔するのは5年振りのことである。前回の訪問時と比べるとオーディオアクセサリーだけでなく、オーディオ機器にも幾つかの変更があった。

 すぐに目についたのがCDプレーヤーである。LINN IKEMIからSTUDER D730 MkUに変わっていた。ishiiさんのシステムは従来ALL LINN SYSTEMであったが、D730 MkUのみが唯一の例外となっていた。

 プリアンプも変わっていた。クライマックス コントロールが新たに導入されていた。クライマックスコントロールはLINNのフラッグシップである。そしてフォノイコライザーがLINTOからUphorikになっていた。

 これらの新たなオーディオ機器達や日東紡音響の音響調整器具、さらにハーモニックスのインシュレーターが、この部屋の音にどのような影響を与えているのか、興味津々のOFF会は静かに始まった。

 まずはCDから聴かせていただいた。D730 MkUは、IKEMIよりも古い製品だと記憶している。プロ用の機材であるD730 MkUは様々な機能を活用するために数多くのボタン類が並んでいる。

 スラントした形状は独特の存在感を有している。LINNのオーディオ機器はコンパクトでデザインもいたってシンプルであるので、このD730 MkUが、オーディオラックの中で一番その存在感を主張していた。

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 クラシックのCDが、D730 MkUの中に組み込まれ、静かに回転した。ESPEKから発せられる音は、音域を無闇に欲張らず絶妙なバランス感覚に裏打ちされた音であった。

 オーディオマニアは、時にはっとしたり肝を冷やすような音を求めるようなところがあるが、そういった強欲さが見事に浄化された音のバランスである。

 一聴するだけでは、その良さを把握できないかもしれないが、じっくりと聴いていくうちに、その良さが体感できるタイプの音である。

 LINNはもともとそういう性格のオーディオメーカーのような気がする。特に「黒箱」と呼ばれていた1990年代の製品などは、見た目も含めてそういった価値観に貫かれたものであった。

 「黒箱」の時代が終わってLINNのデザインは多少変わってきたが、LINNの基本姿勢は変わっていないようであった。

 音楽を聴いていて嫌な音やバランスの悪さを感じることがない。STUDERとLINNの相性も良さそうである。

 5年も前のことになるので、前回訪問時の音との比較は容易くはないが、かすかな記憶を辿ると、音の背景の静かさや、音の表面の滑らかさが増して、音楽の質感がより充実したものになったような気がした。

 CDを数枚聴いて小休憩の後、アナログタイムに移行した。LP12はキャビネットにスリットが入ったタイプで、年月の経過により深い色合いに変わっていた。

 トーンアームであるEKOSの先端にはAKIVAがセットされていた。AKIVAの針先はゆっくりと盤面に降りたった。

 アナログになると、音の質感に華やかさが加わった。音楽に込められたエネルギーというか「気」のようなものが、より明瞭に体感できる感じである。

 アナログも私の好みに合わせてクラシックオンリーの選曲であった。(ishiiさんは普段はポップスやジャズも聴かれる。)

 私が持参したレコードもかけていただいた。Janine Andradeのヴァイオリンによるモーツァルトのヴァイオリン協奏曲(KV 211)である。ETERNAのモノラル盤である。古い音源であるが、華麗な質感の音がすっと立ち上がり、耳に心地よかった。

 マニアックなオーディオの世界は奥深く多様である。今日も多面的なオーディオの在り方の一つの側面を見ることのできたOFF会であった。




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