2019/11/21

5002:カウンター席  

 昨日は冷たい北風が強く吹いた。残念ながら風速が9メートルに達しなかったので「木枯らし1号」の認定は受けられなかったようである。

 打って変わって今日は穏やかな天候であった。風はほとんど吹かず、陽光が届いているエリアでは暖かく感じた。

 「オーディオショップ・グレン」が入っているビルにほど近いコインパーキングに着いたのは、午後6時前であった。まだ暖かさは残っていたが、日が暮れて真っ暗である。

 小暮さんには「7時頃に着く予定です・・・」と伝えてあった。時間に少し余裕があったので、「オーディオショップ・グレン」が4階に入っているビルの1階にある喫茶店「Mimizuku」に立ち寄ることにした。

 古びた木製の扉を開けると珈琲の香りがふんわりと香った。「いらっしゃいませ・・・」と低いトーンで女主人の声が静かに店内に響いた。

 4人掛けのテーブル二つには客の姿はなく、奥まったところに置かれている2人掛けのテーブルに一人初老の男性が座っていた。

 4席あるカウンターにも客の姿はなかった。いつものようにカウンター席の一番奥に座った。ナポリタンとホットコーヒーを頼んだ。

 「今日は暖かかったですね・・・」「ええ、昨日は北風が強くて寒かったから・・・」「でも、明日はまた寒くなるそうですよ・・・雨も降るみたいで・・・最高気温が10度ほどとのことですから完全に冬の気候ですね・・・」

 そんなとりとめのない会話を女主人と取り交わした。

 小暮さんからのメールには「ちょっと、面白いものを見つけました。といっても古いオーディオ機器ではないですけど・・・」と書かれていた。

 「ちょっと面白いものか・・・」と想像を掻き立てるような表現である。「ケーブルかな・・・小暮さんの所はウェスタンの古いケーブルを使ったものを使用されているけど、別のものを見つけてきたのであろうか・・・」そんなことを思いながら、カウンターに置かれたナポリタンを口にした。

 脇に添えられたホットコーヒーからは湯気とともに、気持ちを豊かにしてくれる香りが立ち上がっていた。

 白いカップに注がれている黒い液体を一口含んだ。その液体は舌の微細な突起の上を流れていった。いつもの安定した味わいであった。




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