2019/8/26

4915:CP2  

 計測開始ラインを越えて、今年の乗鞍が始まった。例年と違うのは、走るフォームである。痛めている腰に負担をかけないように背中のラインが真っ直ぐになるようにしていたのである。

 スタート直後は、ちょっとした渋滞状態である。それが解消されてくると、センターラインよりもやや右側に出て、出力を上げていった。

 これといった作戦があるわけではなかったが、10kmまでは220ワットの平均出力を維持したかった。後半は体や脚がきつくなってくる。200ワットの出力を維持するのがやっとになる可能性が高い。

 全コースの平均出力を210ワットに維持することができれば、昨年並みのタイムで走りきれるはずである。

 序盤は脚があるので、無理をしがちである。序盤で無理をすると後半でそのつけが必ず回ってくる。サイコンに表示される「10秒平均ワット」を定期的にチェックして無理をしないように抑え気味にクランクを回し続けた。

 スタートから2kmあたりの国民休暇村ホテル前を過ぎた。その先は木々が生い茂る高原の爽やかな道が続く。

 スタートから7km程先にある第1CPまでは斜度が比較的緩めである。脚の余力もまだある。フォームを10分置きに変更しながら、走り続けた。

 腰や背筋の具合は順調であった。4km、5kmと走行距離が伸びていった。チームでのヒルクライムではこのくらいの距離を走ったところで腰に痛みが出た。

 しかし、今日はまだ痛みが出るような兆候は感知されなかった。「大丈夫だ・・・しばらくこのままのペースで走り続けられる・・・」と、ほっとした。

 心拍数は170ほど。体にそれほどの負荷がかかっているわけではないが、余裕はなかった。ようやく第一CPである三本滝レストハウスの姿が視界に入ってきた。

 ここではボランティアの方が紙コップに入った飲み物を参加者に渡してくれる。それを受け取って一気に飲み干した。第一CPの前を通りすぎた。

 ここまでは思っていたよりも順調である。腰の痛みも出ない。「最後まで痛みが出ないで走り切れるかもしれない・・・」と思い始めていた。

 第一CPから第二CPまでの区間は約8kmほど。斜度の変化が結構ある。私は斜度の変化に弱い。斜度の変化、特にぐっと斜度が上がるエリアを通りすぎると、脚の余力がごそっと削られる。

 斜度が上がる場所ではダンシングでどうにかこうにか走り、斜度が戻るとペースを元に戻そうと歯を食いしばった。

 しかし、脚の余力は確実に減っていき、心許ないレベルまで下がってきた。そして、走行距離が10kmを超えたあたりから、腰回りの筋肉が強張ってくるのが分かった。

 筋肉が強張ってくると痛みが出る可能性が高まってくる。「痛みが出るかもしれない・・・」という恐怖感が心に覆いかぶさってくる。

 サイコンに表示される「10秒平均パワー」は数値が低迷してきた。その隣に表示されているスタートからの平均パワーも数値が下がってきた。

 第一CPを通過した時にはスタートからの平均パワーは220Wほどであったがその数値が下がってきて210Wに近づいていた。

 しかし、まだ第二CPには達していない。第二CPから先ゴールまでは、酸素も薄くなり挽回するのは至難の業である。

 斜度の変化は追い打ちをかけるように襲ってくる。ダンシングも力強いものではなく、やっとこなしているという弱々しいものに様変わりしていった。

 視界の先に第2CPである位ヶ原山荘が入ってきた。それに勇気づけられて少しだけペースを上げた。

 疲労感は体を覆いつくしている感じであった。ボランティアの方が差し出す紙コップを受け取る元気もなく、その前を通りすぎていった。

 スタートからの平均パワーは207Wまで下がってきていた。第二CPを通りすぎて少しすると「残り 5km」と書かれた表示板が道の左脇にあった。

 タイムを確認した。昨年のタイムよりも1分ほど遅れていた。ここから5km先にゴールがある。ここからは1kmごとに残り距離を示す表示板が道の左脇に置かれている。

 「苦難の5km」が待ち構えていた。走る者の心を折ろうとするかのようなコースが続くラスト5kmである。




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