2019/7/19

4877:交響曲  

 リスニングポイントには、オットマンとセットになったイージーチェアが置かれていた。私はそのイージーチェアに座った。Paoさんはオットマンをずらして、背後に持っていき、そこに腰かけた。

 木製のフレームにファブリックのクッションが組み合わされたもので、座り心地の良いイージーチェアであった。

 Paoさんの説明にいよると、このイージーチェアとオットマンのセットは、スウェーデンのデザイナー Folke Ohlssonがデザインしたもので、製品名は『Duxiesta set 4』とのことである。

 特徴的なのは多段階でリクライニングの角度を調整できる機構を有していることである。イージーチェアと同様にオットマンも4段階に角度調節が可能である。

 「この椅子に座って音楽を聴いていると、ついついリクライニングの角度を深く変えていってしまって、いつの間にか寝てることが多くてね・・・」

 Paoさんはそう言いながら、Nakamichi CDplayer2にCDを1枚セットした。かかったのはメンデルスゾーンの交響曲第3番「スコットランド」であった。

 ゆったりとした主題が流れ始めた。Paoさんは編成の大きなクラシックが好物である。なので、交響曲がかることは意外ではないが、メンデルスゾーンであることが少々意外であった。

 Nakamichi CDplayer2、Nakamichi IA-1、そしてONKYO D-77RXという組み合わせによるセカンドシステムの音は、伸びやかで予想していたほどにはドンシャリ傾向ではなかった。

 当初サランネットが外されていて、三つの精悍なユニットが見えていたONKYO D-77RXには、音楽がかかる直前にサランネットが装着された。

 「ネットは付けて聴いた方がバランスが良い・・・ないとちょっときつめに出てくるんでね・・・」とPaoさんは説明された。

 サランネットを付けた方が見た目的にも落ち着く。サランネットがないとフロントバッフルに目一杯感で並んでいるユニットがちょっとうるさい感じがする。

 「スコットランド」の第1楽章が終わった。「クラシックを聴いても破綻しないというか、良い感じで鳴っていますね・・・」私がそう告げると、Paoさんは「そうだろう・・・結構聴けるんだよね・・・これで十分だと思えるくらいに・・・」と答えた。

 その次にかかったのは、シベリウスの交響曲第2番であった。これはPaoさんが好きな曲のようで、メインシステムでも何度か聴いた覚えがある。

 さざ波のように揺れる弦の音を背景に木管楽器で奏でられる印象的な主題が美しい風景を連想させる冒頭が過ぎ去っていくと、全体のうねりが速くなったり遅くなったりを繰り返していく。

 この静かな部屋で、リクライニング角度を調整できるイージーチェアに座り、この交響曲を聴いていると、確かにリクライニングの角度を深く変更したくなる。

 オットマンに脚を投げ出して、さらにリラックス度合いを上げたなら、深い眠りに落ちていきそうである。

 部屋に一つある窓のガラスは、この家屋同様相当古いもののようである。まったいらではなく、その表面は少しうねっている。そのためガラスの向こう側の風景も微妙に歪んでいる。

 甘泉園公園に面しているガラス窓の向こう側には公園の木々の緑が見えていた。そしてかすかにその姿は歪んでいた。

 ガラス窓の向こうがわの世界と私達がいるこちらがわの世界、その二つの世界はガラス窓によって仕切られている。その接点はガラスの表面同様、やはり微妙に歪んでいるような気がした。




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