2019/5/18

4815:アクシオム80  

 アクシオム80を正面から眺めると、その複雑な構造から、同軸2ウェイかと勘違いしてしまいそうであるが、実はフルレンジユニットである。

 フルレンジユニットは、音の立ち上がりが速く、音の抜けきり感が素晴らしいという長所がある。ネットワークという呪縛から解き放たれたユニットは透明感に溢れた美音の持ち主であることが多い。

 今日は、そのアクシオム80をじっくりと味わう機会を得た。場所はHさんのリスニングルームである。御一緒したishiiさんとたくみ@深川さんは既に何度もその機会を享受されているようであるが、私は初めての経験となる。

 Hさんのリスニングルームに鎮座するアクシオム80はとても美しいキャビネットに納められていた。そしてそのユニットは実に凛とした姿をしていた。

 アクシオム80を駆動するのはパワーアンプがUESUGI製である。プッシュプルアンプで比較的コンパクトな大きさである。プリアンプはとある方に依頼して製作してもらった特注品である。

 レコードプレーヤーはガラード301。オルトフォンのアームの先にはトランス内蔵のSPUが装着されていた。CDプレーヤーはSTUDER A727。これらのオーディオ機器は2台のスピーカーの間の床にラックを用いずにセッティングされている。

 リスニングルームは10畳程の広さであろうか、狭くもなく広すぎることもなく、アクシオム80にとってとても居心地の良い空間が与えられていた。

 リスニングポイントには3人掛けの革製ソファーが置かれ、ゲスト3名はそこにゆったりと収まった。リスニングポイントからシステム全景を眺めていると、吟味しつくされた機器達が実に頼りがいのある名脇役たちに見えてくる。

 主役のアクシオム80は、そういった実力者たちに取り囲まれ、監督であるHさんの「スタート!!」という号令を待ち構えているかのようであった。

 まずはCDから聴かせていただいた。STUDER A727はプロユースらしい整然とした造形美を誇っていた。トレイ式であるが実に端正なデザインである。

 バロックを中心としたクラシックのCDがA727のトレイに次々に乗せられた。それらの演奏は「破綻」というものとは全く無縁のバランスの良さを醸し出していた。

 音の質感のみならずアクシオム80は見事な音場感を見せてくれる。50年以上の年月を経ているユニットとは思えない広くすっとした立ち上がりを見せる空間表現は気持ちを軽やかに高揚させてくれる。

 特に古楽器を使用した演奏においては、アクシオム80は自由闊達に己の長所を表出する。独自の音色や音の香りを携えて、舞い上がるように広い空間に放たれる音たちは、これ見よがしな華美さに走ることなく、ニュートラルな質感で音楽を真摯に伝えてくれる。

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 CDタイムの後はアナログタイムである。Hさんはアナログタイムに移ると、デジタル機器の電源を切り、RCAケーブルもプリンアンプから外し、CDプレーヤーの電源ケーブルも壁コンセントから抜いた。完全にデジタル機器からのノイズを遮断したのである。

 アナログタイムは実に豪華で充実した内容であった。様々な希少価値の高いレコードがガラード301のターンテーブルに乗せられた。

 「その中でも最も印象に残った1枚は・・・?」と問われたならば、Collegium aureumのVivaldiのレコードを上げるであろう。harmonia mundhiのオリジナル盤のレコードであるが、その清澄な音の響きは神々しいまでの美しさをたたえていた。

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 さらにもう一枚上げるとするならば、Sanssouci-Ensemble HamburgのBIBERのViolin-Sonatenであろうか。こちらも演奏、録音とも素晴らしく、心の中の開いた口が塞がらないという感じで聴き入ってしまった。

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 アナログタイムは質、量ともに十ニ分な聴き応えに満ちていた。時間の経つのも忘れて、暮れなずむHさんのリスニングルームでレコードに酔いしれた。

 アクシオム80は噂に違わず鮮烈な美音の持ち主であった。バランスよく鳴らし込むには相当な熟練の技が要求されるユニットではあるが、これでないと出せない孤高の魅力を持ったスピーカーであることは確かであった。




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