2018/10/27

4610:nightclub  

 摩周湖のホテル「乃の風」のロビーで見かけたMcIntosh XRT26の姿に心を奪われたことがきっかけとなり、横浜のMさんは、その巨大な「建造物」を今年になって新たに導入された。

 どこかしらニューヨークに聳え立つ高層ビルを思わせるXRT26は、JBL Paragonが鎮座するメインのリスニングルームではなく、横浜のMさんがオーナーとして経営されている会員制のワインスクール「Le Salon」の広大なサロン空間の一角に据えられた。

クリックすると元のサイズで表示します

 XRT26は二つの躯体を有している。一つは中低域用である。低域用に30cmコーン型ウーファー2個、中域用に20cmコーン型ミッドレンジをそなえている。

 もう一つは「タワー」と表すべき高域を担当する躯体で、高さが実に2.2メートルもある。この「タワー」は23個もの2.5cmアルミハードドーム型トゥイーターを搭載している。

 XRT26は、部屋の音響条件に合わせてチューニングできるよう、アクティブ・イコライザー・ユニットが付属していて、このイコライザーにより、広範囲な補正が可能となっている。このイコライザーの調整が音決めにとても重要な役割を担っているとのことであった。

 「Le Salon」の広々とした空間に置かれているのでしっとりと目に馴染むが、一般の家庭の空間には、すんなりとは収まりきらない物体である。

 これを駆動するのは、McIntoshのアンプ群である。パワーアンプはMC1000・・・巨大な躯体を有するモノラルアンプである。プリアンプはC26・・・これぞMcIntosh!と評すべき印象的で美しいデザインを有するプリアンプである。

 送り出しは、デジタルがEmmlabsの最新バージョン。そして、アナログはTHORENS TD521である。この豪華なラインナップにより、XRT26は奏でられる。

 私とチューバホーンさんは、横浜のMさんがご贔屓にされている「一楽」で素晴らしい中華料理のディナーを堪能した後、「Le Salon 」の豪華なソファに腰を掛けた。

 照明が落とされたサロン空間の中には、非現実的とも思われる雰囲気が濃厚に漂っていた。無音の状態でも、既に酔わせる諸要素が淡い霧のようにたなびいていた。

 最初にかかったのは、白井光子のメゾソプラノによるブラームス歌曲集から「野の寂しさ」・・・二人にとっては耳タコソフトである。

 ハルトムート・ヘルによる伴奏ピアノが流れ出した瞬間、芳醇な音の質感に瞬間的に魅せられた。濃厚でまろやか、温かみを感じる音の質感は耳に実に心地よいものであった。

 続いて白井光子の歌が流れ出した。そのボディー感は実にしっかりとした実在感を伴っていた。眼前でサロンコンサートが行われているのかと思わせる臨場感に心から浸ることができた。

 その音からはMcIntoshサウンドのエッセンスがしっかりと感じられた。「芳醇」「濃厚」「豪華」「華麗」そういった修飾語が、「タワー」に縦に並んだトゥイーターのように、ずらっと頭の中に並んだ。

 残念ながら、私はワインを嗜むことはないが、その味わいは超高級な赤ワインを思わせるものなのであろう。

 その後は、ポピュラー系のソフトやジャズなど様々な素晴らしい音楽が流れた。McIntosh XRT26の音の質感、そして「Le Salon」の現実的な世界をはるかに超越した豪華な空間に、すっかりと酔わせていただいた。「堪能」するというよりは「酔う」という表現がぴったりである。

 しばしの小休止の後、アナログタイムへ移行した。THORENS TD521はロングアームが前提のプレーヤーである。アームはSMEの3012Rが装着されていてその先端にはTHORENSのカートリッジが取り付けられていた。

 アナログになると、音の濃厚度合いがさらに深いものになった。醸造された年代がさらに遡ったワインのように、その味わいの舌への絡みつき具合が、重厚さをます。

 そして、チューバホーンさんのリクエストによりかかったPatricia Barberの「nightclub」から選ばれた「Yesterdays」は、SACDで聴いてから、さらにアナログでも聴かせていただいた。

 どちらも素晴らしいものであったが、「酔わせる・・・」という点においては、やはりアナログの方が一枚上手であった。

クリックすると元のサイズで表示します

 そのジャケット写真には、彼女の美しい横顔が写っている。そして、椅子に座る彼女の前のテーブルにはワイングラスが置かれている。この「Le Salon」で、しかも夜に聴くには、最もふさわしい1枚であろう。

 実に豪華な時間であった。「Le Salon」から立ち去る時には、私とチューバホーンさんは「さっ・・・現実の世界に戻りましょうか・・・」と声を掛け合った。




※投稿されたコメントは管理人の承認後反映されます。

コメントを書く


名前
メールアドレス
コメント本文(1000文字まで)
URL




teacup.ブログ “AutoPage”
AutoPage最新お知らせ