2018/7/30

4521:Integra A7  

 その古い段ボール箱には「ONKYO Integra A7」と印刷されていた。Integraという名称はONKYOがアンプに用いていたものである。

 「かなり古いもののようですね・・・これはプリメインアンプですね。ONKYOというメーカの物です・・・ちょっと開けてみていいですか・・・」

 彼女の承諾を得て、その古い段ボール箱を開けた。中には両側を発泡スチロールに抑えられて固定され、ビニール袋で梱包されたアンプの姿が見えた。

 それを箱から出して、ビニール袋をはがした。当時の取り扱い説明書も入っていた。重さは10kgほどあるのであろうか、持つとしっかり感がある。

 それをリビングルームのサイドボードの上の空いたスペースに置いてみた。思っていたよりもシルバーのパネルはきれいな状態を保っていた。段ボールの中には乾燥剤も数多く入っていたので、それが効果を発していたのであろうか。表面のパネルには錆や傷が見当たらない。

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 そのデザインは、やや無骨と言っていいかもしれない。ボリュームノブやセレクターレバー、そして様々なボタン類は整然と配置されていて、その配置の具合が「MADE IN JAPAN」の王道を行くかのような安定感のあるものである。

 使用中もきっとこまめに清掃されていてのであろう。この時代のオーディオ機器としては異例なほどに綺麗である。

 元箱が取ってあることからしても、彼女の夫は相当几帳面な性格であったことが想像された。そのシルバーに光るフロントパネルやノブなどを眺めていると、少しほっとした気分になった。

 「これはきっと1970年代後半の製品でしょう。先日引き取られていったような海外製の高級品ではなので、値段はほとんどつかないでしょう。値段が付いたとしても数千円といったところでしょうか・・・相続財産に加算する必要はなさそうですね・・・」私は、「寧々ちゃん」にそう言った。

 「そうですか・・・やはり古いものですものね・・・」彼女は少し落胆した様であった。

 「でも、とてもきれいな状態ですね・・・こういった古い日本製のアンプで良い状態の物は少ないですから、値段がつくかもしれません。引き取って、当たってみましょう。ちゃんと動作すればいいのですが・・・電源だけでも入るかどうか試してみましょう・・・」

 私はその綺麗にまとめられていた電源ケーブルを伸ばして、サイドテーブルの脇にあった壁コンセントに差し込んだ。

 そしてフロントパネルの左下にある丸い電源スチッチを押した。カチッと硬質な音がした。その電源スイッチの直ぐ上に配置されている赤いパイロットライトがすぐに点灯した。

 「どうやら電源は入るようですね・・・あとは音がちゃんと出るかどうか・・・それは私が自宅に持ち帰って試してみます・・・以前ご主人が使われていたものですか・・・?」

 「ええ、結婚前から使っていたもののようです。ここに引っ越しても最初の内はリビングではなく、レコード部屋にこれとレコードプレーヤーと小さなスピーカーを置いて聴いてました。レコード部屋の空き空間がだんだん無くなってきて、子供も大きくなったので、リビングに新たなオーディオセット購入して置きました。その時古いものは廃棄したと思っていたんですが、これだけは思い入れがあったんでしょう、残したみたいです。」

 「そうでしたか・・・」私はそのしっかり感のあるボリュームノブを少し回してみた。クリック感がしっかりとあって、指先から高級感が感受された。その他のセレクター類のノブを左右に回してみたが、やはりしっかりとした作りがなされていた。

 「その当時の価格はどれくらいであったのであろうか・・・59,800円ランクであったか、あるいはそのひとつ上くらいであったのであろうか・・・」そんなことを思った。その当時、オーディオ機器の定価は、●9.800円というのがお決まりで、きっちりとクラス分けがなされていた。




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