2018/6/29

4490:ヨーロッパ連合  

 GOLDMUND MIMESIS 39Aはトップローディング方式のCDトランスポートである。ブラックアクリル製のふたを上に跳ね上げてCDをセットする。

 今日、この「オーディオショップ・グレン」に集まった3名は、いずれもトップローディング方式のCDプレーヤーを使っている。

 小暮さんはMIMESIS 39A、グールドさんはKRELL CD-DSP、そして私はORACLE CD-2000である。いずれも各メーカーの主張の籠った個性的なデザインをしているが、トップローディング方式であるということは共通している。

 セットしたCDの上に小振りなスタビライザーを乗せてから、その蓋は手動で静かに閉められた。MIMESIS 39Aはフロントパネルに操作ボタンが綺麗に並んでいる。

 その一つを小暮さんは押した。最初にかかったのは、グレン・グールドのピアノによるバッハのゴールドベルグ変奏曲である。

 グールドさんの愛聴盤である。グレン・グールドは、1955年そのデビュー盤としてこの曲を録音し、翌1956年に発売している。さらに彼が50歳で亡くなる前年に当たる1981年にも、この曲を録音している。

 彼にとって、この曲は特別な存在であり、どちらの盤も名盤として名高い。23歳の時の演奏であるデビュー盤と、彼にとっては晩年となる49歳の時の録音では、その醸し出す雰囲気はまったく異なっている。

 一般的には1981年の録音のものが広く知られている。そこにはグレン・グールドのみがなしえる孤高の演奏が記録されていて、記念碑的な存在となっている。

 MIMESIS 39Aにセットされたのも、この1981年に録音されたものである。グールドさんが持参されたCDである。再発盤ではなく、発売当初のものである。

 CDが初めて世に出された時代のCDであり、コレクターズアイテム的な存在である。CDもレコード同様、オリジナルと再発では音が随分と違う。

 このCDは人気が高いので、繰り返しリマスタリングされて再発された。SACDも出されたし、非常に高価なガラスCDも出された。

 グールドさんは、そのハンドルネームが示す通り、グレン・グールドの大ファンである。この1981年録音のゴールドベルグ変奏曲だけで5枚のCDをお持ちである。(その中には高価なガラスCDも含まれている。)「でも、やっぱり録音の翌年である1982年に発売されたオリジナルのCDが一番しっくりときますね・・・」と話されていた。

 このCDからは一切の束縛から解放されたかのような彼独自の音世界が展開する。テンポは極端にデフォルメされ、時には異様なまでに遅くなったり、速くなったりするが、それが不思議と耳に馴染む。体に無理なく浸透していくので、拒絶反応は起きない。

 ゴールドベルク変奏曲は全部で30曲ある。そのうちの10曲まで聴き進んで、小暮さんはリモコンのストップボタンを押した。

 グールドさんは、KREL CD-DSPを送り出しとして、KRELLのプリアンプとパワーアンプで、WILSON AUDIOのCUB(オリジナル)を鳴らされている。CDのみでアナログはされていない。

 GOLDMUND、OCTAVE、そしてRaidho Acousiticsという組み合わせで聴いたゴールドベルグ変奏曲はどのように心に響いたのであろうか・・・

 「OCTAVEは真空管のアンプと聞いていたので、もう少し暖色系かと思いましたが、結構硬質というか、カチッとしたしっかり感のある音でしたね・・・総体として良い印象です。このスピーカーなかなかの実力ですね・・・」

 グールドさんはそう評された。確かに、私も同じような印象を持った。スイス、ドイツ、デンマークというヨーロッパの国々のオーディオ機器によって構成されたシステムは、なかなか実力が高い。




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