2018/3/30

4399:ハーツフィールド  

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 JBLのハーツフィールドは1954年の発売である。まだ、モノラルの時代であり、2台ペアではなく1台ごとに販売されていた。

 発売された翌年の1955年にはタイム誌の表紙を飾り「究極のスピーカー」と絶賛された。このハーツフィールドの成功により、JBLの名は一躍世界に広がった。

 ハーツフィールドはかなり大きなスピーカーであるが、Mさんのリスニングルームにおいては、その大きさを感じさせない。

 ハーツフィールド背後の壁は「パイプオルガンをイメージして設計してもらいました・・・」と言われるとおり優雅なデザインが施されている。

 ロードバイクで106kmを走破し、三つの峠を全力で上りきった同じ日の夕方、私はまったく別世界と評したいほどに贅沢な空間に身を置いていた。

 この広々とした空間でレコードコレクターでもあるMさんの貴重かつ膨大なコレクションの一部を聴かせてもらった。

 レコードプレーヤーはEMTとトーレンスのどちらも巨大なものである。その姿かたちからは巨大なエネルギー感をひしひしと感じる。

 JBL ハーツフィールドが聴かせる音楽は実に濃い。濃厚な空気感の中にきらきらと煌めくブリリアントな響きがリスニングポイントに向かって迫ってくる。

 その響きは耳の鼓膜を通じて、脳の聴覚中枢の奥のほうまで届くかのようである。ロードバイクのロングライドで体は相当に疲れているはずであるが、レコードでクラシック音楽を聴いている最中でも意識が遠のくような感覚はなく、むしろ覚醒するかのようであった。

 ハーツフィールドはその大きく美しい姿形からも独特のオーラを盛大にはなっていたが、その奏でる音からも、じりじりと肌で感じるほどに強い輝きを放っていた。

 時代的にはモニターシルバーを搭載したTANNOY GRFとほぼ同じである。しかし、TANNOYが聴かせる世界とは全く別のものである。

 「1950年代のアメリカ・・・黄金期を迎えていたアメリカ・・・ベトナム戦争前のアメリカ・・・」ハーツフィールドの音からはなぜかしらそういった輝かしさを感じた。

 ハーツフィールドのキャビネットは製造されてから60年以上の年月が経過している。完全に乾ききったキャビネットの響きは、黄金期の輝かしい記憶を音として表現しているのかもしれない。 




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