2017/12/22

4301:2ピース  

 階段を上っていった。階段には光量が不足がちに思われる蛍光灯がついていた。その寒々しい白い光は、階段のコンクリートをほのかに照らしていた。

 4階まで上がった。少し息が切れた。金属製のドアをノックすると鈍い音が響いた。「どうぞ・・・」ドアの向こう側から声がしたので、ドアを開けた。

 靴を脱いで用意されていたスリッパに履き替えた。リスニングポイントに置かれているソファに向かうと、先に到着していた大川さんが座ってコーヒーを飲んでいた。

 挨拶をして、私もその黒い革製のソファに座った。視線は自然とそのリスニングポイントから見て右側に見える大型ラックに向かった。

 そこには前回とはまったく異なった機器たちが並んでいた。その中でもひときわ目を引いたのが銀色をした2段重ねのプリアンプであった。

 躯体は2つに分かれていて下の躯体が電源部で上の躯体がコントロール部のようである。コントロール部には丸い質感が滑らかさを感じさせるノブが6個並んでいる。
 
 電源部には切り替えスイッチと電源スイッチ、さらにVUメーターが装備されている。そのVUメーターは特徴的なもので、上下に針がある。

 「これですか・・・また随分と物量が投入された感じがひしひしとしますね・・・」

 「これは、ステンレス製のボディーで、実にこだわった作り方をしているんだよ・・・真空管は12AU6が6本・・・この真空管も珍しいよね・・・ボリュームはスペクトロール社製の高精度なものがつかわれていて、細部まで練り込まれれている。」

 小暮さんが簡単に説明してくれた。そのわきには先日大川さんのお宅で見かけた同じく是枝重治氏製作のプリアンプが置かれていた。こちらはとてもコンパクトなデザインである。

 新たに目にする2ピース構成のプリアンプと比べると、軽量級というか、その存在感はやや薄く感じられてしまう。

 前回あったLEAKのプリアンプとパワーアンプは売れてしまったようでなかった。その代り2台の是枝重治氏製作のプリアンプが並び、さらにシルバーのハンマートーンのボディーをまとったモノラル仕様の真空管式パワーアンプが置かれていた。

 その整然とした造形は実にけれんみのない心地よいものであった。「このパワーアンプはどこのものですか・・・?300Bのプッシュプルですね・・・」と訊くと「これも是枝重治氏製作のもので・・・このプリとセットで最近入荷したんだ・・・」と、小暮さんは答えた。

 300Bのプッシュプルでモノラル構成・・・こちらもきっと優れたものであろうと思わせる外観である。出力管と整流管にはWESTERN-ELECTRICのロゴが誇らしげに印字されていた。

 送り出しは小暮さんの私物であるGOLDMUND MIMESIS39とMIMESIS12がセットされていた。前回オーディオラックに置かれていたROKSAN XERXES10はなくなっていた。こちらも売れてしまったようである。

 そしてスピーカーは、TANNOY ARDENが置かれていた。内振りを付けない平行設置でその巨体は置かれていた。

 今日はビンテージというよりも、少し古いことは古いが、「オーディオショップ・グレン」としては比較的新しい時代のオーディオ機器で構成されていた。  




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