2015/7/27

3417:和田峠  

 和田峠は上り始めた者を穏やかに迎えてくれる。鬱蒼と茂った木々は峠道に木陰を提供してくれていて、近くを流れている沢により気温は涼やかなものになっている。

 その峠道をしばし進んでいくと、やがて本来の和田峠の姿が見えてくる。斜度が上がり始める。そして一旦上がった斜度は緩むことがない。

 爽やかな空気が流れていた和田峠の峠道を満喫できていたのは最初のうちだけであった。斜度がぐっと上がってくると、余裕は全く無くなってくる。

 心拍数はあっという間に170を超えた。「今日は175以下で抑えていこう・・・」そんなことを頭の中でぼんやりと考えていた。

 体にキレはなく、脚は重かった。前を行くメンバーは3名。斜度がぐっと上がるポイントごとにずるずると遅れていった。

 ギアは最も軽いギアに固定されたまま・・・思わず苦笑したくなるような厳しさの斜度のところはダンシングでこなしていった。

 心拍数は170〜175ほどで推移していた。すぐ前を行くメンバーの背中は見えたり隠れたりしていたが、追いつくためにギアを上げる余裕は寸分もなかった。

 3.7km程の和田峠の上りも終盤に入ってきた。残り1kmを切ったあたりで、後方から一人のメンバーが追いついてきた。

 二人は前後になったり、並走したりしながら、残りが少なくなってくる峠道を進んだ。斜度は緩むことがないので、二人ともぎりぎり走行である。

 二人になるとなんだか心持ちが楽になった。そのまま2度ほど急カーブを曲がって上がっていくと、直線の先に峠の茶屋が目に入ってきた。そこが頂上である。

 「スパートしますか・・・?」

 私は並走してるメンバーに話しかけた。

 「3,2,1で行きましょう・・・」

 「3・・・2・・・1・・・スタート!」

 サドルから腰を上げ、最後のスパートをした。厳しかった和田峠をどうにか上り終えた。峠の茶屋は閉まっていた。神奈川側へ下りていく道は崩落により通行止めとなっていて、その影響であろうか・・・

 足場用のパイプで組み立てられているサイクルスタンドにKUOTA KHANをかけて、峠の茶屋の休憩所に腰かけた。

 ペースは上げられなかったが、心拍数は170〜175でしっかりとコントロールできていて、走りがだれることはなかった。現状の体調と調子では、まずまずといったところか・・・前回の有間峠の時のように脚が攣りそうになることもなかった。少し安心した。

 峠の茶屋はやっていなかったが、その休憩所でしばし疲れ切った体を休ませた。屋根があって陽光を遮ってくれる。峠を渡る風が通り抜けていき、実に心地よかった。

 和田峠はいわゆる「激坂」である。70kgの体重がある私にとっては一番の苦手科目ではある。しかし、上り切ると独特の解放感がある。

 「たまには『激坂』もいいな・・・」

 そんなことを思いながら、峠の景色をぼんやりと見ていた。その休憩所は居心地が良かったので少し根が生えてしまった。

 「下りたくないな・・・下ってしまえば灼熱が待っているだけだ・・・」

 心の片隅に巣食ったそんな思いが腰をすっかりと重くしてしまっていた。

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