2015/5/30

3359:夜  

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 WILSON AUDIOのWATT3/PUPPY2を後方の窓から入り込む光を背にシルエットで眺めていると、その姿はなんだか修道僧を思わせるものがある。黒いローブを着こみ、フードを深々と頭にかぶり、影から覗き込む眼光には敬虔な光が宿る・・・そんな修道僧のイメージである。

 その修道僧的な造形美を誇るWATT3/PUPPY2を駆動するのは「オールドレビンソン」と呼ばれる時代のMARK LEVINSONのプリンアンプとパワーアンプ。

 プリアンプ ML-1の姿形は、どこかしら禁欲的で清廉なイメージである。研ぎ澄まされ、無駄なものが一切排除されたような清々しさを感じる。

 送り出しはアナログがORACLE DELPHI W。デジタルがMARK LEVINSON No.390SL。どちらも現代的で優れたデザインのオーディ機器である。

 今日はまた夏のような暑さが戻った。最高気温は30度を超えたのではないか・・・そんな晴れ渡った空の下、ハンコックさんのお宅にお邪魔した。
 
 最寄り駅で待ち合わせ、歩くこと数分でハンコックさんがお住いの真新しいマンションに到着した。早速リスニングルームに入った。部屋の広さは6畳ほどであろうか。

 大きな窓を背にオーディオシステムがセッティングされている。おやっと思ったのは、スピーカーが「交差法」と呼ばれるポジションでセッティングされていたこと・・・

 「今、色々と試しているんです・・・この交差法も試行中で・・・このセッティングだと音の雰囲気が明るくなるんですよね・・・」

 とハンコックさんは話されていた。まずはこのセッティングで何曲が聴かせていただいた。CDで数曲ほど・・・レコードでも数曲・・・

 なるほど、明るく爽やかな空気感が心地よい。自然な空間表現も無理がなく、オールマイティーに音楽を楽しめる。

 ハンコックさんのメインジャンルはJAZZ。それも1950年代から1960年代前半にかけての古い時代のJAZZである。レコード棚にはその時代の貴重なレコードコレクションが並んでいる。圧倒的にBLUE NOTEが多い。このコレクションをJAZZのレコードコレクターが見たならばきっと歓喜するはずである。

 「このセッティングだと、JAZZの『夜』の感じが少し出ないんですよ・・・」

 そう言われてみると、JAZZが持つ「夜」の感じ・・・暗く、陰鬱とも言っていいような気怠さや妖しい雰囲気が少し足りない。もっと清潔感があり、整理整頓された爽やかな空気感が支配的である。

 「では、従来のセッティングに戻してみましょう・・・」

 そう言ってハンコックさんは、二人の「修道僧」をオーディオボードの上で外向きにゆっくりと回し始めた。

 いわゆる「平行法」ではない。内振り角度を多少付けた位置に二人は収まった。その二人の目線の交差点はリスニングポイントに座る人間の頭の少し後方あたりであろうか・・・

 JAZZの古いレコードをかけた。「DEXTER BLOWS HOT AND COOL」であった。ディクスター・ゴードンが麻薬中毒で病院に入院する直前に録音したレコードである。

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 「夜」の雰囲気である。それも「ラウンド・アバウト・ミッドナイト」の雰囲気である。そのジャケットに写るゴードンの虚ろな目線そのもののように暗く悲しげなサックスの音色が心を揺さぶる。

 「この時代のJAZZの持つ雰囲気はこちらの方が出る感じがしますね・・・オールマイティーではないかもしれませんが・・・」

 その後は貴重なJAZZのレコードコレクションを次々と聴かせもらった。WATT3/PUPPY2は夜の闇に蠢く、豊かな音楽のうねりを放出してくれる。「オールドレビンソン」たちはその色合いをより魅力的なものにするために、緩やかに熱を放出し続け、ORACLE DELPHI Wは、無表情なバーテンダーのようにそのこなすべき仕事を無駄な動きを挟まずに黙々とこなしていた。

 そんな「夜」の終幕を飾ったのは、「ROUND ABOUT MIDNIGHT」。MILES DAVISの名盤中の名盤である。「JAZZ」と「夜」と「敬虔な祈り」を堪能して、豊かな時間は過ぎていった。



2015/6/1  7:36

投稿者:tao

ハンコックさん

先日はありがとうございました。
あの時代のJAZZは独特の魅力に溢れていますね。
オリジナル・レコードにはその息吹がしっかりと記録されていて、うれしくなります。
また、聴かせてください。

2015/5/31  21:34

投稿者:ハンコック

こんばんは。
昨日は、お疲れ様でした。
ハードバップばかりで恐縮ですが、
また遊びに来てくださいませ。


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