2015/3/28

3296:Super3  

 前面上部にはスラントした部分があり、また下部にも斜めにカットされたような造形を見せる。この形状はモダンであり、このそれほど大きくはないスピーカーの押しつけがましさのない良識ある美意識をしっかりと感じさせる。

 そしてその上部、いわゆる天板部分にはネットの向こう側にユニットの存在が分かる。これが斜め上やまっすぐ上に向けて取り付けられたミッドとハイを受け持つユニットである。ウーファーは前面を向いてる。担当する音域のユニットごとに向いている方向がまちまちなのである。

 これは緻密な設計があってのことであろう。単なる思い付きによるものではないはずである。音響学というものがあった時代・・・1950年代後半の設計である。

 英国の名門スピーカーメーカー、Wharfedaleの代表作は「Airdale」。そのエッセンスをよりコンパクトな形状で取りまとめたのが「W3」と言っていいであろう。

 「W3」はその名のとおり3ウェイスピーカー。ウーファーは12インチ。スコ―カーは7インチ。ツイーターのユニットは「Super3」というかっこいい名前の付いた3インチのユニットである。それぞれ、その時代を代表する貴重なユニットである。

 オーディオショップ・グレンの室内には、このW3のペアのみが置かれていた。アンプはLEAKのアンプがラックに数種類並んでいた。

 モノラルプリアンプのVarislope。ステレオプリアンプのPOINT ONE STEREO。パワーアンプはモノラルタイプのTL-10とステレオタイプのSTEREO50。

 W3を駆動するのはモノラル構成であった。VarislopeとTL-10にオレンジ色の灯りがついていた。送り出しは前回と同様LINN LP12。アームはSME 3009R。カートリッジはオルトフォンMC20。

 マラーの交響曲第4番第1楽章と第2楽章。バッハの無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第3番、そしてチャイコフスキーの交響曲第6番第1楽章を聴いた。

 W3は音の出方が柔らかい。金属質の硬質感を感じさせことなく、高く広い空間表現をする。厳しく刺すような視線を感じさせることはなく、手を広げ天を仰ぐ女性のような受容性を感じさせてくれる。

 「良いですね・・・このスピーカー・・・部屋があまり広くなくてもしっかりとホール感を感じさせてくれそうですね・・・例えば6畳の和室で聴いても、それなりにワープ感を感じさせてくれそうな気がします。」

 私はコーヒーカップの取っ手を右手で持って、左手を丸く窪ませてソーサー代わりにしていた。カップの中のコーヒーはもう入っていなかった。底に残ったわずかな黒い液体が少しいびつな円環を描いていた。

 「Super3が良いんだよ・・・きっと・・・小さなユニットにこれでもかというほど立派なアルニコがついているんだ。贅沢なつくりだよね・・・良識と良心、それと美意識の勝利って感じのスピーカーだね・・・」
 
 オーナーはそう言って、特殊な表面処理をした布でW3を磨き上げるように拭いていた。W3のキャビネットは鈍く深い光を放っていた。



2015/3/30  7:09

投稿者:tao

seiboさん
この時代のスピーカーって何故かしら「風情」といったものを感じます。
「機能」も大事な要素なのですが、この「風情」も音楽を聴くうえで重要な要素のような気がしています。

2015/3/29  9:30

投稿者:seibo

これは良さそうなスピーカーですね。デザインも!僕が以前使っていたLOWATHERは日本製の箱だったのでまったく低音が駄目でしたが、同じLOWTHERでもtp−−1という4本脚のついた家具のような美しいスピーカーを聞かせて貰った時にはそのあまりの違いに驚いた記憶があります。やっぱり昔のスピーカーは昔のエンクロージャーに入っていないと真価を発揮できないようですね。

http://eranderu.exblog.jp/


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