2014/8/23

3080:マジック  

 私の好きな映画の一つに「バグダッド・カフェ」がある。「バグダッド・カフェ」は1987年制作の西ドイツ映画である。まだベルリンの壁が崩壊する前の映画である。

 アメリカ合衆国ラスヴェガス近郊のモハーヴェ砂漠のうらぶれたカフェに集う人々と、そこに現れたドイツ人旅行者ジャスミンの交流を描いた作品で、日本では1989年に公開されて話題となった。

 この映画の主題歌であるジェヴェッタ・スティールが歌う「コーリング・ユー」は、アカデミー賞最優秀主題歌賞にもノミネートされるほどの世界的なヒット曲にもなり、映画よりも主題歌の方が有名となった感があった。

 この映画における重要なモチーフは「マジック」である。「マジック」によって驚かされる人々の心は軽くなり、明るくもなる。マジック・・・それは魅惑的な存在である。

 今日はバグダッド・カフェに出向いたわけではないが、オーディオによる新たなるマジックを経験する一日となった。場所はGRF邸の広々としたリスニングルームである。

 この部屋での定番のマジックは「T4マジック」である。これに関しては私はすでに数多くの経験がある。経験があるが、この広い部屋の真ん中あたりの床につつましやかに置かれている小型2ウェイスピーカーであるT4が鳴っているとはどうしても看破しえないほどの背面空間表現マジックが展開する。

 「やはり後方のGRFが鳴っているとしか思えない・・・」

 同席したshanshanさんと私は、呟かざる得なかった。この出し物に関してはすでに経験済みであったので、その不思議を再認識するという経験となった。

 そして新たなマジックは二つあった。両方ともデコラによるマジックであった。まあ、その存在そのものが一種のマジックのようなものでもあるデコラであるが、この部屋では、その存在だけでなく、奏でる音によっても壮大なマジックを展開するのである。

 まずは、ステレオのレコードがかかる。プリアンプの真空管がオリジナルのものに変更されたデコラはその空間表現が劇的に変化した。

 デコラは超豪華にして壮麗な意匠を纏った家具調コンソール型オーディオ機器である。GRFさんのデコラは1962年製・・・私よりも一歳年上である。

 その音場は実に広々としている。水戸黄門に連れ添う「助さん」「格さん」のようにデコラの両サイドに控えているGRFの端にまでらくらく達するその広大な広がりは、一瞬耳と目の感覚のずれをさそう。どうしても「GRFが鳴っている・・・」と私の脳は告げるからである。

 その不思議さはジャスミンとブレンダの二人がバグダッド・カフェで披露するスティックによるマジックのようである。

 「T4マジック」同様「デコラ・マジック」もその手際の良さと、魅惑的な不思議音場体験が聴く者の心をすっかりと虜にする。

 さらに「デコラ・マジック」には渋いMONOマジックもあった。MONO盤のレコードをかけるのであるが、それと言われなければMONOだと全く気付かないのである。

 MONOにも音場がしっかりとあったのか・・・という目から鱗体験がしっかりとできるのである。MONOだと知らされて改めて目を凝らすのであるが、耳から伝わる情報により投影される脳内スクリーンの映像は、しっかりとした広さを持っている。

 デコラのスピーカーは2ウェイ。楕円形のウーファーの上には六つのツイーターが複雑な方向に配置されている。この独特のスピーカー配置が、このマジックの肝であろうことは推測がつくが、その様子を眺めてもマジックのタネは全く見破ることはできなかった。やはりマジックはマジックのままであった。そして、実に魅惑的であった・・・

クリックすると元のサイズで表示します




※投稿されたコメントは管理人の承認後反映されます。

コメントを書く


名前
メールアドレス
コメント本文(1000文字まで)
URL




teacup.ブログ “AutoPage”
AutoPage最新お知らせ