2014/7/30

3056:スコール  

 想像していたとおり、睦橋通りは灼熱の地獄と化していた。この通りは日影がほとんどない。容赦ない太陽光が疲労した体から残り少なくなった体力をさらに剥ぎ落していく。

 ここは一旦赤信号につかまると、どういうわけか連続してつかまり始める。ストップ・アンド・ゴーの繰り返しとなる。それがまた脚を疲弊させる。

 普段、ロングの帰りにこの睦橋通りを走る時には、アドレナリンの助けを借りてハイペースで飛ばすことが多いのであるが、さすがに今日はそういうわけにはいかなかった。

 普段よりも倍くらい長く感じられた睦橋通りを走り終え、国道16号を横切って、ようやく休憩ポイントである拝島駅そばのコンビニに到着した。

 ここで昼食をとった。皆、冷たい麺を選択していた。私は「冷やしたぬきうどん」を選んだ。ゆっくりと食べようかと思っていたが、天候が急変した。

 空には黒い雲が急速に広がり始めていた。そして、強い風が吹き始めた。その風は、激しい雨を引き起こしそうな雰囲気をくっきりと示していた。

 今後起こる可能性についてメンバーの認識は一致した。すぐさま手元の食料を胃袋のなかに収めて、ヘルメットをかぶり、ハーフフィンガータイプのグローブを付けた。

 隊列を整えて帰路を急ぐこととなった。玉川上水に沿って走った。東大和グループの2名は途中から、隊列を離れ、ショートカットできるコースを選択することとなった。

 北の空には真っ黒な雲が陣取っていた。2台のロードバイクはその巨大な雲に向かって走った。雲が上空を完全支配するのが先か、あるいはロードバイクが家に帰り着くのが先か・・・疲れているのに自然とペースが上がった。

 残念ながらその「競争」は敗北に終わった。もうすぐ家に着くという地点で強烈な向かい風とともに矢のような雨が地面をロードバイクを、そして陽に焼けた肌を強く打ち始めた。

 その雨は周囲にバタバタという襲撃音を発生させながら強くなり続けた。熱帯のスコールのようにその雨はあたりの雰囲気を一変させた。

 途中でメンバーと別れ、家路を急いだ。もう体もロードバイクも濡れ鼠状態である。陽に焼かれ続けた体にその激しい雨は独特の快感をもたらしてくれた。

 その激しさは、いろんなものを心と体から流し去るかのようであった。体からは汗を流し去り、心からは執着心のようなものを流し去った。赤信号で止まった時、真上を見上げた。顔に雨粒が強くあたり弾け飛んだ。




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