2014/2/21

2898:ラフマニノフ  

 夜になってから、事務所の傍にある「Anytime Fitness」に向かった。中に入ってトレーニングウェアに着替え、エアロバイクにまたがった。

 これから1時間汗をかくことになる。エアロバイクのモニターにはテレビ画面が付いていてイヤホンを持参すれば音声も聞けて、普通にテレビを観ることができる。

 漕ぎはじめはやや軽めの負荷でペダルを回す。アップを兼ねているのでそれほど無理はしない・・・15分ほどすると軽く汗ばんでくる。額や顎から時折汗が落ちる。そしてその頻度が上がってくる。

 徐々にペダルを回すペースを上げる。30分を経過するまではペダルの負荷を上げはしないが、テンポを速めていく。流れる汗の量も増えてくる。

 テレビ画面からは、女子フィギュアスケートのフリーの演技がVTRで流れていた。浅田真央のフリーの演技は実に感動的であった。

 前日のSPでまさかの大失敗・・・茫然自失状態から見事に立ち直り、前日とは別人のように華麗にすべてのジャンプをミスなく飛んだ。

 演技を終えた瞬間・・・こみ上げる感情を抑えることができずに涙を流す姿にどれほど多くの日本人が一緒に涙を流したことだろう・・・メダルには届かなかったが、観ている者の心を強く揺さぶる見事な演技であった。

 浅田真央がフリーで使用した曲は、ラフマニノフのピアノ協奏曲第2番である。甘くロマンチックでとても美しい曲である。この曲も彼女の演技の美しさ・華麗さを引き立たせていた。

 この曲は20世紀の初頭に書かれた。一般受けは良かったのであるが、評論家からは酷評された。「時代錯誤の極致」「前世紀の遺物」といった評価を受けたのである。時代は「12音技法」などの新しい音楽理論が華やかなころであった。

 ロマンチックなこの曲は映画などでもつかわれることが多い。劇的な展開を見せるこの曲は、聴く者の感情を大きく揺さぶる素晴らしい音楽である。

 30分を経過すると負荷をぐっと上げる。ペダルの重さは1〜25まで選択することができる。その「25」まで負荷を上げるのである。当然ペダルを回すペースは落ちる。体を少し左右にゆすりながら脚に力を込める。汗が少し左右にずれて落ちていく。

 浅田真央のフリーの演技のVTRが再度流れる。ラフマニノフのピアノ協奏曲第2番の調べに乗って細いしなやかな体が華麗に舞う。次々に難度の高いジャンプを決める。そして躍動感のあるステップを踏む。音楽が途絶え、演技が終わった瞬間、彼女は天を仰ぐ。表情がゆがみ、嗚咽を抑えきれない。 その様子は何度見ても胸に強く訴えかけるものがある。

 残り時間の表示が2分を切った。ダンシングに切り替える。残り1分となってラストスパート・・・心の中ではラフマニノフのピアノ協奏曲第2番が流れ続けていた。




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