2013/11/21

2807:定  

 小学生の女の子が4人、仲よさそうに一列に横に並んで道の端を歩いていた。車を少し膨らませてよけるようにして、追い越した。

 四つの横に並んだランドセルがリズミカルにはねるようであった。赤・ピンク・水色・白・・・全てのランドセルの色が違った。女の子達の背格好はほぼ同じであったので、横一列にそれらの色とりどりのランドセルが並んで見えた。

 「最近のランドセルはカラフルだね・・・白なんてあるんだ。はじめて見た・・・」

 私は、助手席に座っている「寧々ちゃん」に話しかけた。

 「白って汚れそうだけどね・・・一昔前は女の子なら赤一色だったのに・・・自分の娘の時も赤だったし、その頃には少しピンクの子もいたようだったけど・・・」

 「うちの二人の娘も確か赤だったな・・・ああいうのは、子供に決めさせているのかな・・・子供が白がいいって言っても、白は汚れるからだめって言っちゃいそうだな・・・」

 「子供がランドセルを背負って居たのは、もうずいぶんと昔の話になっちゃった。今21歳だから・・・何年前・・・9年も前のことかな・・・」

 彼女は窓から外を見ながら話した。天気は良かった。風もなく穏やかな午後であった。空は青一色である。ここ数日こういった晴天が続いている。

 幾つかの細い道を通って、少し幅が広い中央通りにでた。交差点を右折してすぐに脇道に入った。脇道を少し行った先に「定」の駐車場がある。

 「なんだか、ほっとするようなうどん屋さんに行ってみたい・・・」数日前のメールに彼女はそう書いてきた。

 「なら、良いところがあるよ・・・麺の質感も味も店構えも、そして肉汁の濃さも、なんというか武蔵野うどんの中庸を行く感じで、とてもまったり出来る店が東大和にあるよ。『定』という店名なんだけど、とてもほっとする。」

 私はすぐさまに返信した。

 ということでいつものようにとある食品スパーの駐車場で待ち合わせをして、私のPOLOに乗り合わせて、「定」に向かった。

 店は通りに面しているが、駐車場はその裏手、脇道を入った先にある。その駐車場に車を停めた。

 「店構え、見たでしょう・・・昔ながらの街のうどん屋さんといった風情で、しゃれっ気は全くないけど、鄙びた感じで落ち着くんだ・・・」

 「なんだか、入る前から味が分かるような気がする・・・」

 彼女は軽く微笑みながら歩いた。その微笑みは陽光に淡く照らされていた。どことなく普段よりも陰りが含まれているようにも感じられた。




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