2012/1/22

2138:曇天  

 葉の落ちきった木々の枝々には、水滴が透明な実のように連なっていた。灰色の空を向いて目の焦点をカメラのレンズをしぼるように徐々に合わせていくと、細かな雨の粒が空間を漂いながら落ちているのが見えた。

 「今日のロングライドは中止だな・・・」心の中でそうつぶやいた。路面は濡れている。さらに霧雨が細かやかな斜線をところどころに描いている。これではロードバイクに乗るのは危険である。

 窓を閉めて、またベッドに戻り、ぬくぬくとした布団の感覚に溶け切った。結局8時過ぎまでベッドの中の住人となっていた。朝食をとってから、昼までのあいだ、今度はリスニングルームの中の住人となった。

 いつものようにバロックのレコードをLP12のターンテーブルに乗せて聴き始めた。ビバルディ、コレッリ、トレッリなどの協奏曲のレコードが次々にジャケットから出されてはしまわれた。

 コレッリ(コレルリ)と、トレッリ(トレルリ)とは名前が似ている。アルファベットで書くと「CORELLI」と「TORELLI」となり、一文字違いである。

 CORELLIは1653年生まれ、TORELLIは1658年生まれで、ほぼ同時代に活躍した。両者は面識はあったのであろうか。同時代に同じイタリアで活躍していたのであるから、多少の面識はあったのかもしれない。

 TORELLIの合奏協奏曲ト単調 作品8-6を聴いていると、今朝の曇天の空にぴったりである。暗く沈鬱というほどには重くはない。雨は降っているが、空は鉛色と言うよりも明るめの灰色・・・透き通ってはいないが、暗く沈みきってはいない。やや鈍い中間色的な雰囲気を持っている。

 この曲を聴きながら、そういえばイタリアの現代の画家で、コレッリやトレッリと同じような名前の作家いたことを思い出した。

 マルコ・ティレッリである。彼の作品が醸し出す雰囲気も、このトレッリの合奏協奏曲を思わせるものがある。彼の作風も、やや沈んだ色調が支配的である。しかし、そこには静かな英知としっかりしとした意思が大げさではなく沈着している。この人の描く緑にはトレッリのこの曲に通じるある感覚が感じられる。

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