2011/11/23

2078:エコ・ライン  

 立川駅に着いたのは午前7時50分であった。8時01分発の南武線・川崎行きの電車はすでにホームに到着していた。まだがらがらの電車に乗った。三人がけの端の席に座って、持ってきた高千穂遥著「ヒルクライマー」を読み始める。今日は往復で3時間ほど電車に乗る予定である。きっとこの本を一冊読みきれるであろう。

 最初の目的地は「大船」。以前よりお誘いのあったseibo邸を訪問する。そして二番目の目的地は「桜木町」。東京ジングフェラインの第4回定期演奏会を聴きに神奈川県立音楽堂を訪れる。そういった予定であった。

 立川から川崎までは約1時間ほど。そこで東海道線に乗り換えて30分で「大船」に到着。巨大な観音様が見える西口へと降りた。携帯で到着を知らせ、seiboさんの車を待った。

 空気はひんやりとしている。休日であるので行き交う人々や車の様子も少しばかりのんびりした風情が漂っていた。

 5分ほど待っていると、seiboさんのSAABが見えた。seiboさんのお宅にお伺いするのは1年ぶりぐらいであろうか・・・AMPEXのスピーカーはその時と変わらない渋い茶色の色合いを見せてくれていた。

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 私が使っているCHATSWORTH同様、木のキャビネットが美しい、古く、どこかしら懐かしさを覚えるようなスピーカーである。本来は密閉型であるが、手を加えられて背面を半分開放されている。AMPEXのプリアンプと日本のガレージメーカーが製作した真空官式のパワーアンプがそのバックを務めている。

 最近はこの駆動系以外に、お知り合いのマニアの方が製作された、乾電池式のプリアンプとデジタルパワーアンプもラインナップに加わり、適宜使い分けていらっしゃるようである。この新たな駆動系はきわめてコンパクトで省エネルギー、「エコ・ライン」とでも呼びたいところである。

 今日はその駆動系の聴き比べがメインテーマでもある。まずは真空管式のプリとパワーの「球・ライン」から・・・レコード、CDと聴かせていただいた。AMPEXはアメリカのスピーカーらしい抜けの良い明るめの音色で音楽を奏でてくれる。細かいところに拘泥しない素直な音の出方である。

 「やはり木のキャビネットのスピーカーは良いなあ・・・」としみじみ感じさせてくれる音色である。スピーカーと真空管式のアンプとの見た目的な整合性もばっちり・・・

 続いてプリアンプをAMPEXから、乾電池式のものへ、パワーアンプはそのままなので「ハイブリッド・ライン」である。すると音が一気に現代的に。SNが良くなったことが一聴して分かる。音の明瞭度が増し、空間も広がる。

 「変わりましたね・・・」

 「ぜんぜん違うでしょう・・・」

 「こんな小さなプリアンプですが、音を聴くと大きく見えてきますね・・・」

 最後はパワーアンプを乾電池式のデジタルアンプに変える。省エネ・省スペースの「エコ・ライン」である。すると音の変化幅は先ほどよりも小さいが、音の粒子がより細分化され、粒子感が空間に漂い始めた。温度感は若干下がり、繊細に・・・

 「やはり、デジタルアンプの特色が出ますね・・・繊細でクリア・・・」

 「乾電池式といっても馬鹿にできないでしょう・・・」

 三通りの音の出方は、それぞれその機器の特色がしっかりと出ていた。こういった楽しみ方もオーディオを楽しむひとつの方法である。かけるソフトのジャンルやその日の気分によって、駆動系をチョイスする・・・贅沢な楽しみ方である。

 3通りの味わいを充分に堪能してseibo邸を後にした。大船から桜木町までは京浜東北線で数駅である。駅から神奈川県立音楽堂までは歩いて10分ほど・・・「紅葉坂」という洒落た名前の坂を登っていく。やや急なその坂を歩いて登りながら、「この坂、ロードバイクで登ってみたい・・・少し短いけど良い練習になるかも・・・」そんなことを思った。

 音楽堂の古びた懐かしい感じのする建物が見えてきた。すると開場30分前にも関わらず、既に長蛇の列が形成されていた。




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