2011/10/11

2036:ドリル  

 「寧々ちゃん」が3週間ぶりにゴルフスクールに戻ってきた。1週間ほど前に多摩湖の周遊道路をロードバイクで一緒に走ったときには、表情には生気が戻っていて、具合はかなり良さそうであった。

 彼女は季節の変わり目など、不定期に愁訴に襲われる。そうなると、長いときで2〜3週間、辛い時期を過ごすことになる。

 軽い鬱病かもしれないし、単に更年期障害の症状の一つかもしれない。彼女はそういう強い倦怠感を伴う時期のことを「落ち込み期」と表現している。

 以前、食事を一緒にしている時に、「落ち込み期に入ると、不安が不安を呼ぶような連鎖反応が起こってしまうの。自分がしようとしていることや、一つ一つの選択が、全て『はずれ』のような気がしてくるんです。そうなってくると、強い倦怠感とともに、厭世観で頭の中が一杯になってしまう。自殺する人の気持ちが凄くよく分かるんです。」と話していた。

 でも、どうやら「落ち込み期」は脱したようである。寧々ちゃんの前の打席が空いていたので、その打席についた。隣の打席の「寧々ちゃん」に挨拶すると、「こんばんわ・・・涼しくなりましたね・・・」と、にこやかに挨拶を返してくれた。

 確かに涼しくなった。ゴルフの練習をするには最高の気候である。打席に着くと、ゴルフバッグから、ピッチング、7番アイアン、5番ウッド、ドライバーと4本のクラブを取り出した。これらのクラブで順次ボールを打つのであるが、3球打ったら次のクラブに持ち換える。短いクラブから長いクラブに移っていき、またもとに戻る。クラブの長さが長くなっても、ピッチングと同じリズム、同じ力感で打つように心がけるのである。

 クラブが長くなるにしたがって力む癖があるようで、先週のスクールの時に、鈴木プロにその点を指摘された。そこで短いクラブのときと同じリズムと力感でスィングできるようにするドリルの一つとして、この練習法を教わったのである。

 3球打つのにかかる時間は短い。早いタイミングでクラブを換えていく。慣れてくると、ドライバーでも、ピッチングの時のようなゆったりとしたリズムでスウィングできるようになる。実際のティーグランドでも、こういったゆったり感を持ってスウィングできればスコアが安定するはずだ。

 「変わった練習法ですね・・・」「寧々ちゃん」が背後から声をかけてきた。

 「ええ、先週鈴木プロに教わったんです。頻繁にクラブを持ち換えるので、ちょっと忙しいんですけど、短いクラブと同じ感覚でウッドが打てるようになるそうです。」

 「そうなんですか・・・」「寧々ちゃん」は穏やかな笑顔であった。

 その笑顔には何かしら含みがあるような気がした。しかし、まだスクールの最中であったので、また忙しくクラブを持ち換える練習に戻った。




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