2011/8/28

1992:Pao邸再訪 2  

 「た〜ん、たん、たん、た〜たん、たたた〜たたた〜たた〜たん、た〜たたたた〜ん、どん!どん!たたた〜ん、どん!どん!たたた〜た〜た〜た〜た〜・・・た〜ら〜・・・た〜ら〜・・・」

 マーラーの交響曲第3番第1楽章の冒頭部分である。Paoさんのお宅のD-55は、ユニットが新しいものに変わって3ケ月ほどとのこと。まだ多少の硬さは残っているが、おおむねこなれてきているようで、音の俊足具合とため具合が良い感じでバランスしている。

 Paoさん流に言うと「ドンッと沈んで、パンッと散る・・・」感じの音ということになる。確かに「どん!どん!」のところの沈み具合は、過去のわずかに残っている音の記憶よりもよりしっかりりと腰を落としているように感じる。

 「た〜ら〜・・・た〜ら〜・・・」のところは、弱音が空中に漂うような感じが、より上手く表現できているようである。

 Paoさんは、けっして楽章の途中で曲を止めない。30分以上ある第1楽章を全部かけてから、「このユニット、なかなか性能が上がっているんだ・・・まだ音はこなれきっていないけど、既に前のユニットを凌駕する威力がある。」と語った。

 「ふむ、ふむ・・・」私はうなずきながら、「帯域が広くなったような印象を受けますね。広くなったけど薄くならない・・・ユニットを新しい世代のものに変えた以外に、CDプレーヤーの改良バージョンを最新にアップしたとか、されましたか?」と訊いてみた。

 「CD34ね・・・まだ一世代前の改良バージョンのままだよ。本当は最新バージョンにしたいんだけどね・・・先立つものが無くてね・・・いずれはするつもりだけど・・・」

 「いったい、バージョンは幾つあるんですか?」

 「確か、家のが第5世代で、最新バージョンは第6世代のはずだけど・・・正確にはよくわからないんだけどね・・・」

 PaoさんのMARANTZ CD34は見かけは普通のCDプレーヤーだけれども、中身は相当に高度が改良が数次にわたって行われているスペシャルモデルなのである。

 次のCDはマーラーの交響曲第2番の第1楽章であった。(カプラン指揮のウィーンフィルの演奏)・・・実はPaoさんはマーラーが大好きである。何故かしらブルックナーは毛嫌いしているが、大のマーラーびいきである。

 その後ベートーベンのピアノ協奏曲第3番第1楽章や、シベリウスのバイオリン協奏曲第1楽章などがかかった。Paoさんは編成の大きなクラシックが好きで、室内楽や器楽曲はほとんどかからない。また、私のメインジャンルであるバロックも全くかからない。

 「ビバルディってどの曲も、俺には同じに聴こえる。どこがいいんだか・・・どの曲も同じに聴こえるという点では、ブルックナーも同じだね・・・」結構辛辣である。

 一通り、Paoさん推薦のCDを聴かせていただいた。その後オーディオ談義などをしているなかで、前から思っていたことを質問してみた。

 「この家は相当な築年数が経過していますから、そろそろ建替え時かもしれませんね。相続も一区切りつきました・・・このエリアなら収益物件として良いものが建つでしょう。最上階を自宅にして・・・広いリスニングルームも可能ですよ・・・」

 「まあ、確かにそうだな・・・周りの古い家やアパートはほとんどみんなそうなったよ・・・5階建くらいのものは建つかもな・・・ワンルームを学生に貸せば収入もそれなり入るだろ・・・」そう話したPaoさんの声のトーンはやや低めで抑揚がなかった。




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