2010/5/23

1531:円香  

 「円香」という名前の女性がいた。穏やかで優しい性格で、こせこせしたところがなかった。体型は少しふっくらしていた。

 最後に会ったのは、東北道の岩槻インターのすぐそばのホテルであった。「わたし、結婚することになった・・・」と別れ際につぶやいたのが、最後の会話となった。

 今日Naruさんと一緒にpontaさんのお宅を訪問する際、岩槻インターで東北道を降りた。インターから一般道に出るカーブを曲がりながら、ふと外を見やるとそのホテルが目に入った。彼女に最後に会ったのはもう10年以上も前のことであるが、何故かつい最近のことのように思えた。

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 pontaさんのお宅には少し前にも訪問した。その時の記事のタイトルは「9Nの音」であった。99.9999999%の純度を感じさせる清澄な音であった。その音を聴きながら頭に「9Nの音」というイメージが浮かんだのである。

 Naruさんは「吟醸酒のような音・・・」と形容されていた。「吟醸酒か・・・」言い得て妙なり、という感じである。吟醸酒を造るには、米を削る。雑味をもたらす要素を削っていき、米の純粋な要素のみを残す。とても贅沢な日本酒である。澄んでさわやかな味わいが特徴である。

 わが家では50年以上前のスピーカーやアンプが活躍している。相当な雑味成分が乗った音を日頃聴いている。そういう音に慣れた耳には、ponta邸の音は「吟醸酒」の中でも最高級な「大吟醸」といった印象を受ける。

 pontaさんは厳格にOFF会のプログラムを組まれていた。休憩を入れるタイミングも決められていたようであるが、私は「休憩しましょう・・・窓を開けましょう・・・」とその予定されていたタイミングよりも早く休憩を申し出た。

 何故か窓を開けたくてしようがなかったのである。窓を開けて新鮮な空気を入れると気分がすっと穏やかになった。

 その後も数曲聴くと「窓を開けて休憩しましょう・・・」とついつい言葉が出た。きちんとプログラムを決められていたpontaさんには申し訳なったのであるが、自然と窓に手が向かうのである。

 そして、たまたま窓を開けたままの状態で何気に音を聴いて少しばかり驚いた。音楽がより穏やかでゆったりとした流れになったのである。個人的な好みからすると、この状態での音の方が好きである。

 窓が開かれると低音の存在感が増し、音楽の躍動感や幸福感がよりスムースに表出される。高音の鮮度感が勝っていたバランスも自然な感じに・・・

 「こちらの方が良いですね・・・」と思わずもらしてしまった。pontaさんは、やや複雑な表情をされていた。

 窓を開ければ当然部屋の音響環境は大きく変わる。オーディオは半分以上部屋の音を聴いているもの、とはよく言われるが、その言葉が心底納得される経験であった。

 その後スピーカー背後の厚手のカーテンを閉め切ってみたり、窓の開け具合を左右対称にしてみたりしたが、向かって右側の窓を全開にしたときが一番印象が良かった。どういう理屈なのかはよく分からない。

 「右側の窓を全開にすると部屋の気の流れが良くなるのでは・・・」「外の雨の音や自動車の音が室内に侵入することにより音の純度の高さが中和されて程よくなるのであろうか・・・」といろいろ推測するが、定かではない。

 「まどか・・・」思わず何度かつぶやいた。そういえば、彼女の魅力の一つはその声であった。心くすぐる美声の持ち主であったのである。




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