2019/6/16

4844:第三日曜日  

 今日は第3日曜日であるので、普段よりも長い距離を走る予定である。富士ヒルが終わって1週間が経過したが、体にはその疲労感がまだ残っていた。

 体が全体として重い。特に背筋と腰回りの筋肉が強張ていて柔軟性が失われているような感覚があった。

 レースでは知らず知らずに無理をするものである。体は相当なダメージを負っていたようである。50代も後半になると回復スピードも遅々としている。

 今年の梅雨はメリハリがある。昨日は一日中本降りの雨が降り続き、気温が低く肌寒かった。しかし、今日は晴れた。最高気温も30度を超えるとのことである。

 「かなりハードなロングライドになるだろうな・・・」と思いながら、LOOK 785 HUEZ RSに跨って自宅を後にした。

 自宅を出てゆっくりとしたペースで走った。体の左側に違和感があった。激しい痛みがあるわけではないが、腰痛が出そうな兆候が感じられた。

 多摩湖サイクリングロードを通って、集合場所であるバイクルプラザに向かった。昨日の雨の影響は路面に現れていた。7km程走ると、ロードバイクは随分と汚れてしまった。

 今日の参加者は7名であった。目的地は「柳沢峠」に決まった。往復で170kmほどの距離を走ることになる。

 7台のロードバイクの内訳は、COLNAGOとLOOKが2台づつ、ORBEA、RidleyそしてKuotaが1台づつであった。

 7台のロードバイクは隊列を形成して走り始めた。やはり左の腰に違和感を感じた。「腰回りの具合がなんかおかしいな・・・筋肉が随分と硬くなっている・・・」と思いながら走っていった。

 エメラルドグリーンの隊列は多摩湖サイクリングロードを抜けて旧青梅街道に入った。空には陽光を遮る雲はほとんどなく、直射日光が降り注いでいた。朝のうちから気温は高めで、「これなら昼頃には30度は超えそうだ・・・」と思った。

 旧青梅街道を走り切って、岩蔵街道へ向けて右折した。広くまっすぐに続く道を走っていくと、圏央道の青梅インターの下を潜った。

 そして、その先の「今井馬場崎」の交差点を左折して、青梅方面へ向かった。左腰の違和感は続いていて、左の股関節あたりにも少し痛む感じがあった。

 JR青梅線の踏切を越えて、しばらく青梅線沿いに続く商店街を抜けていった。商店街を抜けていくと、道の周囲の景色が徐々に変わってくる。

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 ボトルの水はどんどんと減っていって、青梅線に沿って続く山間の道を走る頃合いにはほぼ空になった。

2019/6/15

4843.:R-Line  

 事務所の営業車であるVW POLOはもうすぐ納車されてから8年になる。来年には3回目の車検を迎えることになるわけであるが、今まで営業車で3回目の車検を経過した車はなかった。

 これまで、Bセグメントに属するコンパクトな5ドアハッチバックを営業車として使ってきた。トヨタ ヴィッツ、マツダ デミオ、日産 マーチと続いて、4代目の営業車がVW POLOであった。

 VW POLOは、国産のコンパクトカーとは一味も二味も違うしっかり感ときびきび感が魅力の車である。しかし価格は高い。サイズはほぼ同じであるが、プライスは国産コンパクトカーと比べて100万円近く高かった。

 そのVW POLOがフルモデルチェンジしたのは昨年のことである。ベーシックモデルが搭載していたのは、1.0Lの3気筒エンジンであった。

 早速、ディーラーに赴いて試乗したのであるが、印象はそれほど良いものではなかった。「なんだか、きびきびした感じが薄らいだな・・・乗っていても爽快感が足りないような・・・」そんな印象であった。

 エクステリアデザインは、VWらしい清潔感に溢れたもので、先代同様目に心地良いものであった。インテリアも爽やかな印象のもので、クオリティーも確実にアップしていた。

 結局、買い替えはせずに2回目の車検を通した。その後GTIが出た。こちらはスポーツモデルである。走りはベーシックモデルと違いとても良いはずであるが、価格も素晴らしい。営業車として配分できる予算をはるかに超える。

 そのPOLOに、ベーシックモデルとGTIとの間を埋める中間グレードとして「TSI R-Line」が登場した。搭載されるエンジンは1.5L 4気筒である。

 「これが、POLOの本命かも・・・」そんな印象を持った。試乗してしまうと、「これください・・・」となる可能性があるので、まだ試乗していないが、近いうちに乗ってみたいと思っている。

 この「TSI R-Line」、ネックとなるのはやはり価格であろう。どう転んでも300万円は超えてしまう。2世代前の営業車である日産 マーチは150万円であった。

 「2倍か・・・2倍はないよな・・・やはり国産車にすべきであろうか・・・」と思案顔になってしまう。

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2019/6/14

4842:バーディー  

 昼食休憩を終えて、後半のINコースへ向かった。後半のスタートホールである10番は363ヤードのパー4である。

 ドライバーショットは少し引っかかり気味でか左へ曲がった。木の近くにあり、セカンドはフェアウェイに戻すだけになってしまった。

 第3打も距離が合わずに結局4オン。2パットでダブルボギーとなってしまった。第3打をグリーンにしっかりとONできなかったのが痛かった。

 続く11番ホールのショートは、ワンオンしなかったが、どうにかボギーで切り抜けた。12番ホールのミドルホールは、ドライバーショットはまずまずであったが、セカンドショットが少し短く、パーオンしなかった。

 グリーンの手前からのアプローチショット・・・ピンまでは20ヤードほど。ピッチングを使ってキャリー半分転がり半分の距離感で打つと、ボールはカップのすぐそばで止まった。このホールでパーが取れた。

 INコースは三つのホールを消化した段階で3オーバー・・・ボギーペースできている。月1ゴルファーにとっては、ボギーがパーみたいなものであるので、まずまずといったところか。

 中盤の13、14、15番も、パー、ボギー、ダブルボギーが一つずつであった。INコースは6ホールを終えて、パー、ボギー、ダブルボギーがそれぞれ二つずつという具合で、ある意味綺麗なスコアになった。

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 「このまま、ボギーペースで終わりたい・・・」と思いながら、上がり3ホールへ向かった。午後の天気が心配であったが、空模様は安定していて雨の気配はなかった。

 16番ホールのショートは、ワンオンせずにボギーとなった。4つあるショートホールのうちワンオンしたのは結局1ホールだけであった。

 続く17番ホールは477ヤードのロングである。ドライバーショットは、やや右に出た。幸い右のラフで止まっていて、木は邪魔にならなかった。

 フェアウェイウッドで放ったセカンドショットはまっすぐに飛び、ピンまで50ヤードのところで止まった。

 「ここでグリーンに乗せればパーの確率は高くなる・・・」そう思いながらウェッジクラブでハーフスウィングした。

 ボールは高く上がって、グリーンに乗り、少し転がってピンに近づいた。珍しくバーディーチャンスとなった。カップまでの距離は2メートルほど。大きくスライスするラインであった。

 入れ頃外し頃の2メートルのバーディーパット・・・下りなので弱めに打ち出すと、ボールはするすると転がり右に曲がった。そしてその曲がり具合がドンピシャでボールはカップに吸い込まれた。

 このバーディーは大きかった。最終の18番をボギーであがれば「43」である。「よしっ・・・!」と気合が入った。

 18番のドライバーショットはナイスショットであった。残り距離は150ヤード。ここでパーオンできればパーが取れる可能性が高い。パーが出るとスコアは「42」である。

 「捕らぬ狸の皮算用」をしてしまった。気合を入れて打ったセカンドショットはシャンクとなった。右斜めにボールは飛んで行ってしまって林の中へ入った。

 このシャンクが大誤算であった。結局最終ホールはダブルボギーとなった。まあ、それでも17番のバーディーのおかげで、後半のINコースは「44」であがれた。

 ボギーペースよりも一つ良いスコアである。トータルは「93」・・・前半のOUTコースで叩きすぎてしまったが、次回に繋がる内容であった。

2019/6/13

4841:生姜焼き  

 日曜日に走ったMt.富士ヒルクライムの影響はまだ体に残っている感じであった。少し体が重く、朝の6時半にBMW 523i Touringの荷室にゴルフバッグを積み込んで、運転席に座った時首筋の裏側がどんよりとしていた。

 天気は曇りである。スマホの天気予報は、午前中は曇り、午後は3時ごろから小雨が降るとのものであった。

 「ラウンド中はどうにか降られないですむかな・・・」と思いながら、車を走らせた。向かった先は「高麗川カントリークラブ」である。自宅からは1時間ほどで着く。

 今日は久しぶりのゴルフである。ゴルフは月1回程度・・・そのほとんどが仕事がらみのコンペである。金融機関、税理士会、顧問先の会社が主催者であることが多い。

 実はゴルフには一時嵌まったことがある。30代の後半のことであった。その頃は年間50ラウンド程して、練習場にも週に2回は通った。その頃は80台のスコアがコンスタントに出て、稀に70台のスコアも出た。

 しかし、40代になると、「ゴルフ熱」も冷め始め、今では月に1回ほどしかゴルフ場には行かない。スコアも90台が多い。

 そういう状況であるので、ゴルフ場に行っても気合が入っているわけではないが、来たからには少しでも良いスコアであがりたいと願うのが人情である。

 OUTスタートであった。空は雲が覆っていたが、覆いつくされてはいず隙間も見えていた。1番ホールは351ヤードのミドルホールである。

 朝一のドラーバーショットは、当たりが悪く左に向かった。幸いボールは左のラフで止まった。6番アイアンで打った第2打はグリーンを見事にとらえた。

 「あれっ・・・うまくいった・・・」と予想外のナイスショットにきょとんとした。前回ラウンドしたのは1ケ月以上前・・・それから一度もゴルフクラブを握っていなかった。

 1番ホールはパーであった。良い出だしである。「今日はそれなりのスコアで回れるかな・・・」少し油断した。

 その油断により足元をすくわれたのか、続く2番ホールではミスショットを連発してトリプルボギーを叩いてしまった。

 「やっぱり・・・ゴルフはそうは甘くないもの・・・」と自分を納得させながら、ホールを消化していった。

 パーも稀に取れるが、それ以上にダブルボギーも出るという展開で結局前半のOUTは「49」であった。

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 「100叩きだけは避けたい・・・」と思いながら、クラブハウスへ向かった。2階にあるレストランで昼食休憩をした。天気は崩れる様子はなかった。雲の切れ目から時折太陽が顔を出し、日差しも浴びた。

 昼食には「三元豚の生姜焼き」を選んだ。とても軟かな肉質の生姜焼きであった。甘めの味わいの生姜焼きのタレは、白米との相性がばっちりである。

2019/6/12

4840:下山  

 5合目の気温は5度ほど。雨に濡れたサイクルウェアをなるべく早く着替えたかった。預けた荷物を受け取るために、広い駐車場へ向けてゆっくりと歩いた。

 荷物はゼッケン番号ごとに区分されて置かれているので、自分のゼッケン番号を確認してそのエリアに向った。しばし探して、ようやく探し当てた。

 荷物を背負い、駐車場の脇のスペースで早速着替え始めた。濡れたウェアを脱いで、乾いたものに着替えた。それらはほぼ真冬仕様のものである。

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 着替えを終えて、移動してチームメンバーが集まっているエリアに到着した。雨が降っている場合には、チームメンバー全員が揃うまで待たずに順次下山する予定であった。

 雨はまだ霧雨のようなものが降り続いていた。数名のメンバーが揃ったところで、第一団が下山することになった。

 寒かった。体が小刻みに震え始めていた。「これは、下りも過酷だな・・・」と思った。チームメンバーと一緒に、下山待機エリアに向かった。

 ゆっくりとしたペースで下山は始まった。下り始めてしばらくの間は、道の半分は下山する参加者が下り、逆側の半分はゴールを目指している参加者が上ってくる。

 その逆側の流れの中にチームメンバーの姿を見つけると、大きな声で声援を送った。やがて、逆側を上ってくる参加者もまばらになり、そして途絶えた。

 下りは下りで別な意味合いで過酷なものであった。雨は降り続いていて、気温は低いまま、冷たい風を体に受け続けるので、筋肉は堅く強張ってくる。

 ペースはかなりゆっくりなので、ブレーキペダルをずっと握っていないといけない。雨に濡れたカーボンホイールはブレーキの効きが悪い。

 雨と寒さに苦しめられながら下っていくと、ようやく富士スバルラインの料金所を通りすぎた。そのままスタート会場へ向かった。

 スタート会場に到着して、サイクルラックにロードバイクを置いた。そして、完走証をもらうために少し歩いた。

 タイム計測のために足首に巻き付けた計測チップと交換に完走証をもらった。公式タイムは「1時間22分48秒」と、サイコンのタイムと同一であった。

 これが、来年の目標タイムになる。年齢を考えると来年も自己ベストを更新するのはかなり困難なことではあるが、まだしばらくの間はあきらめずにあがいてみたい。

 スタート会場の別のエリアでは参加者に「吉田うどん」を無料で振舞ってくれる。そのエリアに移動した。ここまで下ってきても、寒さはまだ収まらなかった。

 暖かいものを胃袋に入れて少しでも寒さから逃れたかった。多くの参加者が雨に濡れながら「吉田うどん」を食べていた。

 私も一杯もらい、近くの階段に腰かけてそのコシの強いうどんを食した。体に染み渡る感じの美味しさであった。

 チームメンバーの中には寒さのために手が震えて、うどんが上手くつかめない者もいた。それを見て「志村けんの『ひとみばあさん』のようだ・・・」と皆で笑った。

 ここで、後続のチームメンバーを待つ予定であったが、寒さに皆が震えていたので、予定を変更して、宿まで戻って、サイクルウェアを着替えて待つことになった。

 スタート会場を後にして宿まで向かった。宿の駐車場に停めさせてもらっている車にロードバイクを納めて、下山でびっしょりと濡れたサイクルウェアを着替えた。

 ようやくこれでほっとできた。雨が降り続ける中でのMt.富士ヒルクライムはやはり過酷なものであった。

 上りだけでなく、下りも辛かった。それだけに記憶に残る富士ヒルになった。どうにかこうにか自己ベストも更新できたので、私としては満足できるヒルクライムレースであった。

2019/6/11

4839:ゴール  

 山岳スプリット区間を抜けた。あと1km程走ると平坦区間に入る。しかし、その平坦区間の直前には、奥庭自然公園の駐車場を左手に見ながら上る斜度が高めの坂が待っている。

 激坂というわけでは決してないのであるが、ここまで走ってきて脚があっぷあっぷな状態であるので、とても堪える。

 そこを越えると勾配が急に緩くなるのである。その平坦区間へ繋がる難所へさしかかった時であった。

 心臓の鼓動が急変した。限界を超えた負荷をかけると稀に起こるのであるが、心臓の鼓動が突拍子もなく速いリズムを刻み始めた。サイコンには心拍数として200を超える数値が表示された。

 こうなると、体に力が入らなくなる。すっと血の気も引いていく。「まずい・・・ここで来たか・・・」と、大きく落胆した。

 とりあえず、こうなると負荷を下げるしかない。今までは負荷を下げてやり過ごしていると数分で回復していた。

 パワーを170ワットまで下げた。周囲の流れから取り残される形でずるずるとそのポジションを下げていった。

 「はやく直れ・・・」と願いながらクランクをゆっくりと回し続けた。1963年製の旧式のエンジンは、ニュートラルポジションでアクセルを吹かした時のような「空転感」からなかなか抜け出せなかった。

 時間にするとどれくらいであったであろうか・・・2分か3分ほどであったような気がする。ようやくATポジションが「D」に入った。

 異常な数値を示していたサイコンの心拍数も「170」を示した。それを確認してパワーを上げていった。

 そして平坦区間に入った。フロントのギアをアウターに入れた。サイコンのスピードが徐々に上がっていく。

 30km/hを超えて、スピードはやがて35km/hに達した。平坦エリアは2kmほど続く。周囲にトレインを探したが、丁度スピードがあうトレインは見当たらなかった。
 
 「単独で行くしかないか・・・」とクランクを回すペースをさらに上げた。スピードは40Km/hほどに達した。

 さらにがむしゃらに漕ぐとスピードは45km/hにまで上がるが、そこまで頑張るとゴール前の上り返しで大きく失速してしまう。

 今日は40km/hを超えるスピードまでは上げなかった。「残り1km」と書かれた表示板が素早く視界の左側を通りすぎた。

 この辺りから斜度は緩やかに上りに転じ始める。最後のトンネルに入った。視界の先には白い光が見えていた。その光の先はゴール手前の厳しい坂である。

 トンネルを抜けた。視界にはゴールまでまっすぐに続いている上り坂が入ってきた。その斜度はどれくらいであろうか・・・体感的には8%ほどに感じた。

 もがいた。意外にももがける脚はあった。平坦エリア直前でのエンジン不調で負荷を一時的に抑えたことと、平坦エリアで無理をし過ぎなかったことが、この最後の上り返しでプラスに働いた。

 パワーを尻上がりに上げていくとフィニッシュラインが見えてきた。ダンシングに切り替えた。クランクを回せる限りのパワーで回してゴールラインを越えた。その瞬間サイコンの小さなボタンを押してタイマーを止めた。

 ゴールしてしばし惰性で走って、止まった。左足のクリートをペダルから外して、左足を地面に着けた。サイコンの表面は降り続いた霧雨によって水滴でびっしりと覆われていた。右手でその水滴をぬぐった。タイマーの表示は「1:22:48」で止まっていた。

 11秒・・・わずか11秒であるが、自己ベストを更新できた。肺を酷使したので何度も咳き込んだ。これはいつものことである。

 咳と咳の間に2度、3度と胸の奥底から喉元に向かって嗚咽のようなものがこみ上げてきた。それを喉元でブロックした。

 サングラスを外した。もう一度サイコンに表示されているタイムを確認した。表示されているタイムは変わりがなかった。 

2019/6/10

4838:トラブル  

 料金所を過ぎてからはパワーの数値が230ワットを超えないように注意しながら、クランクを回し続けた。多くの参加者が走っていたが、皆マナーがとても良かった。

 遅い人は左側に寄り、早いペースの参加者は右サイドを走っていった。時折数名で構成されたトレインも走っていた。

 最初のうちは同じFグループであるチームメイトと連なっていたが、少しばらけ始めた。一人は先を行き、私ともう一人のメンバーは一緒に走り、一人は遅れ始めた。

 私は10分に1回くらいの割合で給水すると決めていた。またシッティングだけだと同じ脚の筋肉を酷使することになるので、15分に1回くらいはダンシングを入れようと決めていた。

 計測開始ラインを跨いだ瞬間にサイコンのタイマーが動き始めていた。そろそろ負荷を上げてから10分ほどになったので、右手でボトルを取って一口二口に水分を補給した。

 そして、ボトルをボトルホルダーに戻そうとした瞬間であった。雨で指が滑ったのか、ボトルを道路に落としてしまった。

 「まずい・・・!」と焦った。しかし、取りに戻ると相当なタイムロスになる。すぐ後ろを走っていたチームメイトがそれを見て「大丈夫ですか・・・?」と声をかけてくれた。私は「そのまま行きます・・・!」と返答して、そのままペースを替えずに走った。
 
 「この先水分補給なしか・・・脚の筋肉が終盤で攣らないといいが・・・」心の中には不安が広がった。

 しかし、もう起こってしまったことを後悔しても始まらない。「なんとかなる・・・なんとかなる・・・」と自分に言い聞かせた。

 最初の5kmの目標タイムは20分に設定していた。この5kmは平均斜度が高めである。道の左脇に「5km」と書かれた看板の前を通り過ぎた時、目標タイムを50秒ほど経過していた。

 「まずまずかな・・・このままのペースでいこう・・・」と思いながら次なるポイントである10kmを目指した。

 5kmを走ってきて、エンジンも暖まりその回転は比較的順調のように思えた。スタートからの平均パワーは235ワットほどで推移していた。

 しばらくトレインの後ろにつかせてもらったり、ペースが合わないので降りたりを繰り返していると、一緒のスタートであったチームメイトの背中が見えてきた。少しパワーを増してその右を通りすぎて声をかけた。

 5kmから10Kmまでの区間は最初の5Km比べると斜度は緩めである。16分で走り切りたかった。「10Km」と書かれた看板の前を通り過ぎた時、37分ほどが経過していた。やはり1分ほどの遅れである。

 平均パワーは230ワットほどであった。10kmを経過して少しした頃であった。サイコンの「10秒平均パワー」の数値が忽然と消えた。

 「あれっ・・・どうした・・・」と一瞬焦った。2,3分すると数字が「0」と出た。その後その数字は少しづつ大きな数字になり、やがて本来の数値を示すようになった。

 「戻った・・・」とほっと安心した。パワーメーターとサイコンの通信が何らかの理由で一時的に途切れたようであった。

 その間3,4分であろうか。230Wほどを示していた「平均パワー」が急落して220ワットほどに下がっていた。

 「直った・・・」とほっと一安心して、「10秒平均パワー」が220ワットから230ワット程度の負荷になるように、時には抑え、時には「怠けるな!」と叱咤して、次なるポイントである15Km地点を目指した。

 10Kmから15kmの5Kmは18分ほどで走る予定であった。ようやく「15km」と書かれた看板が見えてきた。その看板を視界の左端に捉え、ペースを上げてその前を通過した。

 タイムは54分ほどであった。やはり目標タイムよりも1分ほど遅れていた。目標タイム通りであれば1時間21分台で走れるはず。1分ほどの遅れでも1時間22分台は可能である。1時間22分台が実質的な目標であった。

 「大丈夫・・・大丈夫・・・このペースで走れば自己ベストが出せる・・・」と自分に何度も繰り返し無言で語りかけた。

 15kmから20Kmの5Kmはメンタル的にも肉体的にもかなり厳しい状況を迎える。ここで大幅なぺースダウンをしてしまうと、自己ベストは遠ざかってしまう。
 
 この5Kmも18分ほどで駆け抜けたかった。2Okm地点で1時間12分以内であれば、1時間22分台のタイムが出る可能性は高い。

 しかし、パワーを維持するのが徐々に難しい状況に体は追い込まれていった。斜度が緩むエリアに入ると脚は休みたがる。するとパワーの数値はすっと下がって200ワットを切ったりする。それを目にすると、自分の心に鞭を入れる。1度、2度、3度と騎手が馬に鞭を入れるように心の鞭を入れた。

 「山岳スプリット賞」として、19km〜20kmの区間に設定された計測区間に入っていった。「山岳スプリット賞」とはまったく無縁であるが、何でもいいから利用したい心理から「この1kmを頑張る・・・!」と自分を励ました。

 そして20kmを経過した。1時間12分を数秒超えた程度であった。「1時間22分台のタイムは出るのでは・・・」と少し気持ちが軽くなった。しかし、この先に一つの難関が待っていた。

2019/6/9

4837:スタート  

 昨日は天気が思いのほか良かった。それゆえか、少し油断していた。朝の4時に起き出して、外を確認して小雨が降っているのを見た時、かなり落胆した。

 しかし、これもヒルクライムレースではよくあることである。一旦下がったテンションをぐっと上に押し返して、準備を手早く整えた。

 布団をたたみ、サイクルウェアに着替えた。朝食を胃袋の中に納め、顔を洗い、髭を剃り、歯を磨いた。

 5合目までバスで持ってあがってもらう荷物の受付時間の締め切りは5時50分である。5時15分には宿を出ないといけない。

 車からLOOK 785 HUEZ RSを降ろして前輪をはめ、タイヤに空気を補充した。ヴィットッリア コルサ スピードに十分な空気を充填して準備は完了した。
  
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 チームメンバーと隊列を組んでスタート会場へ向かった。雨は霧雨になったり小雨になってりで止む気配はなかった。

 預り荷物の受付時間ぎりぎりに荷物を預けてから、スタート会場の周辺の道路を使って30分ほどアップした。

 私のスタート時間は7時20分である。チームメンバー3名が一緒のスタートである。スタート時間が近づいてきたので、スタート会場内の待機場所へ向かった。

 主催者選抜クラスから順にスタートしていく。雨は小止みになっていたが、寒かった。待っている時間は小刻みに体が震えていた。
 
 私たちは6番目にスタートするグループである。5分おきにスタートしていき、いよいよスタートの順番が回ってきた。

 カウントダウンが進み、「スタート!」の号令がかかった。といってもタイムの計測地点までは1.3km程あるので、、ゆっくりと安全に走り出し、計測開始地点まではゆったりとしたペースで走っていった。

 チームメンバーと一団となってのパレード走行は順調に進み、いよいよ計測開始地点が見えてきた。周囲の空気感が変わった。

 その計測開始ラインを越えて、クランクに込めるパワーを増した。「序盤は抑えて・・・雰囲気に呑まれてはいけない・・・」と自分に言い聞かせながら、前を見据えた。
 
 富士スバルラインの料金所手前500m地点からタイムが計測される。料金所までの500mは斜度がきつい。ここで脚を使いすぎてはいけない。

 それは分かっているが、アドレナリンが出るのか、サイコンに表示されるパワーの数値はかなり高めである。

 料金所を過ぎた。「落ち着いて・・・落ち着いて・・・」と自分をなだめた。「先は長い・・・10kmを超えるまでは無理は禁物である・・・」と少し落ち着いてきた自分に心の中でささやいた。

2019/6/8

4836:あんぱん  

 1週間前の天気予報では、富士ヒル前日の土曜日の雨の確率は80%であった。「前日は走れないか・・・」と諦めモードであったが、天気予報は徐々に良い方向に変わっていき、前日の予報では午前中の降水確率は30%までに下がった。「これなら、走れそうだ・・・」とテンションは少し上がった。

 朝の7時15分に同じ東大和市に住むチームメンバーの車でピックアップしてもらう予定であった。支度を整えて、迎えを待った。

 トヨタ エスティマが自宅の前に停まった。その荷室に前輪を外したLOOK 785 HUEZ RSを積み込んで、集合場所であるバイクルプラザに向かった。

 数台の車がバイクルプラザに集結していた。1台当たり3名ぐらいが割り振られた。そして、参加メンバーは富士山の麓を目指した。

 中央道は混んでいる箇所もあったが、概ね順調に流れていた。途中、談合坂SAで休憩を入れた。このSAの名物の一つが「談合坂あんぱん」である。前回は1個300円の値段にたじろいでしまって購入しなかった。しかし、「今日は買ってやる !」と意を決していた。

 トイレを済ませて、そのパン屋へ向かった。特設コーナーにそのパンはあった。1個取ってトレイに置いた。これ1個だけでは少々寂しいので、半熟卵が入っているカレーパンもついでに購入した。パン2個で580円を支払った。

 談合坂SAを出て河口湖インターへ向かっている車の中で1個300円のあんぱんをゆっくりと食べた。確かに美味である。あんとカスタードクリームが絶妙のハーモニーを口の中で奏でる。人気のあるのも分かる気がした。

 私の中であんぱんの適正価格は170円であるので、このあんぱんは130円その基準を超えてしまっている。味わってみると「たまにはいいかも・・・」という気になった。

 河口湖インターで高速を降りて、車は宿である「富士見園」に向かった。その駐車場について、ロードバイクを降ろし、走るための準備を整えた。

 天気は思いのほか良かった。太陽がくっきりと顔を出すようになり、暑いくらいであった。今年もいつも通り「樹海台駐車場」まで、ゆっくりと試走することになった。

 1週間前のロングで表示されなかったパワーもサイコンにしっかりと表示されていた。その数字をちらちら見ながら富士スバルラインの料金所を目指して、坂を上った。

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 料金所から「樹海台駐車場」までは約10kmである。明日の本番に疲れを残さない程度の負荷で走っていった。
 
 標高の高いエリアの方では灰色の雲が空を覆っていたが、それ以外は雲がなく陽光が遮られなかった。

 ゆったりとしたペースではあっても坂は坂である。時間の経過とともに脚や腰に疲労がうっすらと降り積もってくる。

 1時間ほどで「樹海台駐車場」に着いた。ここからの眺めは素晴らしい。眼下に湖を眺めながら、爽やかな空気を肺に一杯吸い込んだ。

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 いよいよ、明日は富士ヒル本番である。1時間22分台のタイムが目標であるが、うまくいくか否かは全く不明である。残念な結果に終わる可能性も高い。

 しかし、不思議と気持ちがざわつくことはない。とても落ち着いた心境である。こんなことは今までなかったような気がする。

2019/6/7

4835:整体師  

 2階のリスニングルームに向かって階段をトントントンと登り、右端の部屋に入った。チューバホーンさんのリスニングルームの広さは10畳ほどである。この部屋の主であるTANNOY LANCSTERにとっては最適と言える空間であろう。

 スピーカーは短辺側の両コーナーに綺麗に収まっている。その足元にはLANCASTERのサイズに合わせて特注したスピーカーボードが置かれていた。

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 両スピーカーの間は窓になっていて、ガラス越しに空が見える。日が暮れる少し前の時間である。青い光が窓から漏れてきていた。

 送り出しはCECのCDトランスポートにO-DAC PROの組み合わせである。駆動するアンプは、実は2系統ある。AチームはMarantz Model7とQUAD 405-2の組み合わせ。Bチームは是枝アンプとSD05の組み合わせである。

 前回お伺いした時はBチームで聴かせていただいた。今回はAチームの2機種の電源ランプが点灯していた。そのAチームのMarantz Model7のウッドケースは一般的によく見かけるものとは違っていた。

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 MDF製のかなり頑丈なものである。華奢で繊細な感じのするModel7をしっかりとガードするかのようなウッドケースである。

 QUAD 405-2は非常にコンパクトなパワーアンプである。前面がヒートシンクになっているデザインはモダンでスタイリッシュである。

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 リスニングポイントに座って、早速様々なクラシックのCDを聴かせてもらった。一聴して「やはり、Aチームは音楽の聴かせ方が上手いな・・・!」と感心した。

 Bチームの方がSN比などオーディオ的な性能ではAチームを上回ると思われるが、音楽を聴かせる上手さという点においては、明らかにAチームの方がワンランク上である。年の功とでもいうべきであろうか・・・

 チューバホーンさんのリスニングルームに響く音楽は極めて正統派のバランスである。音量や空間表現、音の細部の見え方や、音色に至るまで、実際のコンサートホールの真ん中あたりの席で聴ける音バランスに極めて近い。

 音ががばっと覆いかぶさってくることはない。豊かなホールトーンの響きは上にすっと伸びていく。音像は適切な大きさで控え、決して必要以上に大きくなったり、前に出しゃばってくることはない。

 さすがに「整体師」である。体のバランスの歪みをすぐさま見抜き、適切な施術で本来のニュートラルな状態に修復する・・・その技術は音のバランスを取る際にも活かされているようである。

 そのバランスはあくまでも「クラシックバランス」である。クラシックにおいては最適であってもジャンルが変わるとまた微調整が必要になる。そのためのノウハウも現在開発中とのことであった。

 リスニングルームに上がってくる前、1時間半の整体の施術を受けて体のバランスがすっと整った。そしてこの10畳の広さのリスニングルームでのオーディオ鑑賞で聴覚のバランスも整ったかのようであった。 



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