2021/8/2

5632:真夏日予報  

 「灼熱ライド」になるということは、朝のうちから分かっていた。天気予報が伝えていた予想最高気温は35度であった。

 準備を終えて、フジテレビで6時半から放映している「はやく起きた朝は・・・」を観ながら朝食を摂った。

 朝の7時になったので、LOOK 785 HUEZ RSに跨って自宅を後にした。「武蔵大和駅西」の交差点まで下っていって、赤信号で止まった。

 いつもはここから多摩湖サイクリングロードを通ることが多いが、今日は一般道を通って集合場所であるバイクルプラザに向かった。

 何度か交差点を曲がりながら、住宅街の中を通り抜けていった。多摩湖サイクリングロードを通るよりもやや長めの距離を走っていくと、バイクプラザに着いた。

 今日の目的地についてメンバー間で話し合ったところ、鎌北湖からグリーンラインを通っていって顔振峠まで行くことになった。

 参加者は6名。そのロードバイクの内訳は、ORBEAが4台で、COLNAGOとLOOKが1台づつであった。6台のロードバイクは、隊列を形成して走り始めた。

 すでに陽光は強めに地面を照らしていた。多摩湖サイクリングロードを東から西へ抜けていき、「武蔵大和駅西」の交差点を直進して、多摩湖へ向かった。

 多摩湖の堤防を渡った。その眺望はいつも通り素晴らしいものであった。堤防を渡り切った向こう側は埼玉県である。

 所沢市の住宅街の中を抜けていく道を進んだ。アップダウンがあり、結構脚を使いながら走っていった。「北野天神前」の交差点を左折して、緩やかな上りを延々と走った。

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 国道16号との交差点を直進して「栗原新田」の交差点までまっすぐに走ってから右折した。狭山ゴルフクラブの間を抜けていって、道なりに進んだ。圏央道を横切って走っていくと道の周囲には茶畑が広がる。「狭山茶」の畑である。

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 気温はかなり上がってきた。走っていると風を受けるが、その風はそれほど涼しいものではなかった。空には雲がほとんどなく、陽光を遮蔽するものがない。2本のボトルにはミネラルウォーターが入っている。こまめに水分補給をした。

2021/8/1

5631:検証  

 まず、COPLAND CDA288のトレイに収まったのは、白井光子のメゾ・ソプラノによるブラームスの歌曲集である。ピアノ伴奏はハルトムート・ヘル。1987年の録音である。

 そのなかから「野の寂しさ」、「サッフォー頌歌」、「娘の歌」の3曲をリモコンを操作して聴いた。

 神経を集中して耳を傾けて3曲を聴いたが、その音の質感は音楽を聴くのにそれほど研ぎ澄まされた精神状態で耳を傾ける必要性はないのではと思わせてくれるような柔らかなものであった。

 穏やかで優しい質感である。オーディオ的に優れているかと問われれば、「それほどでもないかな・・・」という答えが口をついて出てきそうであるが、ほっとするような質感はリラックスして音楽を聴く分には最適なのかもしれない。

 二つのスピーカーのセンター位置に座って、腕を組んでじっくりと聴き入るというよりも、リクライニングチェアに深く腰掛けて、センター位置ではないポジションでコーヒーか紅茶を飲みながら耳をそれとなく傾けるという聴き方がふさわしい感じであった。

 もう一枚のCDをCOPLANDの美しいCDプレーヤーにセットした。私は個人的にはトップローディング方式のCDプレーヤが好きで、トレイ方式のCDプレーヤーにはそれほど心惹かれないところがあるが、「トレイ方式も良いかも・・・」とCDA288を眺めながら思ってしまった。

 選択したCDは、マーラーの交響曲第4番。その第4楽章を聴いた。演奏はピエール・ブーレーズ指揮クリーヴランド管弦楽団である。ソプラノはユリアーネ・バンゼ。1998年の録音である。

 CDA288は、マーラーの交響曲であっても第5番ではなく第4番が似合う。その選曲の意図は大川さんにも伝わったようで「確かにこういうの合いますね・・・」と感想を漏らされた。

 30分ほどの時間、COPLAND CD288を一体型CDプレーヤーとして聴いた。「では試しに、同じ2枚のCDをORPFEUSUのDACを経由して聴いてみますか・・・」という話となり、次のステージに進むことになった。

 CDA288にはデジタル出力端子がある。そこからデジタル信号をORPHEUS ONE SEに送り込み、アナログ変換する。

 CDA288はCDトランスポートとして機能することになる。先ほどを同じくブラームス、マーラーの順番に聴いた。

 ORPHEUSが加わるとそのオーディオ的な能力はさすがにぐんとアップする。「そうだよね・・・やっぱりこうなるよね・・・」大川さんはその質感が大幅にアップしたことに、妙に納得したようであった。

 オーディオマニア的な視点では、やはり差があると認めざる得ないが、CDA288のみで聴く分には、ある意味不足感は感じなのではないかとも思えた。

 さらに検証は第3ステージに進むことになった。CDトランスポートとしてのCDA288の実力をORACLE CD2000と聴き比べて検証することにしたのである。

 せっかくセットしたCDA288を一旦ラックから降ろし、本来その場所の主であるORACLE CD2000を戻してケーブル類をセットした。

 そしてまだ先ほどの音の記録が鮮度良く残っているマーラーの交響曲第4番の第4楽章を聴いた。CD2000はトップローディング方式である。アナログに近い感覚でCDをセットした。

 8畳ほどの広さのリスニングルームに広がった音を子細に比べてみると、やはりその質感には大きさ差があった。CD2000の方がカチッとした構成力がある。輪郭がくっきりしていて澱みない感じである。

 「まあ、価格差があるからね・・・」と、その両者の差を認めながら大川さんは話された。「見た目的な差と、音の質感の差って結構似ていますよね・・・」と私はこの両者の外観から受ける差と、音の質感の差が近いことを伝えた。

 ORACLE CD2000はアルミとアクリルが絶妙に組み合わされた孤高の存在感を有するCDトランスポートである。電源部は別躯体となっている。

 CDA288は、一見オーソドックスな外観を有しているが、絶妙なバランス感覚でデザインされていて、北欧らしい優雅さに溢れている。

 それぞれの外観から受ける印象と、その奏でる音から受ける印象は、不思議なほどに一致していた。

2021/7/31

5630:VRDS CMK-4  

 大川さんとは、西武新宿線の東村山駅で待ち合わせた。西口のロータリーに車で向かった。予定時刻の5分前に西口ロータリーに着いたが、すでに大川さんの姿があった。

 「どうも・・・どうも・・・」と挨拶をして、大川さんをピックアップした。東村山駅から我が家までは車で5分ほどである。

 「もう、聴きましたか・・・」と大川さんが尋ねた。「いえ、まだなんです。昨日届いて開封してセットしてあるんです。電源も入れてあります。昨晩はジムでトレーニングする日だったので、昨晩はセットだけしました・・・」

 「ジムでトレーニング・・・?あっ、自転車ね・・・またレースに出るの・・・?」

 「ええ、1ケ月後に乗鞍岳で行われるヒルクライムレースの出る予定があるんです・・・」

 「乗鞍か・・・景色良さそうだね・・・」

 「終盤に、樹木がなくなり視界がぱっと開けるんです。天気が良ければ天空の城ラピュタから見える景色のような風景が見れます。ただし、その頃にはへろへろになっていて、とても景色を楽しむ余裕はありませんが・・・」

 そんなたわいもない会話をしていると、自宅に着いた。ガレージに車を停めて、さっそく我が家のリスニングルームに向かった。

 リスニングルームは玄関を入ったすぐ左側にある。「オーディオ専用ルーム」と言いたいところであるが、妻のアップライトピアノとの同居を余儀なくされているので、厳密には「専用ルーム」ではない。

 広さは8畳ほど。四つ並んだYAMAHA GTラックの上段には右からORACLE Dephi6、Marantz Model7、今回お借りしたCOPLAND CDA288、そしてORPHEUS ONE SEが並んでいる。

 「こうやって見るとCDA288は結構大きいね・・・高さがあるからか・・・左隣にORPHEUSがあるから、高さが際立つね・・・」

 大川さんは我が家のラックの状況を眺めながら、そう呟いた。CDA288の3サイズは、W430×H170×D375(mm)である。

 オーディオ機器としてはフルサイズと言っていいであろう。日本のメーカーの製品の場合、このくらいのサイズのものが多いが、我が家のオーディオ機器のラインナップに入れると、かなり大きく見える。

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 「では、聴いてみますか・・・最初は単体CDプレーヤーとして・・・あとでORPFEUS ONE SEにも繋いでCDトランスポートとしても聴いてみましょう・・・」

 私はこちらもフルサイズと言っていいリモコンを操作して、CDA288のトレイを開けた。CDA288のトレイは生真面目な感じで前にすっと出てきた。CDメカはTEAC VRDS CMK-4が採用されている。

2021/7/30

5629:CDA288  

 大川さんのリスニングルームには2系統のデジタルソースがある。メインとして使われているのが、ORACLE CD2000とZanden Model5000のペアである。そしてもう一つが、KRELL MD10とKRELL STEALTHの純正ペアである。

 数年前には、大川さんのオーディオラックには、これら2系統のデジタルソース以外に2台のDACが置かれていた。それらはWADIA 15とJOB DA96であった。

 それらは使用頻度が少なくなり、処分されたようである。しばし2系統のデジタルソースで落ち着いていたのであるが、2年前に一度「病気が再発して・・・」と、とあるデジタル機器を購入された。

 それは、大川さんが長年使用されているプリアンプであるCOPLAND CTA301、パワーアンプであるCOPLAND CTA504と同じくCOPLAND製のCDプレーヤーであった。

 型番はCOPLAND CDA288。スウェーデンのオーディオメーカーであるCOPLANDの製品は、フロントパネルにヘアライン仕上げのアルミ削り出しを使い、バランスよく配置されたつまみ類のデザインが素晴らしく、北欧製らしい清涼感の溢れるデザインをしている。

 その時、大川さんは、「程度の良い中古品をインターネットで見つけて、ついつい誘惑に負けてしまって・・・」と話されていた。

 その結果、一時大川さんのオーディオラックの一番右側には「COPLANDライン」が綺麗に構成されていた。上から「CDA288」「CTA301」「CTA504」と並んだ姿は実に美しいものであった。

 しかし、一体型CDプレーヤーであるCDA288は、セパレート構成のハイエンド機器である他の2系統のデジタルソースを相手にすると、やはり少し分が悪いようであった。

 「CDA288、実は処分する予定ですが、もしよろしければご自宅のシステムで一度聴いてみませんか・・・?」という趣旨のメールが大川さんから来ていた。そのメールに「ぜひ、聴いてみたいですね・・・」と返信した。

 今日の夜自宅に帰りつくと、玄関脇には一つの段ボール箱が届いていた。「届いたな・・・じゃあ、明日に備えて早速セットしなければ・・・電源も入れておこう・・・」それを見て思った。

 明日の午後、大川さんが我が家に来られる予定である。大川さんは車をお持ちではないので、COPLAND CDA288は着払いの宅急便で事前に送られてきたのである。

 COPLAND CDA288の元箱はそれほど大きなものではない。やや古びていて、あちらこちらに傷や汚れがあった。

 元箱から慎重に取り出されたCDA288は一旦リスニングルームの床に置かれた。元箱は古びていたが、CDA288本体はとても綺麗であった。

 1990年代の製品と思われるので、相当な年数が経過しているはずであるが、大事に使用されてきたことが窺えるコンディションである。

 CDトランスポートであるORACLE CD2000の背面から接続ケーブルを外してラックから降ろした。そこにCDA288を設置した。

 横幅は標準的なサイズであるが、背が少し高い。「COPLAND」とメーカー名が真ん中に明記されT、シンメトリックなデザインである。COPLANDらしく精緻な質感のダイヤルノブが左右に設置されていて、見ているだけで清涼感が感じられるデザインである。

2021/7/29

5628:かき氷  

 時坂峠でしばし、ゆったりとした時間を過ごした。ここから見える景色は穏やかなものである。しばしの時間は下界の喧騒を忘れることができた。

 しっかりと体を休めたのちに下り始めた。時坂峠の峠道は結構荒れている。路面に転がっている石を踏まないように注意しながら下っていった。

 下りの方が斜度の厳しさが感じられる。下りながら「これだけ厳しいのだから、上りでは苦しいはずだ・・・」と納得しながら走った。

 下り切って「ちとせ屋」の脇を抜けていった。今日は「ちとせ屋」の卯の花ドーナッツはスルーすることになっていた。その代わりに檜原街道にあるかき氷屋に立ち寄る予定であった。

 檜原街道を走っていった。戸倉のセブンイレブンまで走っていって、ここで昼食休憩をすることになった。

 駐車場の日陰エリアにロードバイクを立てかけて、店内に入った。昼食には「ちくわ天とおろしの冷しぶっかけうどん」を選択した。やはりこの時期においては冷たい麺類に手が伸びる。

 昼食を文字通りつるっと食べて、先へ進んだ。今日のお楽しみタイムとなるかき氷であるが、その店の名は「喫茶 夏竹」。

 食料品店「丸市屋」が夏の間だけ営業するかき氷屋である。知らないと店の前をさっと通過してしまうほどに質素な佇まいである。

 一部のメンバーは知っていたが、私は全くその存在を知らなかった。「こんなところにあったんだ・・・」と思いながら店のそばにロードバイクを立てかけた。

 ひっそりと佇む「喫茶夏竹」のかき氷は値段も庶民的である。種類も豊富で20近くあり、迷ってしまう。

 迷ったあげく、私は「抹茶 小豆 クリーム」を選んだ。不純物を取り除きながら48時間かけてゆっくり凍らせた純氷を使っているとのことである。

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 「美味しい・・」と、メンバーの口々から漏れ出た。「抹茶 小豆 クリーム」は全部乗せ感のあるゴージャスなかき氷であり、とても美味しかった。

 かき氷を堪能して少し走り、往路でも立ち寄った「五日市ひろば」に立ち寄って、再び「水浴び」をしてから帰路を急いだ。

 「かき氷」「水浴び」のダブル冷却効果も睦橋通りを走る頃にはその効能を完全に失っていた。睦橋通りは灼熱の通りでもある。

 速めのぺースで走り抜けていった。睦橋通りを走り切ってから、拝島駅の近くを通って玉川上水沿いに続く道に入った。

 途中で水道のある公園を見つけて再度水浴びタイムを経て、帰路をほほ走り終えた。「百石橋」で「東大和組」の3名は隊列を離れて北に向かった。

 真夏の「時坂峠ライド」は、こうして終わりを迎えた。走行距離は85km。走行距離は短めであったが、灼熱度合いは相当に高いライドであった。

2021/7/28

5627:パワーダウン  

 「檜原豆腐」で有名な「ちとせ屋」のすぐ手前の道を左に入るとかなり急な坂になる。その坂を抜けていくと、斜度が緩み「払沢の滝」の駐車場が右手に見えてくる。

 緊急事態宣言中ではあるが、多くの人が涼を求めて「払沢の滝」を訪れているようである。駐車場は満車であった。

 駐車場を右手にやり過ごしてから、負荷を上げていった。「240ワットで最後まで走れるか試してみよう・・・」と思っていた。

 ただし「現在の脚力では後半は脚がもたないだろうな・・・」とも思っていた。私のFTPは215ワット程である。15分程度であれば240ワットの平均出力は出るはずであるが、コロナ禍が続き、今一つモチベーションが上がらないなか、パワーも落ち気味である。

 私ともう一人のメンバーで先頭を引きながら前半をこなしていった。しかし、中盤の斜度が厳しいポイントを幾つか通過しているうちにパワーが出なくなってしまった。

 メンバーは次々に前に出ていくが、それについていくことが全くできない。サイコンの10秒平均パワーの数値も前半は240ワット程で推移していたが、後半からは200ワット程迄下がってしまった。

 時坂峠の終盤はぱっと周囲の視界が開ける。前を行くメンバーの背中が幾つか見えているが、その間隔を縮めるためのパワーが、いくら絞っても出てこない感じであった。

 「かなり、落ちているな・・・」ということを身に染みて感じながら、時坂峠の終盤を走っていった。

 チームでゴールと決めている地点が近づいてきた。形だけのラストスパートをして、ヒルクライムを終えた。

 サイコンを確認すると時坂峠のヒルクライムにおける平均パワーは217ワットであった。「これは駄目だ・・・」とうなだれた。

 1ケ月後には、「乗鞍ヒルクライム」がある。現在の調子では相当苦戦することになりそうである。

 もともと乗鞍は苦手なヒルクライムレースである。富士ヒルと乗鞍、チームメンバーの多くはほぼ近いタイムとなるが、私は富士ヒルの方が3分ほど速い。

 今年の富士ヒルはぎりぎりで1時間30分切りができたが、このままでは今年の乗鞍は1時間33分ほどのタイムになりそうである。

 その後全員が上り終えたところで眺望の良い場所に移動した。ここにはもう営業をやめて久しい峠の茶屋が残っている。その脇には水が湧き出ている。

 その水を頭からかぶった。非常に冷たい水であった。その心地よさは格別であった。その水の冷却効果か・・・「まあ、乗鞍は参加することに意義があると思えばいいか・・・年齢も年齢だし・・・」と冷静になれた。

 時坂峠の眺望は素晴らしい。撮影ポイントにLOOK 785 HUEZ RSを設置してスマホで写真を撮った。水に濡れた体に風があたり、ひと時ではあるが涼やかな時を過ごした。

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2021/7/27

5626:水浴び  

 睦橋通りでは、不思議と赤信号で止められる可能性が高い。今日も赤信号でのストップ・アンド・ゴーを繰り返しながら進んでいった。

 走っている時は風を体に受けるが、止まると風は止み、暑さがひしひしと感じられる。今日もボトルは2本体制。こまめに水分補給をした。

 武蔵五日市駅の手前で左折して檜原街道に入った。市街地の中を少し走っていると「公園に寄りましょう・・・」ということになった。

 「五日市ひろば」と呼ばれる広い公園の一角に水道がある。その周囲にロードバイクを立てかけた。その水道の蛇口から水を勢いよく出して、頭からかぶった。

 「気持ち良い・・・」と思わず声が出た。ボトルにも冷たい水を詰め直した。真夏のロングライドは辛いことの方が多いが、この「水浴び」の瞬間は真夏だけの楽しみである。

 檜原街道を進んでいくと、市街地はやがて尽きる。緑の比率が大きくなると、道の周囲を木々が取り囲む「陰地」を通ることもある。そのエリアでは約熱から一時的ではあるが退避できる。

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 檜原村下元郷公衆トイレまで達して、トイレ休憩をした。このトイレは、オークヴィレッジ木造建築研究所が設計したものである。

 檜原村の地域性や伝統文化が感じられるデザインであり、シンボリックな建物となっている。素材は檜原村産のヒノキ材が多用されていて、ヒノキの良い香りがする。

 ここでの小休止の後は、「時坂峠」まで走る。「時坂峠」は距離は短いが、斜度がしっかりとしているので、上り応えがある。

 「脚力が落ちているから、厳しいとは思うけど240ワット程のイーブンペースで上りたいな・・・」そんなことを思いながら、公衆トイレの前に設置されているサイクルラックからLOOK 785 HUEZ RSを降ろした。

 隊列を形成して、走り始めた。少し行くと道の右側に檜原村役場がある。それを通過すると「橘橋」のT字路交差点にぶつかる。

 この交差点を左に折れると「都民の森」に向かう。今日は右折した。小さな集落を抜けると、視線の先に「檜原豆腐」で有名な「ちとせ屋」の建物が見えてきた。

 その建物の手前を左に入ると「時坂峠」の上りが始まる。その道の先には払沢の滝の駐車場がある。警備員が「満車」と書かれた札をもって立っていた。

2021/7/26

5625:カラパス  

 昨日の土曜日には、東京オリンピック男子ロードレースが行われた。武蔵野の森公園をスタートし、富士スピードウェイでフィニッシュする総距離234kmの過酷なコースである。レース終盤に単独で抜け出したリチャル・カラパス(エクアドル)が優勝した。

 金メダルを獲得したカラパスは、ツールドフランスではタデイ・ポガチャルの引き立て役に終始した感があったが、このオリンピックレースで鬱憤を晴らしたかのようであった。 

 チームでのロングライドの集合場所であるバイクルプラに着いた時、店内のディスプレイには昨日の男子ロードレースの録画が流れていた。

 ちょうどレースは終盤に入った頃であった。私はスマホで観ていたが、画面が小さく臨場感が乏しかった。

 ちゃんとしたディスプレイで改めて見ると画質もとても良く、臨場感がある。集まってきたメンバーも皆その画面に見入りながら、個別に解説や感想を述べ合っていた。

 スタート時間の7時半になったが、「最後まで観終わってから、スタートしますか・・・」ということになり、スタート時間は30分ほど繰り下がった。

 今日のロングライドの参加者は8名であった。そのロードバイクの内訳はORBEAが5台にLOOKが2台、そしてRIDLEYが1台であった。

 今日も暑くなるであろう。最高気温の予想は34度。アスファルトの上では体感気温がさらに上がる。

 「今日は暑さ対策が重要だな・・・」そんなことを思いながら走り始めた。今日の目的地は「時坂峠」である。

 隊列を形成して小平市の市街地を抜けていった。朝のうちはまだ暑さはそれほど酷いものではなかった。風も吹いていて、比較的穏やかな心情で走っていけた。

 やがて道は玉川上水に沿って続くエリアに入った。玉川上水沿いには多くの木々が植えられている。その木々では蝉が盛大に鳴いていた。

 その「岩に染み入る」ような蝉の声を聴いていると「盛夏」という言葉が頭に浮かんだ。蝉の声の音量が上がるにつれて、気温もぐんぐんと上がってきた。

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 なるべく日陰を選んで走っていって、拝島駅前のファミリーマートでコンビニ休憩をした。陽光はもう容赦ないという感じで地上を照射していた。

 補給食には「全粒粉サンド サラダチキンとたまご」を選択した。全粒粉入りのパンの間にはサラダチキンスライス、チーズ、ゆで卵が入っていてボリューミーである。スパイスやハーブを使用したトマトソースが爽やかな味わいであった。

 コンビニ休憩後、国道16号を越えて、睦橋橋通りに入った。睦橋通りは片側2車線の広い道路である。陽光を遮るものはない。灼熱の道を進んだ。

2021/7/25

5624:光  

 「光カートリッジ」という言葉は今までに何度か聞いたことがあった。しかし、我が家のオーディオシステムは、ヴィンテージ機器が主要なポジションを占めていて、どちらかというと最新技術に背を向けているところがある。正直それほどの関心は持っていなかった。

 「光カートリッジ」は、「アナログとデジタルの良いとこ取り」とか「第3のフォーマット」と言われている。

 この新たなアナログの世界に、お知り合いのオーディオマニアであるHさんのリスニングルームで触れたGRFさんは、椅子から転げ落ちんばかりに驚愕されたようである。

 その後、電磁誘導の曖昧さから解放された光カートリッジの世界に、一気に飛びこまれていったのである。

 2本のSME シリーズXには二つの光カートリッジが装着されていた。一つはGrand Master(税込1,320,000円)であり、もう一つはDS003(税込247,500円)であった。

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 光カートリッジには専用のフォノイコライザーが必要である。光カートリッジのメーカーであるDS Audioから何種類か発売されているが、GRFさんが選択されたのはEMM LabsのDS-EQ1である。

 当初はMC用フォノイコライザーに光カートリッジ用入力を付ける計画であったが、エド・マイトナーは「光カートリッジの音を聴いたら二度とMM/MCカートリッジには戻れない。だからもうEMM LabsのフォノイコライザーにはMM/MCの入力は付けないことにした。」と計画を変更して光カートリッジ専用のフォノイコライザーの開発に切り替えて誕生した製品である。

 GRFさんの広いリスニングルームでのOFF会の後半は、「光カートリッジタイム」となった。まずは、GRF邸においてはアナログで必ず最初にかかる越路吹雪のリサイタル盤を聴いた。

 「光カートリッジの音を聴いたら二度とMM/MCカートリッジには戻れない・・・」その言葉の真実味がひしひしと感じられる音の質感に少々度肝を抜かれた。

 「奥行き深い空間表現と、低音の明確さ、音の鮮度感・・・今までのアナログの常識を覆す音だな・・・」と、耳をダンボにして聴き入った。

 その後、森進一などのリサイタル盤を数枚聴いた。いずれも50〜60年前のリサイタルを収録したものであるが、その臨場感と鮮度感は、古さを全く感じないものであった。

 チューバホーンさんは「聴く者がその時代にタイムスリップするのではなく、リサイタルそのものが現代にタイムスリップするかのようだ・・・」という趣旨の感想を漏らされたそうである。

 確かに従来のアナログが「猿の惑星」であれば、光カートリッジの描き出す世界は「新・猿の惑星」なのかもしれない。

 クラシックのレコードも色々と聴かせていただいたが、最も印象的であったのは、シベリウスの交響曲第4番であった。

 カラヤン指揮のベルリンフィルの演奏である。もっとも脂の乗っていた時代のカラヤンは、重厚な響きが特徴のベルリン・フィルから、透明感あふれるシベリウス・サウンドを巧みに引き出している。

 その切れとグリップの良さが実に心地よく、光カートリッジが拾い上げる精細な音情報がその名演を細大漏らさず表現している感があった。

 「光カートリッジの音を聴いたら二度とMM/MCカートリッジには戻れない。」・・・GRFさんは完全にその世界に入っていかれたようである。

 今後もその新たな扉を開けて、「光の世界」に飛び込まれていくオーディオマニアが増えていくであろう。 

 「光カートリッジ」は、GRFさんにとって、アナログオーディオの世界を新たに照らす「光」そのものであったようである。

2021/7/24

5623:無音  

 先月、ハンコックさんのお宅でのOFF会で、Wilson AudioのWATTとPUPPYを分離してそれぞれ別々のパワーアンプで駆動した際、最も印象の良かったバランスにおいて、試しにPUPPYだけを鳴らしてみた。

 すると全く音は聴こえなかった。ユニットに耳を近づけてみても「無音」であった。しかし、WATTと一緒に鳴らすとその影響ははっきりと感じられた。

 今日の午後、GRFさんのリスニングルームでも同様な体験をした。PSDの特注サプウーファーは、ハンコックさんのお宅のPUPPY同様SD05で駆動されているが、それ単体で鳴らしてみても全く音が聴こえない。

 しかし、 German PhysiksのトロバドールとPSDのサブウーファーにより非常に複雑に組み合わされたスピーカーシステム全体で聴くと、後方に設置されたサブウーファーは、何かしら「魔法の粉」のようなものをスピーカーシステム全体の音に振りかけるのである。

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 広大な広さを有するGRFさんのリスニングリスルームのリスニングポイントに置かれた3人掛けソファに腰掛けた時に視界に収まる風景は、前回お邪魔した時と大きく変わっていた。

 前回はPSDのサブウーファーの上にトロバドール80が乗ったスピーカーシステムが1ペアあるというノーマルでシンプルなシステムであったが、その後メインスピーカーから見て斜め後方のコーナーに置かれているTANNOY GRFの上にトロバドール40が1ベア追加された。

 これによりもともと広大なエアボリュームを活かした広々とした後方展開音場が後方にいくに従ってせり上がっていくような空間表現になり、より響きが豊かで空間の高さが出るようになった。

 そして、メインスピーカーの後方には、ユニットの口径が一回り大きくなり、それに従ってサイズアップされたPSDのサプウーファーが1ベア加わった。

 この1ペアの新たなサブウーファーがもたらす「魔法の粉」により、サウンドはよりリアルな方向に推し進められ、実際のコンサートホールの音の質感にぐっと近づいていく。

 この「ホップ」「ステップ」「ジャンプ」といった三段活用のような進化の過程をマーラーの交響曲第4番の第2楽章を、セッティングをその進化の過程に合わせて変更していって3回聴くことにより、確認した。

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 この複雑に進化したスピーカーシステム。さすがのGRFさんも調整には数ケ月の時間を要したようである。

 進化の過程での「ジャンプ」にあたる新たなサブウーファーは、それ単体で聴く限り人間の耳には「無音」でしかない。

 しかし、無音である超低域エリアには、何かが潜んでいるようである。その何かは、音の基盤となる大切な情報なのであろうか・・・

 その「何か」は、スピーカーシステム全体の位相が合っていることや、メインシステムとのバランスがしっかりと取れていることなど幾つかの条件が揃うと、目に見えない「魔法の粉」を噴出して、システム全体の音に「魔法」をかけるようである。

 「リアルなコンサートホールの音をリスニングルームに再現する」というテーマを追求し続けてきたGRFさんにとって、このスピーカーシステムの進化の過程は、必然的なものであったのかもしれない。

 この第3世代進化系システムが完成したのが今年の初めの頃であった。しかし、「至福の時間」は実はそれほど長くは続かなかった。

 その後アナログオーディオの分野において、全く革新的な技術との邂逅がもたらされた結果、新たなそして大きな変革が、この広大な広さのリスニングルームにもたらされたのである。



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