2021/10/21

5712:第2番  

 5年に1回開催されるショパン国際ピアノコンクール。本来は昨年2020年に行われる予定であったがコロナ禍により1年延期されて今年執り行われている。

 その第18回ショパン国際ピアノコンクールもいよいよクライマックスを迎えつつある。ファイナルステージに進出したのは、予定よりも2名多い12名である。

 ファイナルステージは、日本時間で10月19日(火)〜10月21日(木)の3日間にわたって行われる。すでにそのうち初日と2日目は終了し、8名のファイナリストが演奏を終えた。

 日本人のファイナリストは、反田恭平と小林愛実の2名であり、日本人初の優勝者が出るかどうかと、大きな期待が寄せられている。

 ファイナルステージでは、ショパンのピアノ協奏曲の第1番か第2番かのどちらかを、ファイナリストが選択する。

 第18回のファイナリスト12名のうち、第1番を選んだのは9名であり、第2番を選んだのは3名である。日本人の2人はともに第1番を選択した。

 過去のコンクールで第2番を弾いて優勝したのは、第1回のヤコフ・ザークと1980年のダン・タイ・ソンだけである。

 「優勝を狙うなら第1番を選べ・・・」というのが、ショパンコンクールの一つのジンクスとなっている。

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 チューバホーンさんのお宅には、二つのプリアンプがある。一つはMaranzr Model7である。もう一つは是枝重治氏の設計・製造になるプリアンプである。

 Marantz Model7はとても有名で人気のあるヴィンテージプリアンプである。そして是枝重治氏設計・製造になるプリアンプは、堅牢なシャーシを採用し、2躯体構造の相当にしっかりとした作りの真空管プリアンプである。

 今までチューバホーンさんのお宅を訪問された方の多くは、Marantz Model7を支持し、是枝アンプを支持する人は比較的少なかった。

 その比率はショパンコンクールのファイナルステージで第1番を選択するファイナリストの数と第2番を選択するファイナリストの数の比率のように偏っていたようである。

 私もMarantz Model7支持派であった。是枝プリアンプでは、SN比などのオーディオ的な特性は明らかに良くなるのであるが、Maranzt Model7では白熱灯の明かりであったのが、是枝プリアンプではLED電球に変わったかのような印象を受けたのである。

 今日の午後、チューバホーンさんのリスニングルームにお伺いすると、クワドラスパイアのラックの棚板の最上段には是枝プリアンプの銀色に鈍く光る重厚な躯体があった。そして、その肩には「今日の主役」を書かれたタスキがかけられているかのように、その存在感を強く主張していた。

 「今日は是枝プリアンプなんですね・・・」と久々に目にしたその決して物理的には大きくはないけど、独特のオーラを発するプリアンプを眺めながら、座面が低めのイージーチェアに腰かけた。

 送り出しはCECのCDトランスポートに0-DACの組み合わせ。この両者はCECの独自規格であるスーパーリンクで接続されている。

 パワーアンプはネルソン・パスのセカンドブランドであるFirst WattのF6。そしてスピーカーはTANNOY LANCASTER(モニターゴールド)。

 シューベルトのピアノソナタが流れた。そしてその次はベートーベンのピアノソナタ、続いてバッハの無伴奏チェロ組曲。

 クラシックの名曲がたて続けて流れたのであるが、従前是枝プリアンプに感じた「オーディオ的には高性能だけど音楽の線が細い・・・」といった印象は、今回は全く受けなかった。

 音楽の表情が明確で、訴求力を感じる音である。ただやみくもにSNが良いとか、音が見えるように解像度が高いといったこととは別次元のことではあるが、音楽の表情がしっかりと聴く者に伝わる。

 そして、聴き進むうちにスピーカーであるTANNOY LANCASTERが本質的に持つイギリス的な木質系の豊かで渋い響きが、実に耳に心地良いと思えるようになってきた。

 上流のデジタル部門の幾多にわたるグレードアップによるものなのか、LANCASTERの上に新たに追加されたTANNOY製のスーパーツイーターの効果なのかは不明であったが、是枝プリアンプに抱いていた従来のイメージはするっと入れ替わった。

 是枝プリアンプは極力色付けをせずに音楽信号をパワーアンプに繋げることに徹しているようであった。デジタル機器がレベルアップしてそこから送り込まれたより上質となったデーターを決して濁すことなくパワーアンプに流し、結果としてスピーカーであるLANCASTERの個性を良い意味合いで際立たせているようであった。

 LANCASTERは正真正銘のイギリスの音である。スピットファイアの国の音であり、スピットファイアに搭載されたロールスロイス製のV型12気筒エンジンの音である。イギリスの曇りがちな空が似合う渋さと精悍さが魅力である。

 第18回ショパン国際ピアノコンクールのファイナル・・・初日の4名、二日目の4名のファイナリストの演奏をYouTubeの配信で聴いた。初日は4名とも第1番。二日目は3名が第1番、1名のみが第2番。

 個人的に強く印象に残ったのは、初日の最初に演奏したKamil Pacholec(ポーランド)と、二日目ただ一人第2番を演奏したMartin Garcia Garcia(スペイン)である。

 二人は対照的であった。Kamil Pacholecは端正で気品があった。Martin Garcia Garciaは情熱的で天才肌。

 「もしかしたら、Martin Garcia Garciaがジンクスを破って第2番で優勝するかもしれない・・・」と少し思った。

 チューバホーンさんのお宅の「第2番」であった是枝プリアンプもその真価が発揮されてきたようであるし、今後チューバホーン邸における「第1番」と「第2番」の支持比率にも変化が起こるような気がした。 

2021/10/20

5711:最高の贅沢  

 続いてレコードの出番となった。FMさんはオーディオマニアであるとともにコアなレコードコレクターでもある。

 部屋のレコード収納棚には1万枚を超えるレコードがぎっしりと詰め込まれている。メロディアやスプラフォンといった旧共産圏国家のレコードのコレクションが充実している。旧共産圏のレコ−ドはビニール素材の品質が低く、そのコンディションが劣化しているものも多いが、「不思議と芸術性・音楽性は高いんですよね・・・オーディオ的には音が良いというわけではありませんが・・・」と、その旧共産圏コレクションは今も増え続けているようである。

 ガルネリ・メメントで最初に聴くならこのレコードと決めていた1枚を取り出した。ジャクリーヌ・デュ・プレのチェロによるベートーベン チェロソナタ第3番である。

 3枚組のボックスからその1枚を取り出して、ORACLE DELPHI6のターンテーブルにセットした。まだ針先が暖まっていないので、針を盤面に降ろして「暖機運転」を開始した。

 その間、コーヒーをもう1杯用意して雑談タイムを過ごした。FMさんはFM ACOUSTICSのフォノイコライザー、プリアンプ、パワーアンプをお使いである。FM ACOUSTICSはメンテナンスが高額で大変という話を聞いたことがあるので、質問してみると、「モジュール交換が必要な修理の場合は高額です・・・それ以外の修理で済む場合には、それほどでもないんです・・・いつもひやひやですけどね・・・」との回答であった。

 針先は片面の最後の方まで移動したので、一旦針を上げた。針先を清掃して、プリアンプのボリュームを所定の位置まで上げた。

 そしてアームリフターを下げて、再度針先をレコードの盤面に降ろした。着地した時に「ブツッ・・・」と音がして、サーフェスノイズが静かに響いた。

 そしてベートーベンのチェロソナタ第3番の主題が厳かに響き始めた。ピアノ伴奏はダニエル・バレンボイムである。

 「若々しいな・・・デュ・プレが若い、その息遣いも生々しい・・・空間が明るく、澄んでいる・・・」

 このレコードが録音されたのは1970年8月である。デュ・プレは25歳である。25歳のデュ・プレの等身大の姿が感じられた。

 アントニオ・ストラディヴァリが制作した60余りのチェロの中でも指折りの銘器と言われる1713年製ストラディヴァリウス “ダヴィドフ”の響きは、華麗にして透明感に溢れている。

 TANNOY GRFで聴く時にはじんわりと心に染み入ってくる感じであるが、ガルネリ・メメントでは、華やかで凛々しい。

 続いて、ORACLEのターンテーブルに乗ったのは、ヨハンナ・マルツィのヴァイオリンによるシューベルトのソナチネ第2番である。ヨハンナ・マルツィは、ルーマニア出身の、ハンガリーで活躍したヴァイオリニストである。

 録音は1955年。もちろんモノラルである。イコラーザーカーブは「NAB」。Marantz Model7のイコラーザーポジションを「NAB」に合わせた。

 そして聴いた。先ほどのデュ・プレのときとは違った。「あれっ・・・何かがずれているな・・・深みのある芸術性が感じられない・・・表面をなぞっただけのような印象が・・・」そういった印象は最後の楽章が終わるまで続いた。

 そして、最後にかけたのがIlze Graubinaのピアノによるスカルラッティのソナタを6曲聴いた。レーベルはメロディア。

 こちらは良い印象である。明るく煌めく音色は爽やかでありながら深みがある。彼女の高い音楽性・芸術性が感じられた。

 録音時期はアナログとしては比較的新しい1970年代後半。アナログの場合、録音時期が新しいものに関しては素晴らしい表現力を感じた。

 唯一1950年代の古いモノラル録音の場合、TANNOY GRFの聴かせる深みのある音楽性・芸術性と比較してしまうと、物足りなさを感じた。

 1950年代の古い真空管アンプで駆動したソナスファベールのガルネリ・メメント・・・・予想していたよりも印象はとても良かった。このリスニングルームでGRFと併設して聴き続けることは可能であろうか・・・今後幾つかの微調整を繰り返して検証していきたいと思った。

 「箱に戻すのはもったいない感じですね・・・このまま置いておけばいかがですか・・・ケーブルの差し替えは2分ほどで完了しますから、二つの世界を味わえるのは最高の贅沢でしょう・・・」と、FMさんは満面の笑顔であった。

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2021/10/19

5710:レッドヴァイオリン  

 そして、電源を入れた。Marantz Model7の小さなパイロットランプがすぐさまオレンジ色に慎ましく輝いた。

 さらに、Marantz Model2の何本もの真空管がオレンジ色に染まっていった。しばし待った。静かであった。

 TANNOY GRFにスピーカーケーブルが接続されている場合、1950年代の真空管アンプから漏れ出てくるノイズは、感度が非常に高いモニターシルバーでははっきりと音として認識される。

 「サー」あるいは「ザー」というノイズが耳に到達する。しかし能率が88dBと一般的な数値であるガルネリ・メメントではその手のノイズが聞こえない。

 「静かだってことはやはり良いな・・・」レコード針がレコード盤に降りれば、そういったノイズはすっと脳内の聴覚中枢からは消えていくが、楽音が止んでいる時にノイズが気にならないのは、やはり気分がすっきりとするものである。

 コーヒーをカップに入れて小さなヴィンテージのテーブルの上に置いた。二つ並んだ白いコーヒーカップの中には黒い液体が静かに佇んでいた。

 真空管アンプは電源を入れてから一定時間以上経過しないと、その真価を発揮しない。しばしの時間をコーヒーを飲んで過ごした。

 中野坂上にある「オーディオショップ・グレン」で見かけたのがきっかけとなった。その時のガルネリ・メメントは、今FMさんのリスニングルームにある。

 そして、「やはり欲しいですね・・・このスピーカー・・・」と心からのため息が漏れ出るように、FMさんのリスニングルームで漏らした私の独り言を聞き逃さなかったFMさんがたまたまインターネットで見かけて私に知らせてくれたガルネリ・メメントは、今目の前にある。レッドヴァイオリン仕上げの美しい色合いのキャビネットは部屋の空気に溶け込んでいるように感じられた。

 まずはCDから聴くことになった。インターネット配信に追われCDの売れ行きは下がる一方であるが、私にとっては新たな才能の発見がある世界である。

 エルガーのチェロ協奏曲を聴いた。チェロはソル・ガベッタである。第1楽章から第4楽章まで通して聴いた。時間にして約30分間・・・チェロとオーケストラの響きがこの狭い部屋を満たした。

 聴き終えてFMさんと会話した。「時代的にそぐわないと思っていましたが、Marantzでも鳴りますね・・・ダンピングファクターはTANNOY モニターシルバーに合わせてますから1.5もないぐらいです・・・ガルネリ・メメントはアンプに負荷をかけないスピーカーですね・・・しっかりと歌ってました・・・」私は「案ずるより産むが易し・・・」の結果にほっとしながら話した。

 「ヴィンテージのアンプですが、相性は悪くないと思いました・・・不思議ですね・・・響きは決して古臭く感じませんでした・・・色合いも明るく深い。清涼系のハイエンドサウンドとは一線を画していますが、鮮度が感じられました・・・」FM ACOUSTICSのアンプをお使いのFMさんは、その独特の音色に惹かれている。FMさんの好みの方向性に沿った音色であったようである。

 もう一曲CDで聴いた。バッハのヴァイオリン協奏曲第1番である。ダニエル・ロザコヴィッチのヴァイオリンである。

 三つの楽章を通して聴いた。時間は約15分間。鮮やかである。明るく、艶やか、軽やかで疾走感がある。

 その音楽は、ガルネリ・メメントとの相性が一番良いと思えた。音の明るさはイタリアの明るさであろうか・・・透明で肯定的である。

 TANNOY GRFの音色とはやはり違う。モニターシルバーが聴かせる響きは、セザンヌの「サント=ヴィクトワール山」のように寡黙で渋いが、深い。独特の陰影感に嵌り、そこに気品を感じる。

 ガルネリ・メメントはレッドヴァイオリン仕上げの聡明な輝きを感じさせてくれる。毎日白い手袋をしてマイクロファイバーのクロスで拭き上げたくなる艶やかさである。

2021/10/18

5709:セッティング  

 ガルネリ・メメントの箱は三つに分かれている。その一つには専用スタンドのベースとなる大理石が二つ梱包されている。

 大理石なので、とても重い。「イタリアン・マーブル」と呼ばれる大理石は独特の淡い色合いと渋い柄がヨーロッパの歴史を感じさせる。その大理石のベースを慎重に取り出した。

 二人は滑り止めの付いた軍手を使っているので、しっかりと掴むことができる。この大理石のベースは、ガルネリ・オマージュからの伝統であったが、ガルネリ・エボリューションからは花崗岩に変更された。

 その次に専用スタンドの支柱が2本入った箱から、支柱を取り出した。ストリングカーテンが周囲を覆っている。この意匠はソナスファベールのアイコンにもなっている。そのストリングカーテンが伸びたりしないように注意しながら、取り出した。

 専用スタンドの支柱とベースは三つのネジで固定される。六角レンチが付属しているので、それを使って支柱とベースを固定させた。

 その2本の専用スタンドは、以前から所有しているアピトン材を使用したオーディオボードの上に設置された。後は、この専用スタンドの上にスピーカー本体を設置すれば組み上げ完成である。

 スピーカー本体が入っている箱から、保護袋に入ったスピーカーを取り出した。そして柔らかい布製の保護袋を慎重に取り外した。

 ヴァイオリン用のニスを幾重にも重ね塗りされた艶やかな色合いのスピーカーが現れた。レッドバイオリン仕上げの色合いは明るい。木目も鮮やかである。

 そのスピーカー本体を専用スタンドに乗せて、微妙な位置調整をしながら2本の専用ネジで固定していく。

 2本のガルネリ・メメントは組み上がった。背は高くすらっとしてる。仰角が少し付けられたその立ち姿はやはり素晴らしい。

 「綺麗ですね・・・まさにミントコンディション・・・我が家のガルネリ・メメントも綺麗だけど、それを上回る感がありますね・・・」FMさんは目を細めるようにしていた。

 続いてセッティングである。とりあえず「カルダスセッティング」に従って位置決めをした。後方のコーナーにはTANNOY GRFがあるので、後方の壁からは離したかった。

 後方の壁からは約1.5メートル。側面の壁からは約0.9メートル離した。以前、TANNOY GRFのモニターシルバーをメンテナンスに出した時にPSDの大山さんからT4をお借りした時のセッティングと同じである。

 オーディオボードごと床を滑らせるようにして位置を合わせた。そしてMarantz Model2から伸びているテレフンケン製の細いスピーカーケーブルが、TANNOY GRFからガルネリ・メメントの背面にあるスピーカーターミナルに繋ぎ変えられた。

 リスニングポイントには北欧ヴィンテージのイージーチェアが二つセットされている。そこに二人で座って改めて眺めた。

 狭いリスニングルームでのカルダスセッティングは当然の結果として、ニアフィールドリスニングとなる。

 美術工芸品的な美しさを湛えたガルネリ・メメントは部屋の空気を一変させた。神々しさをも感じさせるその姿は中世ヨーロッパの騎士のようであった。

2021/10/17

5708:試聴  

 FMさんから連絡をいただき、そのオーディオショップに連絡を取ってから、片道2時間もかけて、その試聴室にお伺いした。

 そして30畳以上はあるかと思える広い試聴室でその姿を確認したガルネリ・メメントは、正真正銘のミントコンディションであった。

 キャビネットに傷やくすみは一切なく、簾状のストリングネットも緩みがない。元箱だけでなく保存用のビニール類もその全てが保存されているという徹底ぶりであった。

 前オーナーはソナスファベールのディープなコレクターでもあり、複数のソナスファベールのスピーカーを所有されているとのことであった。

 そのリスニングルームは24時間エアコンがかかっていて温度と湿度が管理されている。地下にあるその部屋には、紫外線が一切入らない。

 そのため紫外線の影響により白濁することがある何層にも重ねられた天然ニスも艶やかな色合いを保っている。

 フロントバッフルを覆う本革にも傷みが全くない。そしてくすみがちになることが多い、リアのスピーカー端子もピカピカのままであった。

 まずはそのコンディションの素晴らしさに心を奪われた。ガルネリ・メメントは美術工芸品的な価値もあるスピーカーなので、ミントコンディションであることは実に素晴らしいことである。

 持参したCDで2曲を聴かせていただいた。ルノー・カピュソンのヴァイオリンによるコルンゴルドのヴァイオリン協奏曲と、ソル・ガベッタのチェロによるエルガーのチェロ協奏曲である。

 ガルネリ・メメントは美術工芸品的な美しさという点においても、また弦楽器を鳴らした時の艶やかさという点においても、Sonus Faberの歴代の数々の銘機のなかにあってもトップクラスのスピーカーと言っていいであろう。

 この素晴らしいコンディションのガルネリ・メメント・・・残念ながら我が家ではその真価を発揮できる状況ではないと危惧されたが、「これはぜひ手元に置いておきたい・・・まさにコレクターアイテムだな・・・」という抑えがたい要求に負けて、我が家に運び込まれることになった。
 
 その後、FMさんにその旨伝えると「せっかくだから、箱から出さずにずっと保管しているのももったいないですから、Marantzに繋いで一度聴いてみませんか・・・?」という話の流れになった。

 ガルネリ・メメントは2006年の登場。1950年代に設計・製造されたMarantzのModel7とModel2では、時代的な整合性は取れない。「きっとがっかりすることになるのでは・・・」とは思われたが、「私も是非聴いてみたいです・・・」とFMさんの「推し」もあって、試してみることになった。

 FMさんに我が家に来てもらって、二人で元箱に綺麗に収められているガルネリ・メメントとその専用スタンドを慎重に取り出して、組み立てていった。

2021/10/16

5707:ソナスファベール  

 ソナスファベールというとどうしても弦楽器というイメージが強い。創設者であるフランコ・セルブリンがソナス・ファベールをイタリア北部のヴェネト州ヴィチェンツァで興したのは1983年のことである。

 ヴィチェンツァは「陸のヴェネツィア」と呼ばれているような風光明媚な地である。西に100qほど行くとバイオリンをはじめとした弦楽器製造で有名なクレモナがある。

 ソナス・ファベールを一躍有名にしたのは1988年に発売したエレクタ・アマトールである。フランコ・セルブリンが幾多の試行錯誤のうえにブラジリアンローズウッドという高級木材の無垢材を張り合わせて響きをコントロールし、バッフル面には本革を貼り反射を抑えるという手法を編み出して生まれたスピーカーであった。

 そのエレクタ・アマトールは仕上がりの美しさと響きの豊かさが評判を呼んだ。日本でもいち早く人気となり、相当数売れたようである。

 その後、1993年には、ソナスファベールにとって記念碑的な作品となったガルネリ・オマージュを開発し、販売する。

 ヴィチェンツァはクレモナから近いこともあって、フランコ・セルブリンはクレモナの楽器職人と親交があったようである。ガルネリ・オマージュの開発のために、彼等からバイオリンの製造技術の手法を徹底的に学び、それを活かして見事なスピーカーを仕上げた。

 リュートのような洋梨型の形状をしたエンクロージャーはウォルナット、メイプル、ライムウッドなどで構成され、バイオリン職人が使ったニカワと熱圧着技術により接着され組み立てられている。

 表面に塗られたニスもバイオリン製造と同様のものが使われた。そしてその後ソナスファベールのアイコンにもなったスピーカーバッフル面とスタンド表面に張られたゴム系素材のストリングネットが初めて採用された。

 その姿は「美しい。ただ見ているだけでもいい・・・」といった印象を見る者に与える。スピーカーでありながら、美術工芸品の域にまで達した作品であった。

 そういう歴史を有するメーカーであるので、ソナスファベールのスピーカーを聴くなら弦楽器の曲を聴きたいという思いがまず浮かぶ。

 ガルネリ・オマージュに始まった「オマージュ・シリーズ」は、その後アマティ・オマージュ、ストラディバリ・オマージュと続いていく。

 そして「ガルネリ・オマージュ」自体もその後シリーズ化され「ガルネリ・メメント」「ガルネリ・エボリューション」「ガルネリ・トラディション」とその系譜が現在まで続いている。

 エレクタ・アマトールは「オーディオショップ・グレン」の常設スピーカーであるので、今まで何度も聴いている。

 「ガルネリ・オマージュ」の系譜に繋がる「ガルネリ・メメント」はFMさんのリスニングルームで聴いた。

 そのいずれもが、やはり「弦楽器が素晴らしい・・・」という印象であった。私はクラシックオンリーでかつ弦楽器の音に傾倒しているので、その印象はいずれもとても良いものであった。

 ガルネリ・メメントをお使いのFMさんから連絡が入ったのは先月のことであった。「出ましたよガルネリ・メメントが・・・ミントコンディションです・・・私が持っているものと同等かそれ以上にコンディションが良いようです・・・」と、FMさんは若干興奮気味であった。

2021/10/15

5706:納車期間  

 世界的な半導体不足は、自動車産業にも大きな影響を与えている。今ディーラーと新車購入の契約をしても、納車までの期間が相当かかるようなのである。

 Ðセグメントの新たな基準を作ったと話題のMercedes-Benz Cクラスのニューモデルは、先行予約販売を既に開始しているが、10月に契約したとしても納車は来年の7月頃になるという。契約から9ケ月後ということである。

 来年内には現在乗っているBMW 523iの買い替えをする予定でいるので、その納車タイミングの遅れは気になるところである。

 輸入車は人気の仕様を中心に輸入される。客は、その在庫車から選ぶことが多い。その場合には納車にはそれほど時間はかからない。

 しかし、現在は、半導体不足による減産などにより通常よりも輸入台数が相当減っている。その数の乏しい在庫車の中に欲しい車種や仕様がない場合には、納車までに相当な月数を要することになる。

 納車のタイミングを優先するなら、現在日本に輸入されている在庫車の中から、選ぶことが要求されることになりそうである。

 Mercedes-Benz Cクラスのようにフルモデルチェンジされたばかりで、日本に在庫車がほとんどない車種の場合、納車のタイミングは契約したことを忘れた頃になるようである。

 そのMercedes-Benz Cクラスであるが、インターネットなどの試乗記事を見る限りにおいては、相当良さそうなのである。

 そのエクステリアやインテリアは「ミニSクラス」とっていいほどにSクラスの造形が継承されている。

 ボディは拡大された。全長は80mm伸びて4785mmに、全幅はプラス10mmの1820mmに、全高も5mm上がって1435mmになった。

 これは一昔前のEセグメントのサイズ感であり、「コンパクト」という表現はもう合わないであろう。全幅がそれほど拡大せずに1820mmであることは、日本の狭い道幅を考慮すると歓迎すべきことである。

 またオプションであるがリア・アクスル・ステアリング=後輪操舵システムを選択すると、コインパーキングなどでの取り回しもかなり楽であろう。

 その乗り味は「できすぎ君」のようである。マイルドハイブリッドに関しても、発進時や加速時における電気モーターのサポートが絶妙で、スムースな感触で纏まっている、とのこと。

 まだ、ディーラーには試乗車は届いていないようである。試乗車が入ったらやはり一度乗ってみたい。

 もしも気にいったら、その場で契約。来年の夏か秋ごろまで待つということになるのかもしれない。

 現在予約販売を開始しているのは、「C200アヴァンギャルド」、「C200 4MATICアヴァンギャルド」、「C220dアヴァンギャルド」の3タイプ。セダンとワゴンも同時に発表されている。

 購入の可能性が一番高いのは「C200アヴァンギャルド」のワゴンモデルである。価格は素の状態で677万円。オプションに要する費用や諸経費を含めると800万円ほどになるであろう。もちろん値引きは期待できない。

 「サイズもそうであるが価格もEセグメント並みだな・・・」そんなことを思った。さらにフルモデルチェンジしたばかりの初期型はどうしてもマイナートラブルの発生確率が高い。イヤーモデルごとに改良が加わるので、後期型の方が安定している。「焦るべきではないのかも・・・」とも思ったりする。

2021/10/14

5705:ミニバトルポイント  

 正丸峠の頂上は霧で煙っていた。峠の茶屋である奥村茶屋には、最近テラス席が新設された。ウッドデッキに幾つかのガーデンファニチャーが設置されていて、お洒落な雰囲気である。

 BGMにはジャズがかかっていた。奥村茶屋そのものは昭和の香りが濃厚なレトロな和風茶屋であるが、このテラス席だけ雰囲気が違っていた。

 「ちちぶサイダー」を1本購入して、せっかくなのでテラス席に座って飲んだ。サイダーの味わいは昭和レトロな味わいであった。

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 ヒルクライムを走り終えた直後は体が熱を持っていたが、時間の経過とともにその熱は奪われていき、少し肌寒くなってきた。

 サイクルウェアの背面ポケットに入れておいたウィンドブレーカーを取り出して着用した。恒例の記念撮影を済ませてから帰路に着くことになった。

 8台のロードバイクは隊列を形成して正丸峠を下り始めた。路面が濡れているうえ、落ち葉も落ちているので慎重に走った。

 正丸峠を下り切って左折し山伏峠の短い上り返しを越えた。名郷方面へ向かって下っていった。下りでは風を強く受ける。上りでは汗を流しながら激しい呼吸で走ったが、下りではウィンドブレーカーを風でバタバタとはためかせながらひらひらと走った。

 下り切って少し行った先の新井不動尊で「名水」をボトルに詰めて、帰路を急いだ。順調に進んでいたが、途中で後ろから「パンク・・・!」という声が聞こえて、ブレーキペダルを握った。

 リーダーのロードバイクの後輪がパンクした。久々のパンク修理のために道の脇に止まった。最近はタイヤの性能が上がったためか、パンクの回数がずいぶんと減った。

 パンク修理は手際よく完了した。8台のロードバイクはリスタートした。帰路には2箇所ミニバトルポイントがある。「山王峠」と「笹仁田峠」である。

 山王峠の上り口にさしかかった。山王峠は距離は短いが斜度はしっかりとある。上り始めは300ワット程で走れるが、すぐにその出力は下がる。

 しばし我慢して上っていくと、ゴール地点が視界に入ってくる。そうなると濡れた顔を焼きたてのものに替えたアンパンマンのように元気になる。再び300ワットを超える出力でクランクを回して、頂上に達した。

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 山王峠を通過してしばし走っていくと、次なるミニバトルポイントである「笹仁田峠」に達した。ここは斜度が緩い。

 スタート直後先行した逃げ集団がハイペースで走っていった。中盤から後半にかけてどうにかその背後に追いついた。

 スパートのタイミングを窺って、終盤の斜度が少し上がる地点で一気に駆けた。ダンシングで前に出たが、頂上に達する手前でさらに後方からスパートしたメンバーがその右わきを駆け抜けていった。

 二つのミニバトルを無事に終えた。昼食休憩のために笹仁田峠を下った先にあるファミリーマートに立ち寄った。

 昼食に選択したのは「和パスタ ベーコンときのこ」であった。具材はベーコン、エリンギ、野沢菜。味わいは醤油ベースで、気持ちがほっこりとするものであった。

 帰路は残り少なく、もう上りはない。パスタを口にしながら、スマホの天気予報アプリを確認した。やはり来週の日曜日には小さく傘マークがついていた。降水確率は60%。来週企画されている「300km超ロング」・・・天気が心配である。

2021/10/13

5704:山伏峠  

 名郷で一息入れてから、ヒルクライムが順次開始された。まず二人のメンバーが先行スタートして、やや遅れてもう一人もスタートした。

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 先行スタートしたメンバーの背中が視界から消えてからややあってから、「ではそろそろ行きますか・・・」という感じで後発スタート組も走り始めた。

 「箱根ヒルクライム」が終わったばかりなので、「今日は少しのんびりめに走ろうかな・・・」と思っていた。序盤は集団のペースに合わせて走った。

 やがて集団のペースは上がっていく。5台のロードバイクも縦に長くなっていった。230ワットぐらいの出力で、走りなれた山伏峠の峠道をマイペースで走った。

 山伏峠の上りは約4km。斜度は平均で8%ぐらいであるが、所々で変化する。劇坂エリアはないが、10%を超える場所もある。

 山伏峠の上りも終盤に入っていった。ペースはほぼ同じで230ワット前後で走れていた。木々に囲まれた峠道を走っていくと、山伏峠の頂上が見えてきた。

 ダンシングに切り替えて山伏峠を越えた。その瞬間ラップボタンを押した。山伏峠のヒルクライムにかかったタイムは17分7秒であった。

 頂上を越えて、その向こう側に下っていった。路面が濡れているところもあったので、無理をせず慎重に下っていった。

 500メートルほど下って正丸峠に向かう上りへ向けて右折した。下りで脚を休ませたので、再びパワーを上げて上り始めた。

 すると前方に先行スタート組に追いついた後発スタート組がペースダウンしていた。「バトル終了か・・・後方に追いついたら脚を休ませるか・・・」と私も一旦上げたパワーを抑え始めた。

 すると、前方に位置していた集団のペースが一気に上がってばらばらになっていった。「あれ・・・休めると思ったのに・・・」と緩めた脚を再度ペースアップし始めた。

 正丸峠への上り返しは斜度は厳しくないが、すでに山伏峠のヒルクライムで脚の余力が少なくなっているので、表情を強張らせながらクランクを回し続けた。

 何度かカーブを曲がった。道の表面は結構荒れている。終点が近づいてくるに従ってペースを上げていき、ゴール手前ではダンシングでのスパートを経て、正丸峠に到着した。

 「正丸峠」と記された道標にLOOK 785 HUEZ RSを立てかけてスマホで写真を撮った。正丸峠の頂上は霧に煙っていた。そして涼しい風がゆっくりと吹いていた。

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2021/10/12

5703:エナジードリンク  

 ファミリーマート飯能上畑店の店舗の横には古い蔵がある。その蔵の前にロードバイクを立てかけて、店内に入った。

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 補給食には「ツナマヨ」のおにぎりを選択した。コンビニおにぎりで安定の1位を獲得するのが「ツナマヨ」である。

 ちなみにとある調査によると、1位はツナマヨ 2位は紅しゃけ 3位は辛し明太子とのことである。個人的なランキングでは、1位ツナマヨ、2位日高昆布 3位とり五目といったところか・・・

 蔵の前の段差に腰かけて補給食を摂った。天気は曇りのままであった。天気予報では気温は午後にかけて上がると伝えいてたが、曇りの間は涼しいままであった。

 コンビニ休憩を終えてリスタートした。山伏峠の上り口である「名郷」を目指して走り始めた。まずは短い峠である山王峠を越えた。

 隊列を維持しながら山王峠を越えて、その向こう側に下っていくと、名栗川に沿って続く県道にぶつかる。その交差点を左折した。

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 名栗川に近づいたり離れたりしながら山間の道を走った。道は緩やかな上り基調である。先頭交代を繰り返して走っていくと、「名郷」に到着した。

 ここはバス停がある。バス停の脇には公衆トイレもある。山伏峠を上るローディーはここで一息入れてから上り始めることが多い。

 今日も我々のチームが名郷に到着した時には数名のローディーが休息していた。ロードバイクをガードレールに立てかけて、小さな食料品店の前に設置されている自販機で冷たい飲み物を購入した。

 自販機の前に立って「どれにするか・・・」と一通り眺めてから「リアルゴールド ドラゴンブースト」のボタンを押した。定番のエナジードリンクであるリアルゴールドに厳選した6種の東洋素材(高麗人参、紅参、クコ、リュウガン、シベリア人参、霊芝)を配合してさらにパワーアップされたドリンクである。ヒルクライムの前はどうしてもこの手のエナジードリンクに手が伸びる。



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