2019/2/19

4725;ネルドリップ  

 寒さは緩んだ。「このまま一気に春に向かうのでは・・・」と思えるような感じで空気が柔らかくなった。

 「随分と早いな・・・」そう思いことはここ数年多い。暑くなるのも早い、寒くなるのも早く、そして寒さが緩むのも早い。季節の移動のタイミングが早くなっているようである。

 寒さが緩むと、花粉も飛び始めるようである。事務所のスタッフも半数以上が花粉症の症状がある。寒さが緩んだといっても手放しでは喜べないようである。

 日野市にある顧問先の会社を訪問して事務所に戻る途中で、久しぶりに国立市にあるグールドさんのお宅に少しの時間お邪魔した。

 国立市は私の事務所がある国分寺市のお隣の市であるので、車であればすぐの距離である。国立市は地名が簡略で分かり易い。

 「東」「中」「西」と方角で区分されている。グールドさんのお宅は「西」にある。とても閑静な住宅地である。

 車を近くのコインパーキングに入れて、少し歩いた。雨がパラついていた。小さめのビニール傘をさした。

 お宅を訪問して、早速リスニングルームに向かった。リスニングルームの中で、私が持参したケーキを食べながら、しばしの談笑タイムを過ごした。

 ケーキと一緒にグールドさんが淹れてくれた珈琲を飲んだ。その味わいは濃厚である。グールドさんは珈琲にこだわりがあるようで、深煎りの豆を使い、ネルで淹れてくれる。

 ネルは、ペーパーフィルターと違って手間がかかる。使い終わると煮沸して布に付着したコーヒーの粉を取り除かなければならず、煮沸した後は、冷水を入れた容器などに漬けて冷蔵庫内で保管する必要がある。

 その手間を考えると、やはりペーパーフィルターを選択したくなる。ペーパーフィルターなら使い捨てである。

 グールドさんのリスニングルームには、とても渋いシステムが鎮座している。スピーカーはWilson AudioのCUBである。

 サウンドアンカー製の専用のスピーカースタンドに乗せられているCUBは精悍で精緻なオーラがあふれ出ている。

 CUBは後方の壁から2メートル弱離されて設置されている。内振りをほとんど付けない平行法でセットされている。こういう設置方法の場合、音場は後方へ奥深く展開する。

 ソースはデジタルのみで、一体型CDプレーヤーはKRELL CD-DSP。トップローディング方式のデザインのCD-DSPは独特の存在感を持っている。

 アンプもKRELLである。プリアンプはKSL-2で、パワーアンプはKSA-150である。この時代のKRELLには硬派な雰囲気があり、グールドさんはこの時代のKRELLが好きなようである。

2019/2/18

4724:CLX  

 自宅を出て、多摩湖の堤防へ向かう短い坂道を上がっていった。堤防へは向かわずに多摩湖サイクリングロードに入った。

 そのサイクリングロードを時計回りに走り始めた。多摩湖サイクリングロードは湖の周囲を巡っている。車道とは完全に分離されているので、車のことは気にしないですむ。

 若干のアップダウンがあるが、ほぼフラットなコースであるので、爽快な気分で走っていける。2008年にCOLNAGO CLXを購入してから、3年ほどはこのコースを週末ごとに2周するのが習慣になっていた。

 その当時は、まだ長い距離を走ったりヒルクライムに挑戦することはなかった。ロードバイク初心者でも走りやすい多摩湖サイクリングロードのみを走っていた。

 初めて購入したロードバイクであるCOLNAGO CLXは流麗な形状をしていた。コンポーネントはshimano 105が付いていた。完成車で30万円を少し切るくらいの価格であった。黒に赤のラインが入った精悍なカラーであった。

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 LOOK 785 HUEZ RSで多摩湖サイクリングロードを走りながら、CONNAGO CLXでこのコースを初めて走った時のことを思い出していた。

 初めてCOLNAGO CLXで走った時には、そのスピード感にしびれた。初めてだったので、その剛性感の高さと、漕ぎだしの軽やかさは感動ものであった。

 通常の自転車に乗っている時とは全く違う視界の具合にもわくわくとした。「ロードバイクって、実に新鮮だ・・・」と感じた。

 CLXはCOLNAGOの中では、レーシングモデルというよりも、もっと気楽に乗れるモデルという位置づけであった。それでも、初めて乗ると、「凄い・・・!」と思わせる要素が満載であった。

 まだ気温が低いままである空気の中を、25km/hから30km/hの間のスピードで駆け抜けた。それほど飛ばすことなく巡航していると、気持ちが軽くなってくる。

 時計回りに1周して、堤防の向こう側に着いた。そしてここでUターンした。今度は逆時計回りに走り始めた。

 後半は少しばかりペースを上げた。わずか1時間ばかりの巡航であったが、思いのほか気分がすっきりとしてストレス解消になった。

 「仕事が溜まってしまって、どうしてもロングにいけない時には、この『原点コース』を流してみるのは、とても良いようだ・・・」そんな感想を持ちながら自宅に戻っていった。

2019/2/17

4723:原点  

 今日は第3日曜日である。第3日曜日は普段のロングライドよりも長めの距離を走るのが恒例である。2月の第3日曜日のロングライドの目的地はここ数年江の島である。

 南に向かって走るので、この時期としては比較的暖かく、江の島まで行って、しらす丼か海鮮丼を食して帰ってくるというグルメライドの側面もある。

 コースはフラットで峠はないので、ヒルクライムはコースに含まれない。脚にも比較的優しいコースでもある。

 朝出かけて、戻ってくるのは夕方、まる一日のコースとなる。江の島まで走りたいのはやまやまであるが、この時期は仕事が山のようになっている。

 事務所の私の机には確定申告関連の書類がうずたかく積まれて、崩れんばかりである。「どうするか・・・走るか・・・溜まった仕事を少しでもこなすか・・・」思案の時はしばし続いたが、冷静に思案したところ、「やはり仕事をしないと・・・一日の空白はこの時期とても厳しい・・・」との判断となった。

 しかし、まったく走らないというのもストレス発散の方途がない。「少しだけ走って、その後に仕事をこなした方が、効率も良く仕事も行えるのではないか・・・」と思い、朝早めに起きだして、手早くサイクルウェアに着替えた。

 「1時間ほど多摩湖サイクリングロードを走るか・・・」多摩湖の周囲にはサイクリングロードが整備されている。1周が12km程で2周するとちょうど1時間ほどである。

 実は多摩湖サイクリングロードは、私のロードバイクの原点である。自宅が多摩湖の傍にあり、犬の散歩の時にこのサイクリングロードをは走るロードバイクを眺めていて、「自転車も良いかな・・・ジョギングよりも続くかも・・・」と思ったのが、ロードバイクを購入する決め手となった。

 そして、初めて購入したロードバイクが、CONLAGO CLXであった。2008年の夏頃のことである。そのロードバイクで週末ごとに多摩湖サイクリングロードを走った。

 その頃は今のように長い距離やヒルクライムを走ることはなかった。多摩湖サイクリングロードのみが、ロードバイクで走るコースであった。

 「今日は原点回帰でいくか・・・」と思いながら、LOOK 785 HUEZ RSに跨った。「1時間であっても、走ると爽快な気分になれるであろう・・・」との期待感をもって、自宅を後にした。

 このところ続いていた厳しい冷え込みは少し緩んだが、朝はまだまだ寒かった。ガーミンのサイコンの気温表示は「1℃」であった。走り始めは、体が寒さで強張った。

2019/2/16

722:MFBトゥイーター  

 リスニングポイントに置かれた黒い革製の3人掛けソファに座ると、いつもよりも多い「視線」を感じた。

 フロントの左右にはB&W 801Nが並び、センターにはB&W 802Dがすっくと立つ。その三つの「視線」以外にさらに二つの未知なる「視線」がそこにはあったのである。

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 その見慣れない「視線」からは、冷徹なまでの直視感を感じた。高性能なカメラのレンズに否応なく捉えられたような感覚があった。

 「これは・・・なんだ・・・」とその物体を凝視した。「スーパートゥイーターであろうか・・・しかし見たことのない製品だな・・・」と思い。エム5さんに「これはスーパートゥイーターですか・・・?」尋ねた。

 「いえ、モーショナル・フィードバック・スピーカーです・・・」

 全く聞きなれない名称が耳に飛び込んできた。「なんだろう・・・?」技術的なことに疎い私は、頭の中に大量発生した「?」マークの処理に苦心した。

 エム5さんの話によると、このMFBツイーターは、強力なターボチャージャーがエンジンを活性化するように、B&W 801Nにがつんと喝を入れたとのことである。

 メーカー名は「湯島技研」。製品名は「MFB H-10」。このMFBトゥイーターは、トゥイーターでありながらスコーカーやウーハーの帯域もしっかりと支え、 全体を引き締めてひとつの音場にまとめることができるようである。

 「百見は一聴にしかず・・・」であるので、早速聴かせてもらった。かかったのはアラン・パーソンズ・プロジェクトの「アイ・イン・ザ・スカイ」であった。

 「グリップが凄いな・・・バスドラやベースラインの音がびしっと決まる・・・ボーカルの声の質感も自然で加工感がない・・・」

 エム5さんは、このMFBトゥイーターを導入して以降は、マルチよりも2CHを聴いているという。その言葉がうなずけるレベルの高さである。

 MFBトゥイーターはB&W 801Nのトゥイーターと同じ高さに据えられている。前後関係で言えばB&W 801Nのトゥイーターよりもやや後方に設置されている。

 この位置もMFBトゥイーターの効力を適正に発揮させるためにとても重要な調整項目であるようである。

 MFBトゥイーターは、パワーアンプ内蔵である。後方からは電源ケーブルが出ている。プリアンプから延ばされたRCAケーブルが繋がれていた。

 1曲目を聴き終えて、MFB H-10の及ぼす効果のほどに少々驚いた。さらに何曲か聴かせてもらった。今日はポピュラー系のソフトが多かった。

 そのいずれも、素のBMW 523iから、M-Sportsモデルに乗り換えた時に体感するであろう変化に近いものを聴感上で感じた。

 エンジンレスポンスは素早く、足回りのセッティングはぎゅっと締め上げられている。その凝縮感は実に心地良い。

 試しに近くまで行って、そのMFB H-10に耳を当ててみた。ほとんど音が出ていない。「これで、どうしてこれほど作用するのであろうか・・・」と不思議に感じた。
 
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 後半はクラシックのソフトに移っていった。鮮烈な印象を受けたのは、武満徹の「ノヴェンバー・ステップス」である。

 武満徹が1967年に作曲した、琵琶、尺八とオーケストラのための作品であり、瞬発力ある音の立ち上がりに、胸のすく快感を感じた。

 最後に、私のリクエストで白井光子によるブラームス歌曲集のCDとエディット・マティスによるシューマン歌曲集のCDを聴かせてもらった。

 白井光子は、1曲目「野の寂しさ」、2曲目「サッフォー風頌歌」、そして8曲目「夜うぐいす」を聴いた。ハルトムート・ヘルのピアノ伴奏は、左手が奏でる低音の和音が音楽の流れの底流をしっかりと支え、右手は軽やかにそして時に悲し気に音楽の精細な表情を伝える。

 白井光子の声は、中心に固い芯があり、決して貧相になることがない。歌詞が鮮明に聴こえ、響きが豊かで痩せることはない。

 エディット・マティスのシューマンは「女の愛と生涯」から「私が彼を見た時から」、「彼は誰よりも素晴らしい人」、そして「今、あなたは私に初めての苦痛を与えました」の3曲を聴いた。

 こちらも素晴らしい出来である。彼女の凛とした美声がエム5さんのリスニングルームに広がった。録音が新しいからか、サウンドステージが実に広々としている。

 最後の「今、あなたは私に初めての苦痛を与えました」は、沈痛な心情を吐露する曲であるが、彼女の演奏には引き込まれずにはいられない。

 エッシェンバッハのピアノ伴奏も素晴らしい。主張すべきところはするが、演奏の一体感を損うことは決してない。

 それぞれの演奏の素晴らしさを余すことなく堪能させてくれたエム5さんのシステムは「MFB H-10」という強力な助っ人の力を得てさらなる高みへ上ったようである。

2019/2/15

4721:紫  

 そして次に2枚目のカードについて彼女は話した。「これは『ダイヤ』という名前が付いているものです。脳から全身に指令を出す神経や内分泌の働きを整える効果があるそうです。美しくカットされたダイヤモンドを思わせる図柄だから、この名前がついたようです・・・」

 その2枚目のカードには実に複雑な幾何学模様が描かれていた。そして色合いがとてもカラフルであり、確かにじっと見ているとダイヤモンドのカッティングを思わせるような構造になっている。

 さらに最後のカードについても彼女は「これは『パーフェクトユニバース』です。細胞を活性化するエネルギーがあり、痛みをやわらげるのに効果的な働きがあるようです・・・」と説明した。

 3枚目は前の2枚とは打って変わってモノクロである。そして小さな円形の模様が多数均等に配置されている。

 このカードも手に取ってじっと視線を集めると、なんだか吸い込まれそうな図柄である。3枚とも個性的で摩訶不思議な雰囲気を持っている。

 「3枚を、それぞれ眺めてみて、直感で気持ちいいと思ったものはありますか・・・?」彼女は私の表情を覗き込むようにしてそう訊いてきた。

 「最初のカードは、なんだか気持ちが和らぐような感じですね・・・2枚目のものは、エネルギーをもらう感じででしょうか・・・絵柄も綺麗に思いました。3枚目は前の2枚に比べて地味な印象ですね。色がないですからね・・・でも、見ていると引き込まれるような感じがありました。気持ちがすっと落ち着くという点では最初の『フラワーシャーベット』でしょうか、一番印象が良かったのは・・・」

 私は感じたままを述べた。すると彼女はそのカードを手に取って「じゃあ、このカードをワイシャツのポケットに入れてみてください。図柄が外を向くようにして・・・」と言った。

 私は言われるままにその小さなカードを図柄が外を向くようにして、ワイシャツのポケットに入れた。

 何かを感じるのか・・・自身の感覚を研ぎ澄ました。1分、2分あるいは3分ほどであろうか・・・しばし自分の身体の感覚に何か変化がないか、心情に変化がないか、確かめたが、これといった変化はなかった。

 「これといった変化はないように感じるな・・・」独り言のようにつぶやいた。「そうですか・・・」と彼女は言いながら、その視線のピントを私の背後に合わせるようにした。

 彼女は私のオーラの色合いをチェックしているようであった。「色合いが少し変わりましたね・・・緑基調の色合いに少し紫が入ってきています・・・」

 「えっ・・・紫ですか・・・それって、いい方向への変化なのかな・・・?」私はちょっと不安そうにして言うと、彼女は微笑みながら答えた。

 「紫はスピリチャルな色合いですから、良い傾向じゃないですか・・・」

 私はぽかんとしてしまった。「スピリチャルか・・・紫ってなんだか怪しい色合いのような気がするけど・・・高貴な色とも言われているし・・・まあ、紙一重ってやつか・・・」私は心の中で独り言をそっと囁いた。

 その3枚の不可思議なカードを彼女は私にくれた。「試してみてください・・・何かしら良い変化があるかもしれませんよ・・・」と彼女は言った。

 ワイシャツのポケットに入るほどの大きさであるので、まあ不便ではない。ポケットに入れるだけであれば手間もいらない。

 「ありがとう・・・ではしばらく試してみるよ・・・ちなみにこれは味にも影響を与えるのかな・・・」私はそう言って、カードの一枚をカウンターに置いて、まだ少しばかりコーヒーが残っていたコーヒーカップを置いた。

 1分程してから、そのコーヒーを口に運んだ。慎重に舌の上で黒い液体を転がした。味わいの変化は、感じられなかった。

2019/2/14

4720:クスリ絵  

 「ゆみちゃん」は捉えどころのないところのある女性である。だいぶ変わっているのである。まず妙に古いものが好きである。

 特に70年代のものに興味があるようで、31歳の女性の部屋にあるのが実に不思議なレトロなラジカセやオーディオセットが据えられている。

 それらのものを購入した時には、彼女の相談に乗った。ラジカセは渋谷にある古い時代のラジカセを専門で扱っている店にも一緒に行った。

 さらにレコードプレーヤ、プリメインアンプ、スピーカーを揃えた時にも、1970年代のもので整備されたものを探すのを手伝った。

 いろいろと探すと、そういった古い時代のオーディオ機器を整備販売しているところが見つかるのである。

 結果として実に渋いラインナップが揃った。レコードプレーヤーはYAMAHAのYP-700、プリメインアンプはSONY TA-1120、スピーカーはDIATONE DS-251 MKUという組み合わせである。定年間近のおじさんが持っているようなシステムである。

 さらに、彼女は人のオーラが見えることがあるという。もちろんそれが事実がどうか検証のしようはないのであるが、彼女に虚言症の兆候があるようには思えない。

 喫茶店「Mimizuku」の店内のような、白熱灯の淡い光に照らされてうすぼんやりとした空間では見えやすいようである。

 私も時折チェックしてもらったりしている。体調が悪い時などはその色合いがくすんでしまうようである。

 オーラは人によって色合いも違うようで、私の基本的な色合いは「グリーン」であると彼女は言っていた。

 「この『クスリ絵』は、人間の周囲を繭のように包んでいる生命場に良い影響を与えるのです。使い方は簡単で、服に貼り付けるんです。まあ、めんどくさければ洋服のポケットに入れておくだけでもいいですけど・・・」

 「貼り付ける時も、ポケットに入れる時も図柄を体に向けるのではなく外側に向けるのがポイントです。」

 彼女はカウンターに置いたポストカードのようなものを説明した。彼女によると、この「クスリ絵」は、丸山修寛という医師が長年の研究の結果開発したもので、実際に病気の治療にも活用されているとのことである。

 心の中で「眉唾ものだな・・・」と思いながら、その3枚の「クスリ絵」を眺めた。それらは非常に複雑な造形をしている。

 その3枚は特に共通項はなく、全く異なった色合いと形をしている。彼女はそれらを1枚ずつ説明してくれた。

 「まずこれは『フラワーシャーベット』という名称が付いています。生命の源である太陽をイメージし、形や色を組み合わせたということです。そのわりには色合いが寒色系ですけどね・・・自然治癒力の向上、マイナスエネルギーの消去、オーラのクリーニングなどに効果があるそうです・・・」

 彼女は1枚のカードを手元に引き寄せてそう説明した。なんだか妙な雰囲気になってきた。心の中では「怪しい・・・実に怪しい・・・」とは思いながら、彼女の手元にあるカードに視線を移した。

 「Mimizuku」の店内では、不思議な時間が流れている。濃厚でいながら、たゆたうような時間である。

 それ故か、この不思議な「クスリ絵」も、徐々に心の中に浸透してきて、無意識に湧きあがってきた拒否反応もすっと引いていった。 

2019/2/13

4719:ブルーフレーム  

 最初にROKSAN XERXES10のターンテーブルに乗せられたレコードは、スカルラッティのソナタ集であった。流麗華麗な演奏が流れ始めた。きりっとした表情の演奏で、情感たっぷりという演奏ではなかった。

 月に1度、レコードを聴かせてもらっている杉並区のAさんのお宅には、ロンドンやパリのレコード店から、定期的にレコードが送られてくる。

 その新たに送られてきたレコードから数枚を聴くのである。談笑タイム半分、レコード鑑賞タイム半分で、滞在時間は3時間程であるので、4枚ほどのレコードが毎回ピックアップされる。

 ソナタ集の3曲目には、ソナタ ホ長調 K.380(L.23)が収録されていた。ドメニコ・スカルラッティはJ.S.バッハ、ヘンデルと同じ年に生まれたイタリアの作曲家である。

 500曲以上の鍵盤楽器用の「ソナタ」を作曲した。当時はまだピアノはなくチェンバロ用の作品であった。

 ソナタK.380(L.23)は、そんな膨大な数のソナタの中でも1,2位を争う有名な曲で、小太鼓と笛を模倣したようなメロディで始まる活発な曲である。

 そのソナタを聴いていると、数日前の「ゆみちゃん」との会話のことがふと思い出された。とても寒い日であった。中野坂上にある古い喫茶店「Mimizuku」の店内には、イギリス生まれの「ALADDIN(アラジン)」の石油ストーブが置かれていた。

 アラジンの代表的なモデルである「BLUE FLAME(ブルーフレーム)」は、とても美しいデザインをしている。そのレトロな佇まいは心和ませるものがあり、丸い小さな覗き窓の向こう側には美しい青い炎が見えていた。

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 「ゆみちゃん」はカウンター席の左端に座っていた。いつものようにナポリタンとアイスコーヒーがカウンターの上にあった。

 私は四つあるカウンター席の右から2番目の席に座っていたので、二人の間には一人分の空間があった。

 その一人分のカウンターの空隙に、彼女は3枚のポストカードのようなものを並べた。それらのカードには幾何学模様的なものが印刷されていた。

 「これは『クスリ絵』です・・・いろんな種類があるんですけど、代表的なものの3枚です・・・」

 彼女は、滞りなくスムースにピアノの鍵盤の上を流れていくピアニストの指の動きのようにさらっと話し始めた。

2019/2/12

4718:DELPHI  

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 我が家のレコードプレーヤーは、ORACLE DELPHI Yである。DELPHIは長い年月をかけてモデルチェンジを繰り返してきて、現在は6世代目のモデルである。

 その間、基本構造は変わっていない。アクリルとアルミを高精度に加工したデザインを採用しており、その外観は近未来的である。

 三つのスプリングを使ったフローティング・システムを採用しており、プラッターを指で軽く押すとゆらゆらと上下する。

 スプリングによるフローティング式ターンテーブルというと、LINN LP12が有名である。LP12もプラッター部を指で軽く押すとゆらゆらと上下する。このフローティング・システムによって、音に悪影響を及ぼす振動を軽減しようとする意図である。

 がっちりとした構造体で振動の影響を遮断しようとするリジッドなターンテーブルもある。リジッド派とフローティング派に分かれるわけであるが、DELPHIは後者に属する。

 この三つのスプリングを回転させることによって、サブシャーシの高さや水平を調整できる。高さに関しては、専用のゲージが付いていて、メーカー推奨の高さに簡単に設定できるようになっている。

 当初はその専用ゲージが定めた高さに設定していた。しかし、メーカー推奨の高さとというものはカートリッジの適正針圧のようなもので、必ずしもその値に合わせるのがベストとは限らない。

 ヒヤリングを繰り返して調整していると、専用ゲージで合わせた高さよりも少し高い位置にサブシャーシは位置するようになった。

 LINN LP12もバネの調整が音を調整するうえで肝となるようであるが、LP12の場合、スプリングは隠れている。

 それを調整するのは、少しばかりめんどくさい。しかし、DELPHIの場合は構造上とても手軽である。

 メーカー推奨よりもサブシャーシを高い位置にすると、音はふわっとした質感になる傾向がある。音像の位置も高くなる。

 ホールトーンをスピーカーの上に響かせたいような場合には高めで、逆に音のダイレクト感を重視する場合には低めのほうが良いのかもしれない。

 長い年数を経て熟成されてきたモデルであるので、調整した状態が時間の経過により狂うことも少ないようである。その点でも安心感がある。

 DELPHIが第六世代になってから、数年前にマイナーチェンジが行われた。しかし、まだDELPHI Zは発売されていない。

 もしも、DELPHI Zが出たならば、その時は買い替えたいものであると思っている。それはきっとまだまだ先の話であろう。 

2019/2/11

4717:RFT  

 3連休は寒い日々であった。幸い大雪に見舞われることはなく、車の運転にも支障がなかった。天気予報は随分と恐怖心を煽るような警告を繰り返していたので、心配していたがほっと一安心である。

 BMW523iは、後輪駆動である。ノーマルタイヤだと少しの積雪でも運転するのが怖い。冬の期間だけスタッドレスタイヤに履き替えるということも考えたこともあったが、東京での積雪は年に1度あるかないかといった頻度である。

 もしも雪が積もったら2,3日の間車の運転を控えたら済むので、コストをかけるほどの必要性を感じられない。ということで1年中ノーマルタイヤで過ごしている。

 BMW523iはランフラットタイヤが新車時に装着されている。そのタイヤはブリジストンのTURANZA ER300である。走行距離が35,000Kmになった時に、タイヤ交換をした。

 ランフラットタイヤはパンクしても一定距離を走行することができる。その安全性の高さから欧州車や、国産車の一部車種でも新車時に採用するメーカーが増えている。

 BMWはいち早くランフラットタイヤを新車時に装着するという選択をしたメーカーである。しかし、ランフラットタイヤはその構造上乗り味が硬くなりがちであり、BMWもランフラットタイヤを装着し始めた当初は評判が良くなかった。

 しかし、その後ランフラットタイヤの性能向上や車のサスペンションの対応能力が上がったこともあり、乗り味に対するネガは少なくなったようである。

 実はBMW523iの前に乗っていたMercedes-Benz E350 Bluetechも新車時にはランフラットタイヤを履いていた。

 しかし、8年前のMercedes-Benz E350はまだランフラットタイヤを履きこなすまでには至っておらず、タイヤ交換時にミシュランのノーマルタイヤに履き替えた。

 履き替えたのはミシュランのPRIMACYであった。その時は乗り味が随分と良くなった。硬かった乗り味はしっとりと滑らかなものに変わり、「やっぱりランフラットタイヤは乗り味に関してはネガが大きい・・・」とその時思った。

 しかし、2年半前に乗り換えたBMW523iは、ランフラットタイヤに関するネガをほとんど感じることがなかった。ノーマルタイヤに替えたらもっと滑らかな質感の乗り味に変わる可能性は充分にあるが、パンクした時の安全性を重視して、タイヤ交換時には同じランフラットタイヤに交換した。

 実は、BMW523iを購入して数ケ月後、リアのタイヤが1本パンクした。体感としてパンクを把握することはなかったが、タイヤの空気圧低下に関する警告表示が出たので、異変に気付いた。

 その後1時間ほど普通に走ってディーラーに行ってみてもらうと、タイヤに釘が刺さっていた。これがノーマルタイヤだったなら、時間のロスは相当なものであったはず。

 タイヤのパンクは滅多にあるものではない。しかし、その経験があったので、「やはり、もしもの時のことも考えて、ランフラットタイヤにしよう・・・乗り味も十分に満足できるレベルだし・・・」という判断となったのである。
 
 もしかしたら、ロードバイクのタイヤにも将来ランフラットタイヤが出るのであろうか・・・それはないか・・・

2019/2/10

4716:Zwift  

 土曜日は異例の寒さであった。しかし、心配された大雪はどうにか回避できたようで、屋根や木々がうっすらと白くなる程度であった。

 日曜日の天気は晴れであった。しかし、チームのロングライドは路面状況を考慮して中止となった。普段ロングライドの目的地として定める山間の峠はどこも道が凍結していることが予想されたからである。

 今チーム内ではじわじわとZwiftが浸透している。Zwiftは、ゲーム形式のサイクリング・ランニングトレーニングプログラムである。世界中の参加者が仮想世界の中でトレーニングしたり、競争したりすることができる。

 ローラー台によるトレーニングはとても退屈であることが大きな障壁である。しかし、Zwiftを活用すると、バーチャルな世界ではあるが、実際に走っているかのような感覚がもたらされる。

 Zwiftに対応しているスマートトレーナーが必ずしも必要ではないが、スマートトレーナーがあると、コースの状況に応じて負荷が自動的に変化するのでリアリティー感が増す。

 私はバイクルプラザで一度、スマートトレーナーを活用したZwiftを体験して、スマートトレーナーを発注した。

 スマートトレーナーの価格は7万円ほどとのこと。今月中には納品される予定である。スマートトレーナーが我が家にやってきたら、早速Zwiftの世界に入ってみようと思っている。

 今日は、午前中にジムに行き、午後からは事務所で仕事をこなした。この時期会計事務所は忙しい。確定申告の資料が次々にもたらされているからである。

 いつも行くジムは、年中無休・24時間営業の「ANYTIME FITNESS」である。このジムは最近店舗数を増やしている。

 入会すると、どの店舗も使用できるのが嬉しい。店内はマシンがずらっと並んでいる。マシンはランニングマシーンなどの有酸素運動系と様々な筋トレマシンとに分類される。

 全ての店舗ではないが、Wattbikeが設置されている店舗もある。Wattbikeは、ロードバイクのトレーニング用に開発されたトレーニングマシーンである。

 今日は、そのWattbikeが設置されている西東京市の小金井公園店に車で向かった。ここは以前は「TSUTAYA」であった。

 「TSUTAYA」はここ数年店舗数を減らしている。DVDレンタル事業はもはや時代遅れになりつつあるようである。

 店内は清潔である。トレーニングウェアに着替えて約1時間ほどトレーニングした。その際スマホでヒルクライムレースの動画などを観る。その方が、飽きないのである。

 1時間が経過すると、汗が大量に流れ去る。平均ワットは207ワットであった。5分程クールダウンしてからシャワールームへ向かった。

 現在はこういった感じでジムでのトレーニングに週に数回通う。しかし、スマートトレーナーが自宅に導入されてZwiftの世界を体験するようになったら、様変わりするかもしれない。



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