元日の記事で、虎の妖怪「
とらにゃあにゃあ」を紹介しました。この妖怪の出典元である絵巻『
怪奇談絵詞』は30点以上の妖怪が収録されているのですが、巻中に同じ妖怪がさらに2体収録されております。
元日に紹介した「
とらにゃあにゃあ」と上の2体との違いは、@首が長く伸びている。A尻尾の先が二股になっている。B手足の指の本数が各3本である。等であり、老け顔である事を含め、前者の方がより妖怪化が進んでいるものと思われます。いわゆる第2形態といえるかもしれません。と言っても、弱々しくて威厳の無い妖怪ですので、強い虎の妖怪として、アクションロールプレイングゲーム『
仁王』に登場する「
白虎」です。
この「白虎」は「猫又」の第2形態であるという、斬新な設定となっています。
本来「
白虎」は神獣なのですが、このゲームの世界では荒ぶる妖怪になっています。その代わりというわけではないでしょうが、「
焔虎」という虎の姿の守護神が登場します。
井伊直虎の守護霊であったという、これも斬新な設定ではあります。
他に虎の妖怪は・・・と、他国に目を向けると、韓国には人喰い妖怪「
萇山虎(チャンサンボン)」がおります。ちなみにこの妖怪をモチーフにしたホラー映画『
模倣霊』が2017年に製作され、日本でも公開されていました。
まさに、"人喰い"って感じの、スプラッター系妖怪であります。
一方、中国ですが、虎の妖怪も幾つか掲載されている『
山海経』という地理書があります。その記述内容を基にして、日本で制作された絵巻物『
怪奇鳥獣図巻』に、品格が有り仁徳を示す瑞獣とされる「
騶虞」が紹介されておりまして、この妖怪は正に虎の姿をしております。
習性として、捕食はしないとの事。サファリパーク向けですね。
最後は、再び日本からですが、"虎"という文字を名前に含みながら、虎っぽいところが見当たらない妖怪「
虎隠良」。妖怪絵師
鳥山石燕による江戸時代の画集『
百器徒然袋』に描かれている妖怪です。この妖怪は水木しげる大先生も『
禅釜尚と虎隠良』という図画の中で、その姿(向かって右側)を描かれておりますが、模写なので、やはり虎っぽくありません。
「"虎"は"隠"れて"良"い事をしてくれる」という事にしておきましょう。

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