本ブログの目標『妖怪千物語』まで、残り50話あまりとなりました。これからは手持ちの妖怪画像から、"へんな妖怪"を無作為に適宜、紹介していこうと思います。先ずは残酷な妖怪画からです。残酷画で有名な妖怪に小さな子供の生首を持って笑っている「
笑い般若」がありますが、"怪浮世絵師"
河鍋暁斎が描く赤ちゃんの頭にかぶりつきながら宙に浮く、巨大な頭の妖怪も負けてはおりません。
恐ろしい形相と所業を為す姿でありながら、子供は怯えていますが、大人は割と平気っぽいです。それもそのはず、この妖怪は"
写し絵"による幻影だからです。図画に書かれている"
亀屋都樂"が1803年に初演したとされ、日本のアニメの原点とも言われております。
次もおどろおどろしい図画です。江戸後期の
黄表紙『
模文画今怪談』にある「
夜叉若」です。墓に土葬されたばかりの、死体を食べるのですが、同じ屍肉を食らう妖怪「
魍魎」と違って、元々は人間だった妖怪です。
人に見つかって山中に逃れたようですが、妖怪ですので、まだ健在であると思われます。
恐ろしい妖怪が続きましたので、次からは滑稽な姿の妖怪です。先ずは「
撫坐頭」。江戸期の妖怪絵巻である『
百鬼夜行絵巻』にある妖怪の一つです。諸説あるようですが、名前からして、単純に"人を撫でる"という悪さをするのではないかと思われます。
こんな手で撫でられたらと思うだけで、ぞわぞわしてきます。
次は『
怪奇談絵詞』という妖怪絵巻から、「
くちばし犬」と「
白いばけもの」。「
くちばし犬」は福岡に出現した
ハシブトガラスの様な頭をもった異形の犬で、魚を食べていたそうです。同じ福岡に出現した「
白色の妖物」は1.8m四方の打綿のような姿で目鼻があり、動きはクラゲのようであったと記されております。
「くちばし犬」は赤い首輪がチャームポイントです。
次は妖怪のスケッチ図です。その妖怪とは「
お菊虫」。江戸時代の浮世絵師の
竹原春泉が『
絵本百物語』に描いた
その姿とは、えらい違います。
顔がお菊さんじゃなく、とぼけたおっさんみたいになっております。
今回の最後は水木しげる大先生による「
石塔飛行の怪」です。江戸後期の戯作者である
平秩東作による『
怪談老の杖』には、同名の「
石塔の飛行」なる怪異譚が掲載されておりまして、それは"「
火の玉」の正体は実は古い石塔だった"という話なのですが、水木大先生の「石塔」は、宇宙人の宇宙船であったいうトンデモストーリーになっております。
宇宙モノが嫌いな大先生らしいといえば、らしいSFではあります。

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