前回の記事に続き、"牛の妖怪"をさらに幾つか紹介します。先ずは、江戸時代中期の荒唐無稽な図説百科事典『
唐土訓蒙図彙』から2点。両方とも"牛"の前に難読/難解な漢字が付いておりますが、語訳的には二つとも、ウシ科ウシ属の"
ヤク"の意味であります。
ひょっとすると、尻尾の毛が立派な、ただの牛かもしれません。
次も正真正銘の妖怪ではないかもしれませんが、江戸期の作家である
式亭三馬による
合巻本『
力競稚敵討』に登場する「
牛子魔駄六」さんです。
その顔はまさに悪鬼。妖怪と言っても過言ではありません。
「
牛子魔駄六」という名前は、妖怪である「
山本五郎左衛門」や魔王の「
神野悪五郎」に通じるものがありそうですが、その名は、牛から生まれて、怪力である事から付けられました。下の図画は「
牛子魔駄六」誕生のシーン(牛子出生)。生みの親は、農夫と交わった右側にいる雌牛です。妖怪の「
件」(
2008/8/10の記事参照)は牛から生まれてすぐ死にますが、こいつは成長して、山賊になりました。
左上に書かれているように、「親の因果が子に報い・・・」であります。
次は江戸時代の説話集・奇談集『
奇異雑談集』から、人面牛ともいえる妖怪です。この妖怪も「
牛子魔駄六」と同様、人の因果応報によって発現したようです。
これには、お坊さんたちもビックリ!
今回の記事で使用した画像は何となく、暗いイメージでしたので、最後は明るくいきます。
前回の記事では水木しげる大先生の図画を引用しました「
牛御前」ですが、『
萌える! 妖怪事典 伝承編』にも掲載がありましたので、貼り付けておきます。
いいと思います。

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