6/30の記事に続き、『
百鬼夜講化物語』にある"へんなようかい"の紹介で、今回は『
石塔ノ火』・『
遊魂』・『
鬼火』・『
猴王』・『
肉吸』の5体です。
[石塔ノ火(せきとうのひ)]
古来より、古い石塔や五輪塔には怪異譚が多く残されており、この妖怪もその一つです。このケースは、"荒野にお歯黒の女性が笑って立っていた" という事で、武士は刀で切りつけましたが、一般人にとっては腰抜かし案件であります。
[遊魂(ゆうこん)]
お布施をケチっていた旦那が亡くなった時、引導を渡したのは寺の下っ端坊主だった事を根に持って、成仏できずに幽霊となったケースです。
[鬼火(きくわ)]
詞書の内容からすると、「
古戦場火」に近い妖怪であると思われます。尚、「
鬼火」は"おにび"と読ませず"きか(キクワ)"と読ませるところ、人血が燐となり火となるところ、"鬼"の字の一画目の点が無いところ(
角の無い鬼)などが、「
人魂」としての「
鬼火」と異なる点であると思われます。
[猴王(こうおう)]
絵図内の"猴"の字体は違いますが、「
猴王」(美猴王)とは、『
西遊記』の主人公「
孫悟空」の旧名です。ではありますが、現代人がイメージしている「
孫悟空」とはかなり違っています。
[肉吸(にくすい)]
「
肉吸」という妖怪は、
2017/8/9の記事でも紹介しておりますが、"山中に若い美女の姿で現れ、人を襲いその肉を吸い取る"という、残虐でホラーな妖怪の一つとして知られております。詞書には、心神(精神)が弱った人に対して看病してくれる美女には要注意って感じの戒めが書いてあります。血肉だけでなく、財産まで吸い取られないようにって事かもしれません。
尚、この「
肉吸い」は、最近の妖怪図鑑にも取り上げられています。下の画像は、2019/07/31発刊の『
すごいぜ!! 日本妖怪びっくり図鑑』のカード型解説図にあるコミカルな妖怪絵の部分を、『
図説 妖怪辞典』にあるシリアルな妖怪画と入れ替えたものです。
"ワルさレベル"も、その他の評価もMAX。ラスボス感ありありです。

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