最近の国民的なビッグニュースとして、4/26に「
富岡製糸場と
絹産業遺産群」(群馬県富岡市)が"国際記念物遺跡会議"(イコモス)から世界文化遺産登録勧告を伝えられた事が挙げられます。さて、絹産業といえば、誰もが知っている通り
カイコ(蚕)の蛹の繭がその原料ですが、"怪的"に話題を繋げると「
おしら様」(
13/12/14の記事参照)が"蚕の神様"として祈られたり、蚕自体も「
おカイコ様」と呼ばれ半ば神聖視されたりもしています。"蚕"という漢字も"天・虫"と分けられ、とかく忌み嫌われる他の蛾の仲間とは一線を画しておるようです。
ところで妖怪に目を向けると、絹をモチーフにした「
絹狸」という狸の妖怪が
鳥山石燕による「
百器徒然袋」に描かれています。下のイラストは水木大先生による模写・彩色版です。
シルクの織物を全身に纏うとは、こいつは金満上流階級妖怪であります。
携帯ソーシャルカードゲームのキャラにも"
全国妖怪大戦"を始めとして、検索してみると、その他幾つか採用されているようです。
萌えキャラ化された例です。案の定、狸耳です。
あと、蚕は蛾の一種という事で、"
蛾の妖怪"を探ってみました。蛾はそもそも毛虫のおぞましい姿や毛といい、成虫の鱗粉といい、お近づきになりたくない類なので、妖怪も多々あるかと思いきや、殆ど見当たりません。しいて言うなら「
夜雀」、"雀"という文字が入っていますが、地方によっては"蝶"や"蛾"の妖怪とされています。
いわゆる「纏わりつき」系の妖怪の一種です。
又、数年前に実在の蛾で人間の生き血を吸う「
吸血蛾(Vampire Moth)」がロシアで発見されたというニュースがありました(
GIGAZINE)が、妖怪的には小説・コミック・映画で題材にされる程度で、妖怪と認定できる「
吸血蛾」は見当たりませんでした。
どれも、B級感全開であります。
話は変わりますが、カイコは昆虫の"変態"に関する実験の好材料で、"
アラタ体"という器官をいぢると、幼虫から蛹になる期間が変えられるというのを、生物学が好きだった方なら、昔聞いた覚えがあるかもしれません。そして、これを応用すると、まさに妖怪じみたカイコや蛾の成虫が出来上がるという事実もあります。以下は昭和49年刊行の週刊少年漫画誌の特集記事から… 先ず蛹化をコントロールする
前胸腺に手を加えると、
これで驚いてはいけません。さらに… 蛾の蛹を腹部だけ残して、脳と前胸腺を移植したり、切断した頭部と腹部を管で連結しておくと、どうなるか?
こんな可哀相な実験をする人間って、変態!

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