NHKのニュースを真面目に見ていると、アメリカのトランプ政権vsアメリカのマスメディア(およびその手先としてのNHK)という対立、もっと言えば抗争、みたいな構図が良く分かる。
正直なところ、NHKニュース視聴者のうち8割程度は情報弱者というカテゴリーの人々なので、彼らはNHKのキャスター(たとえば、ニュースウォッチ9という番組の河野憲治氏)の語り口を真に受けて、トランプってとんでもないヤツだ、と思ったりするだろうが、しょせん日本の庶民の意見が世界を変える力になんかなってはいないので、そんなことは放っておけば良いだけだ。
では、もう少し情報を多角的に見ると、ここでは一体どんなことが起こっているのだろう。
昨夜あたりにNHKが問題にしているのは、テロリストを大量に生産している指定国家からのアメリカ入国を90日間停止、および難民に認定された者のアメリカ入国を120日間停止する、という大統領令である。
NHKでは、その反対運動家たちを取材するのだが、彼らの理屈はこれはイスラム教徒への差別であり、移民の排撃なので、到底許されない、というものだ。さらには、この大統領令は信教の自由を定めた合衆国憲法に違反するものである、という主張まで飛び出している。キャバクラ嬢じゃあるまいし、よくもそこまで「盛った」話をするものだ、と思うが、それを大々的に報道しているのが大手マスメディアであり、NHKも完全にそれを垂れ流して報道している状態である。
それに対して、トランプ側では、ツィッターなどを使ってさらりと反論するのだが、報道側は、それをお笑いのように利用する、という手段で無害化しようと躍起である。
今回入国停止を決めた7ヶ国は、イラク、イラン、シリア、スーダン、ソマリア、リビアおよびイエメンの諸国である。なぜこれら7ヶ国なのかという解説は、自分の見るところではほとんど報道されていなくて、話はざっくりイスラム諸国である、というように括られている。
だが、これら7ヶ国に共通するのは、そのテリトリーの中にテロリストを養成する大規模な機関がいくつも存在している、という現実である。たとえばサウジアラビアにも多数のテロリストがいるわけだが、彼らはほとんどスーダンやソマリアで体系的な訓練を受けている。
テロリストの養成というのは、その意思とノウハウを持つ者と訓練を希望する者の両者がいれば、いつでもどこでもできるような性質のものであるから、訓練拠点をいくら空爆しても、決してなくなるわけのものではない。そして、テロリストたちは、もはやイスラム諸国だけではなく、アメリカや西欧諸国を含む世界中で、一般市民のような顔をして、市民に紛れて生活している。
そういうテロリスト・ネットワークを断ち切ることが、テロとの戦いの中では重要なテーマなのであり、今回の7ヶ国を狙い撃ちしたアメリカへの入国制限は、まだまだその第一歩であるに過ぎない。そういうことが分かっているから、テロリストにも優しいリベラル派は、この大統領令に猛反発して、トランプ悪者説を定着させるために必死なのである。
さてしかし、リベラル派がテロリストを支援している、という言い方も本当は不正確だろう。政治行動を起こしているリベラル派も、実際のところは、もっと奥の院にいるある勢力に煽動されている連中に過ぎないからである。
では、その奥の院の連中とは誰か。イスラム国も、あるいはそれ以外の大手テロリスト集団も、所有する兵器のほとんどはアメリカ製である。ちょうど薩長の反幕府軍の兵器調達をしたのが坂本龍馬であり、その調達先が長崎にいた英国人グラバーであったように、彼らにもそれなりの武器の調達ルートがある。たとえば、シリアのアサド政権に反対する反政府軍がそれで、アメリカにとっては、アサド政権は打倒すべきものであるから、反政府を掲げるテロリストたちに武器を提供することを議会も承認する。そうやって反政府軍に武器を提供すると、あら不思議、それらの大量の武器を保有している人たちがイスラム国の建国まで宣言してしまったので、今度はアメリカ大統領がイスラム国との戦いを宣布する、という構造だ。要するに中東を混乱させ、大量の難民が出る主要な原因をつくっているのがアメリカだ、という構造があることが、こうした問題の前提条件として理解されなければならない。その混乱の中で、誰がどれだけの利益を得ているのか、ということが問題で、世界的なテロリズムという運動が永久機関のように動き続けることが、ある種の人々に莫大な利益を与えている、ということが理解されなければならず、その人々が自分たちを防衛するツールとして所有しているのが、アメリカのマスメディアだ、というのがその構図である。
彼らはソ連が存在した時には東西冷戦で巨万の富を蓄え、ソ連が崩壊したのでテロリストを養成して、今度はテロとの戦争という構図をつくった。そういう構図の中で戦われているのが、トランプvsマスメディアという今回の抗争であろう。そして、明らかにNHKはその一方の陣営に付いて、その昔大本営の発表ばかり報道し続けたように、CNNやニューヨーク・タイムスの報道を我々に垂れ流している。
また、反トランプデモの主催者のひとつである"Move On"というNGOの資金源は、ジョージ・ソロスであると言われている。彼はトランプ相場の逆張りをしていて、すでに10億ドルの損失を出した、と言われている。トランプ景気で沸いているアメリカの株式が暴落し、ドルが大幅に下落してくれないと、彼は破産するかも知れないから、トランプをディスるのにも熱がこもっているので、デモを組織することで食っている世界の政治ゴロは、現在、彼からいくらでもカネを引き出せる状況だろう。
そういうわけで、これは何か大変なことが起こっている、と見るか、何もちっとも変ってないじゃないか、と見るかはあなた次第、ということだろうか。

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