「3年前の総選挙で国民に否定された『古い自民党』と戦い、どう変わったのかを示すのが今回の総選挙だ。」と石破茂幹事長は語った。率直な感想は、「自民党が変わったと聞いて、一有権者として大変驚いております。」ということだ。総裁は、その昔も総裁をやっていた同一人物だし、野党を経験しても別に何の学習もしなかった、ということも、その昔、細川内閣の誕生で野党に転落した時と全く同じだろう。野党時代の総裁は、前の時は河野洋平氏であり、今度は谷垣禎一氏だったが、彼らがいずれも党内改革なんか全然しなかったことは、我々が親しく拝見した通りである。
さて一方で、「石原総理を見てみたい。」と橋下徹氏は語った。率直は感想は、「そんなものまったく見たくはございません。」ということだ。80歳の老首相、もし戦争でもして回顧録でも書けば、それなりの文学作品になるのかも知れないが、彼に文学的な業績を残させるために、日本国民が動員させられる、という構図はあまりにも文学的過ぎて、現実的ではない。
一方で、私が興味深くウォッチしているのは、民主党の進化だ。民主党という政党が政権を取った時に、それは「お笑い三人組」によって率いられていた。その名の本家は、一龍齋貞鳳、江戸家猫八、それに三遊亭小金馬であるが、そんな名を知っている日本人は、今や絶滅が危惧されるほど少ないだろう。(影の声:そんな世代はさっさと絶滅しろ!)さて、民主党の方の三人組の名は、自分はもう忘れかけているのだが、私の記憶が正しければ、確か鳩山家のうちの誰かと菅某と田中角栄氏の子分だった男だ。これらの人物が「野合」して作った政党が民主党なのであり、野合であるからいつかは崩れる、という予測があったものの、果たして、その与党ぶりは、はじめっから崩れっぱなしであった。
今度の衆議院選挙は、民主党の党利のみを考えれば、そうした三人組を清算する、という重要な意味を持つものだ。そして、問題は、この三人組が党の中枢から消えた時に、何が残るのか、ということである。その三人が消えたら、そんな政党に未来はない、という見方を自分は採用しない。話は逆で、三人組の使命はもはや終了しているのだから、その後に残るものだけが、民主党の本質だろうと思う。
現在の民主党代表である野田佳彦氏は、今新たなマニフェストを作成中であるとされる。前のが嘘だったのだから、今度も嘘だろう、というのが大方の見方であろうが、マニフェストが嘘であることははじめから当たり前で、大切なことは、どんなに上手な嘘をつくのか、というその芸のレベルの高さである。そもそも前回のマニフェストを決定したのは、先ほどのお笑い三人組である。野田代表、もはや三人組の遺産は当てにならない、と言うか、それは「負の遺産」に過ぎないのだから、そんなものは無視して、新たな作品を書く積もりでいる。
それが意味のあるものであるかどうかの判断は、まず作品を読んでから決めても遅くない。自民党にも維新にも興味のない自分は、とりあえず、ポスト三人組の民主党がどんな姿になるのか、それを見てみたいと思っている。

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