アルゼンチンを訪れるのはこれが3度目、6年ぶりのことである。今回は初めて西回り、カタール航空にて関空〜ドーハ〜サン・パウロ経由でブエノス・アイレスに向かった。自宅を20時に出てブエノスアイレスの宿泊先到着が翌日22時半頃だったので、-12時間の時差を考えると、結局38時間半かかったことになる。
しかし前回、前々回は東回り、エア・カナダにてバンクーバー〜トロント〜サンティアゴ経由で48時間くらいかかったので、大幅に時間を短縮できた。経由地が少ないことと、ドーハでの待ち時間も2時間という理想的な状況だったのが主な原因だが、米国、カナダ経由だと最初の経由地で荷物をピックアップし入国審査を受け、さらにチェックインし直す必要があるので、最低でも3〜4時間の乗り継ぎ時間を確保する必要があった。今回はそういうわずらわしさもなく、非常に快適な旅となった。そして帰路はさらに短縮、36時間を切ったほどだ。
2004年のアルゼンチン初訪問時は経済危機〜債務不履行により、米ドル:ペソの交換レートが1:1から1:4にまで落ち込んで、街も少し寂しい雰囲気だった。逆に言えば我々海外旅行者にとっては安く旅をできるチャンスでもあった。例えば、1本800円だったワインが200円で買えたのだ。1枚2000円のCDも500円で買えた。その危機から10年近く経ち、かなり経済も回復したという話である。確かに物価はほぼヨーロッパ並みにまで跳ね上がるというハイパー・インフレ状態だ。しかし、相変わらず米ドルとの交換レートは回復していない。さらに、「保険」としてペソを外貨に換える流れを抑えようとしてなのだろう、米ドル、ユーロなどの外貨購入が禁止されているのだ。しかし、それを逆手に取り、闇金融(ブルー・マーケット)がこっそり外貨を販売し、さらに正規レートよりも良い値をつけて外貨を購入しているとのことだ。
さて、エセイサ空港に到着し、あらかじめ予約していたレミース(タクシーよりゆったりした高級車で「ハイヤー」といったところか)に乗り込む。空港から市内まで約45分、料金にして270ペソ(約5400円)だった。通常のタクシーでも200ペソ(約4000円)なので、それから考えても物価の高さが推し量れるというものだ。
ありがたいことに現地の季節は春である。そう言えば過去2回の訪問も春と夏だった。これは非常に幸運なことである。北半球とは正反対の季節のため、夏にこちらを発っても真冬の装備を持っていく必要がある。逆に真冬だと現地は真夏なのでコート、防寒具は無用の長物となる。そういう意味でも春か夏に訪れるのは、ただでさえ楽器等で荷物がかさばる身としてはありがたい。
実は今回の訪問に際し、うまくいけばアルゼンチンの友人達によるピーター・ゲイブリエル期ジェネシスのトリビュート・バンド、「ジェネティックス(ヘネティクス?)」のライブを見れるかもしれないという期待があった。ブエノス・アイレス到着当日、22:00開演とのことだったのだ(通常彼の国では予定より30分程度オシて開演する)。そして自分の乗った機は予定通り20時半にエセイサ空港に着陸した。(つづく)

出発前の関空ゲートにて

ドーハからブエノス行きに乗り込む

カタール航空エコノミーの機内

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