ビ・バップ・デラックスに出会ったのは、19歳の頃だった。ある日、よく行く親友の家を訪問したところ、彼はこう言った。「お前のギターそっくりなヤツを見つけたで。タワーレコードでジャケ買いしてん。」彼が取り出したレコードは、ビ・バップ・デラックスの“
Sunburst Finish
”だった。
早速、彼はそのレコードに針を落とすと、そのままコーヒーを淹れに行った。
確かに自分と似たようなフレーズを弾くギタリストだと思ったが、ピッキングが苦手らしく、プル・オフ、ハマー・オンを多用するタイプだったので、自分はこんなギタリストではないと否定した。
しかし捻りのきいた楽曲、音作りに惹きつけられ、結局そのままアルバムを最後まで通して聴いてしまい、そのままレコードを借りて帰ってしまったのだった。
当時、ビ・バップ・デラックスは既に解散しており、何の情報も得ることができなかった。1978年ごろのFMレコパルに紹介記事があったのを思い出し、押入れから引っ張り出したが、ライブアルバムのレヴューだけで結局何も分からずじまいだった。ロック・オタクだった寺西さんに聞いてみても知らないとのことだったが、彼が気に入りそうな音だったので、早速カセットに録って渡した。
そのまま、他のアルバムを聞く事もなく数年が経ったある日、CDでベスト盤が出ているのを見つけて早速買ってみた。90年にリリースされたこともあり、マスタリングももうひとつだったので、最初はあまり気に入らなかった。その後東京に引越した頃に、また聞いてみたところ「ジェット・シルバー」、「ミュージック・イン・ドリームランド」「メイド・イン・ヘヴン」などいい曲がたくさんあるのに気がつき、それからは貧乏一人暮らしの良き「友」になった。
またしてもそれから数年が経ち、今度はソロ新作「アトム・ショップ」を手に入れた。それはロバート・フリップのレーベル、DGMからのリリースだった。全く期待しなかったのだが、これが予想をはるかに上回る会心作だった。もちろん、ビ・バップ・デラックスとはかけ離れた音楽だったが、98年当時では斬新なアイディアがちりばめられ、またヒネリ加減も半端ではなかった。
一昨年、ビ・バップ・デラックスの全アルバムが紙ジャケ再発された。もちろん「サンバースト・フィニッシュ(炎の世界)」は即購入した。改めて聴きなおしてみたところ、これはヤバいと思った。25年前の自分のギタースタイルに似すぎているのだ。いや、自分の方が彼に似ているというべきだろう。ちょっとロックン・ロールなフレーズ、メジャー、マイナーのペンタトニックを行ったり来たりするところ、それからフレーズとフレーズの合間の「迷い」、そしてやはり、ピッキングが苦手であるところなどである。
25年前に親友が指摘したことは正しかった。

0