昭和63年といえば18年前、すでに私はある会で「川柳に大嘘を書いてみたい」といって顰蹙をかっている。「思いを書きなさい」「真実を書きなさい」が口癖の川柳にあって白い目で見られるのも当然であったろう。
「すこし川柳から離れたお話をさせていただきますが、これはまあ、個の真実というほど大げさなものではなく、単なる現象に過ぎないのですが、私の性格は横着もので、だらしなくて、ちょつとスケベーということになっています。なぜそうなっているかと言いますと、わたしの日ごろの発言やら行動を判断材料として、他人がそう思っているからであって、自分で自分はスケベーだと思ったことは一度もありません。
でもまあスケベでもいい、私にも一つぐらいは良いところがないだろうかと思っていますが、これも私をよく知っている人が「強いてあげれば気さくで陽気なところだろう」と言ってくれます。しかし、正直にいって、陽気ではなく、陽気に振舞っているときが結構ある。それに自分で気づいたときには「違う、これは私ではない、嘘だ」と自問するときがありますが、では本当の私とはなんだろうと考え込んでしまいます。しかし、それがわからない。(つづく)

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