死んだ飯田良祐の句を何度も読み返していると、こんなわけの解らん句なのに涙がでて仕方がない。彼と親しくしていたわけではないし、作品を特別評価していたわけではない。しかし、何度も読んでいると句の行間から、ぼろぼろの自転車のように、錆びだらけの良祐の顔が浮かんでくる。これらの作品は良祐にとっては実験の過程にしか過ぎないが、もう少しで言葉は彼の血となり肉になるはずだった。
バカなヤツだ。
ガニマタでポテトサラダの座る席
男娼が大外刈りの串カツ屋
友情や梅焼はいつも生煮え
稲刈りが始まる通天閣展望台
パチンコは出ないしリルケ檻の中
遠戚の屍体と並ぶ立ち飲み屋
イギリスの老嬢を吊るす河豚提灯
大福をがぶり貞操帯はずし
ドロップを舐めて騎乗位になる蘭
壊死を待つ桃色ジュゴン絵師二人
絵巻から動く歩道へ渡る義肢
百万遍死んでも四足歩行なり

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